テラーノベル
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翌朝、皆よりも早く起きた羽衣子はシャワーを浴びた後、リビングで水分補給をしているとドアが開く音で振り向いた。
「早いな、もう起きていたのか」
やって来たのは昴で顔を合わせた瞬間、羽衣子の脳内に昨夜の記憶が蘇った。
「あ、お、おはよう……ございます……」
明らかに意識していることが丸分かりなのだが、昴はそこには触れずに接していく。
「身体は辛くないか?」
「あ、はい……大丈夫……です」
「そうか。無理はしないようにな」
「はい…………」
恥ずかしさから昴の顔が見れない羽衣子は視線を逸らしていると、
「あれ? 吾妻さんも若頭も早いですね?」
朝食作りの為に起きてきた皐月が二人の前に姿を見せる。
「ああ、昨日はなかなか仕事が終わらなくてな、さっきようやく片付いたところだ」
「そうなんですね。コーヒー淹れましょうか?」
「いや、これから少し眠るから俺の朝食も用意しなくていい。昼くらいまで寝かせてくれ」
「分かりました」
それだけ伝えると昴はリビングを出て行ってしまう。
残された皐月はどこかよそよそしい様子の羽衣子に視線を移すと、
「吾妻さんはコーヒー淹れましょうか?」
お湯を沸かしながら問い掛けた。
「え!? あ、いえ! 私も大丈夫です! その、それよりも朝食作り、お手伝いします!」
羽衣子は椅子から立ち上がり朝食作りを手伝うと申し出たものの、
「ういちゃ……」
目を覚ましてしまったらしい希海がリビングへやって来たことでそれは無理になってしまう。
「希海くん、起きちゃったの? まだ早いよ? 眠くない?」
「……ねむい…………おきたらパパ、いなかった……」
「昴さん、眠るって部屋に行ったんじゃ……?」
「若頭、多分書斎で眠るつもりなんですね。希海くんが目を覚ましたらゆっくり眠れないですし」
「でも、書斎じゃ椅子に寄りかかって眠るしか無いですよね?」
「ですね」
「それじゃあ希海くんは私の部屋で寝かせるので、昴さんにお部屋で眠るよう伝えてきますね」
「そうですね、その方がゆっくり休めると思うので」
「希海くん、私のお部屋でもう少しだけ一緒に横になろっか?」
「うん……」
こうしてまだ眠そうな希海を抱き上げた羽衣子はリビングを出て二階へ上がると、まずは書斎へ向かって行った。
「昴さん、羽衣子ですけど……まだ起きていらっしゃいますか?」
書斎のドアの前に立った羽衣子がノックをしながら声を掛けると、すぐにドアが開いた。
「どうした?」
「あ、すみません……起こしちゃいましたか?」
「いや、眠ろうとしたが、まだ眠れなくてな……ん? 希海、起きてたのか?」
「あ、はい、目を覚ましたみたいで下に降りて来たんですけど、まだ眠いみたいなので私のお部屋で一緒に横になろうかと」
「そうか、悪いな」
「いえ。あの、それで……希海くんはこちらで見ているので、良かったら昴さんは寝室で寝てください」
「いや、俺はここで……」
「駄目です! きちんとお布団で寝ないと疲れも取れませんから」
「……分かった、それじゃあ寝室で寝るとするよ」
羽衣子の剣幕に昴は苦笑すると、書斎を出て隣の寝室へ向かって行く。
「それじゃあ、希海のこと少しだけ頼むな」
「はい、任せてください」
そして、それぞれの部屋の前で言葉を交わして別れようとした、その時、
再び目を覚ました希海は昴に気づく。
「パパ、いた!」
「希海、ごめんな、昨日は仕事が終わらなくて部屋に行けなかったんだ」
「おきたときパパいなくてやだった!」
「悪い。今から少し羽衣子と一緒に寝るんだろ? パパも少し寝るから、また後でな」
そう言って一人寝室へ入ろうとする昴に希海は、
「ういちゃんとパパといっしょにねる!」
三人で一緒に寝たいと言い出した。
「希海くん、パパはお仕事で疲れてるから、私と一緒に寝よう? ね?」
「やだ! みんないっしょがいい!」
羽衣子がやんわり言い聞かせようとしても希海は聞き入れずに首を横に振る。
それを見兼ねた昴は、
「分かった、それじゃあ三人で寝よう。羽衣子、それでいいよな?」
希海の希望を叶えるべく三人で寝ようと言い出した。
「え!?」
それには羽衣子も驚きで、つい大きな声を上げてしまった。
「わーい! ういちゃ、はやく!」
「羽衣子、ほら、早く来い」
寝室のドアを開けた昴に手招きされた羽衣子は断ることも出来ず、希海を抱いたまま寝室へと入る。
そして、昴が希海を先に寝かせると自身もベッドへ横になり、
「羽衣子、どうした?」
未だ立ち尽くす羽衣子に声を掛ける。
「えっと……その……」
三人で並んで眠ったことは一度ありはしたが、昨夜の後でそれをするのはどこか恥ずかしいらしい羽衣子がなかなかベッドへ入れないでいると、
「希海も居るんだから何もしない。安心して早く入れ、な?」
戸惑う羽衣子が可愛く思えたらしい昴は口角を上げて笑みをうかべると、そう言って羽衣子に早くベッドへ入るよう促した。
#片思い
#シークレットベビー
鷹槻れん

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#ヤクザ
夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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コメント
1件
第61話拝読しました。朝のシーンから始まって、昨夜のことを意識した羽衣子の気まずそうな様子がすごくリアルで、ついニヤニヤしてしまいました。希海くんの「みんないっしょがいい!」という無邪気な願いで、昴さんがすんなり三人で寝るのを受け入れるのも、甘やかしつつ冷静なところが彼らしくて好きです。最後の「何もしない。安心して早く入れ」という台詞に、家族の温かさとほのかなドキドキが詰まっていて、とても癒されるエピソードでした。