コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ずっと前から好きでした」
初めて同性を好きになった。
初めて同性に愛の告白をした。
君は驚いたような表情をして、
俺の目をじいっと見つめていた。
でも、次第に君の表情は暗くなり、
君は俯きながら呟いた。
「…ごめん、若井のことは”親友”として見てるから」
「っ…そっか、…ごめん」
勝手に好きになって
勝手に期待した俺が悪い。
分かってるのに、分かってるのに。
俺を振った君が憎くて仕方がない。
朝、いつも通りスタジオに入ろうとした時、
元貴と涼ちゃんの話し声が聞こえた。
俺は扉の影に隠れて、
聞き耳を立てて2人の会話を聞いていた。
最初の頃の会話は至って普通のもので、
特に気にする事はなかった。
だが、次の元貴の言葉で
頭を鈍器で殴られたような感覚がした。
「ねぇ涼ちゃん、今度2人でお出かけしよ?」
俺は恐る恐る扉の隙間から
2人の様子を見た。
するとそこには、
涼ちゃんの手を優しく握り、
見つめ合う2人の姿があった。
君の瞳を見てすぐに分かったよ。
君は涼ちゃんに”恋してる”ってね。
その瞳はどこか幸せそうで
どこか愛を感じた。
俺の目をじいっと見つめていた
あの瞳とは違って。
俺は壁に寄りかかりながら
ずるりと座り込んだ。
「…元貴、好きだよ」
君に向けての言葉は
暗い廊下へと消えていってしまった。
俺は仕事が終わってすぐにスタジオを出た。
そして、コンビニに入り
“ある物”を購入した。
店員は俺の事を
怪しそうに睨む。
そりゃこんなもの買ったら
そんな目で見られるに決まってるだろ。
だけど、これがないと
話は始まらない。
元貴が全部悪いんだ。
俺の方が何百倍、何千倍も
愛しているのに。
コンビニから出ると、
夜の街を1人歩く
君の姿があった。
都合がいい。
俺は慎重に君の後をつけた。
元貴はいつも
人通りの少ない路地裏を通って帰る。
誰かにつけられるのが怖いんだとか。
誰かにつけられるのが怖いなら
人通りの多いとこを歩けばいいのに。
そしたらまだ人目があるため
危険は少なくなる。
路地裏なんか通ったら
俺みたいな壊れた人間に襲われちゃうよ。
俺は元貴の元へと走っていく。
元貴は俺の気配に気がついたようで、
俺の方へ振り向いた。
「…若井?」
元貴が振り向いたその時。
コンビニで買った”包丁”を
元貴の腹部に突き刺した。
「ッ!!!…若井゛ッ?」
君の顔から血の気が引いてく。
「元貴が全部悪いんだよ」
包丁をゆっくりと抜くと、
君は膝から崩れ落ち
倒れた。
抜いた包丁は
元貴の血を纏っていた。
「…赤くて綺麗」
他のやつに取られちゃうくらいなら
元貴に消えてもらうしかないよね。
「これで俺だけの元貴だね…♡」
暗い路地裏に俺の声が響く。
路地裏はとても暗く、月明かりだけが
俺と変わり果てた姿の元貴を
照らしていた。
これで俺の片想いは幕を閉じる。
これいつか絶対
ちゃんとお話にしたいです笑
ではまた次のお話で^^