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「おいっ! これで終わりって、嘘だろ!? っ、……俺と美兎ちゃんのハッピーライフは!!? これからじゃねぇーのかよっ!!?」
「まぁまぁ……。仕方ないじゃん、年齢差考えたら」
「……あぁ!? たかが7歳だろっ! んなもん、愛があれば関係ねぇ!!」
「いやいや、関係あるから。相手はまだ15歳なんだぞ? どう考えても犯罪だろ……」
「この際さ、今年高校卒業した子に乗り換えるとか! そしたら、JKの制服もまだいけるし…………え、それマジ最高じゃん♡」
不気味な笑顔のままトリップし始めた健を掴むと、般若の如く形相でその首を締め上げる。すると、「ぐぇっ!」と小さく呻《うめ》いた健が激しくタップする。
「まぁ、乗り換えろとまでは言わないけどさ……。実際、相手の年齢考えたら無理だろ」
冷静な顔をした大和が、激しく揉み合う俺達に向けて冷めた視線を送ると小さく息を吐いた。
そんなこと、言われなくても俺が一番よくわかっている。だからこそ、この気持ちを伝えることができないのだ。
せめて、美兎ちゃんから愛を告げてくれれば——。
俺は、いつだって受け入れる覚悟も準備も満タンだ。むしろ、準備満タンすぎて今にもはち切れてしまいそうな程にパンパン。それは勿論、この溢れん程の愛と下半身が……。
連動しているのだから、こればかりは仕方がない。
「グォォォオーー!!! ふざけんなっ! ……俺のこの気持ち、どーしてくれんだっ!!!」
悔しさに大きく雄叫びを上げると、健の首を締め上げながら滝のような涙を流す。ここまで我慢してきたというのに、こんな結末ではあんまりだ。
俺の『あま〜い新婚ライフ♡』は何処《いずこ》へ……?
「……おいっ! 俺を殺す気かよ!? せっかくのエンディングだってゆーのに……死んでたまるかっ!」
力の抜けた俺の腕から無事に脱出した健は、ハァハァと息を荒げながら首元を抑える。
そんな健が死のうが生きようが、今の俺の悔しさに比べたらどうだっていい問題だが、やはり一応はラブコメ。ここで死なれてしまってはジャンルが変わってしまうので、無事に生還したのなら安心だ。
そんな事より、ラブコメだというのにラブが圧倒的に不足していた事の方が問題だ。
美兎ちゃんからの俺へのラブは? 俺達のラブラブな新婚ライフは? 一体どこへ消えてしまったんだ——!
「てことで、最後まで煩《うるさ》い2人だったけど……。付き合ってくれた皆さん、本当にありがとう」
「……おいっ! 勝手に終わらせてんじゃねぇよ、大和! 俺はまだ、納得してねぇーからなっ!!」
「え、待って待って! 俺も、俺も! ……皆んな! 最後までありがとなっ! 俺の可愛い彼女を見せてあげれなかったのは、本当に残念だったけ——」
「お前に、彼女なんていねぇーだろ!」
「っ、……これからできる予定なんだよっ!」
「だったら、俺だってこれから美兎ちゃんとラブラブな——」
「もう……ホント煩い。最後くらい、2人共ちゃんとしてくれよ……。ほら、いくよ? ……せーの」
「「「今まで、本当にありがとう!」」」
最後までお付き合い下さり、本当にありがとうございました。
—完—