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鷹槻れん

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夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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「……はぁ、はぁ……っ」
脱力している羽衣子の横で後処理をし終えた昴。
そんな彼をチラリと見た羽衣子は、
「……あの、昴……さん」
「何だ?」
「ありがとう、ございました」
「それは何の礼だ?」
「その、……男の人って、中に出したい人が多いって……友人に聞いたことがあったので……」
おずおずとそんなことを言い出し、思いもよらぬ言葉に昴を目を丸くする。
「まあ、そう思う奴がいることは間違いねぇな。ただ、したいからと言って誰彼構わずそんなことをする人間はただのクズだ。大抵はきちんと相手のことを考えるだろうよ」
「……そう、なんですね」
「当たり前だろ? きちんとした考えの男はな、大切な女に不安な気持ちは与えたくねぇよ。それに、本来なら俺がした行為も褒められたモンじゃねぇしな。ゴムがねぇんだからすべきじゃ無かった。ごめんな」
「謝らないでください……その、昴さんだけが悪い訳じゃないです……私だって、して欲しいって思ってしまった訳ですから……だから、謝らないでください」
「……分かった。身体、辛くねぇか?」
「大丈夫です……」
「今日はゆっくり休め」
言って昴は立ち上がると、軽く身支度を整えていく。
「昴さん……お部屋に、戻るんですか?」
「ああ、悪いな。まだ仕事が残ってるんだ」
「……そう、ですか……」
昴が部屋から出て行ってしまうことが淋しい羽衣子はしゅんと肩を落とすと、「……今度は」軽く咳払いをした昴がそう言葉を切り出したことで、きょとんとしながら顔を上げた羽衣子。
「……希海のことは皐月や乙哉に頼んで、どこか一泊しに行こう」
「え……」
「その時は、何処にも行かねぇし、ずっと一緒に居てやるから、今日は我慢してくれ。な?」
そしてそう言った昴は羽衣子の額に軽く口付けた。
「昴さん……。私、楽しみにしてますね」
昴の提案でパッと表情が明るくなった羽衣子は満面の笑みを浮かべ、そんな彼女に見送られた昴は部屋を出て行った。
その後、書斎へ戻った昴は椅子に座るや否や、深い溜め息を吐いた。
「……やっちまった……最低だな、俺は……」
羽衣子に謝らないでと言われはしたものの、理性を失くして自身を止められなかったことを悔いている昴。
すっかり冷めたコーヒーを飲みながら頭を冷やす。
避妊をしても百パーセント安全では無いが、しないのは論外な訳で、羽衣子に不安を与えてしまったことを終始気にしていた。
勿論、万が一があった場合、昴は責任を取る覚悟ではあるものの、もう二度とあのようなことはしないと心に誓う。
一方一人になった羽衣子はというと、
「…………」
布団を掛けてベッドに横になったまま、未だ動けずにいた。
(……昴さんと、しちゃった……)
初めてで何も分からず、不安と恐怖でいっぱいだったけれど、昴の優しさに触れられたことで安心出来、今は大好きな人と繋がることが出来たという幸福感でいっぱいだった。
(……避妊のことも、本当に申し訳なさそうな顔をしてた……)
避妊具が無いと言われた時、羽衣子は一瞬不安を覚えはしたけれど、相手が誠実な昴だから大丈夫だと思えて不思議と不安は消えていた。
(……こんなこと、本人には言えないけど……昴さんとなら……私……)
そこまで頭に浮かんだ羽衣子はそれを打ち消すように首を振ると、
(馬鹿! 何考えてるの? 昴さんはそんなこと思わないに決まってる……こんなこと考えるなんて、私って無責任過ぎる……)
自身の責任感の無さに失望する。
今はまだ恋人になれたばかり。
余計なことは考えてはいけないと頭に浮かびかけたことは全てしまいこんだ。
(……今度、一泊しようって、嬉しいな……だけどそれって、またするってこと、だよね?)
そして昴が去り際に言っていた一泊について考え始めると、様々な思いが浮かんでくる。
(……一回じゃ、終わらなかったり……?)
これも友人から聞いた話ではあるが、一晩で何度か求められて身体が辛かったという話を耳にしたことがあった羽衣子は次は一度では済まないのだろうか、二度目もまだ恐怖心はあるのか、まだまだ知らないことだらけの羽衣子の胸中はどこか複雑で、色々考えているうちにいつの間にか眠ってしまうのだった。
コメント
1件
うわあ、第60話……ついに二人が結ばれたんですね。昴の「やっちまった」っていう後悔と、それでも羽衣子に優しくしようとする誠実な姿に胸が熱くなりました。避妊の話をきちんと謝れるところとか、本当に真面目な人だなあって。羽衣子の幸福感と不安が混ざった複雑な気持ちもすごく伝わってきて、読み終えたあと、なんだかあったかい気持ちになりました。二人の一泊旅行、絶対にいい思い出になってほしいです!