「やべ、どこだここ」
迷子になった。
あの狂ったヴァルガス兄から逃げたら…迷子った。
「は〜…ここ広すぎんだろ…」
「…あれ、アーサー?」
「!!アレン!ちょうどいい所に!!」
良かった、これでやっと帰れるな
「もう、どこに行ってたんだい。心配したよ」
「う…ごめん」
こいつ、あっちと違って素直だから甘えたく…じゃなくて、甘やかしたくなっちまうんだよな。はぁ、あっちもこのくらい可愛かったらいいんだけど
…ん?あっち…って、なんだ?
…あ…アルフレッド、か。
「…ほら、帰ろ。もう俺も処理とか色々終わったし。 」
…アルフレッド…普通の世界のこと、何故一瞬忘れたんだろうか
…ま、いいか。少し突っかかるところがあるが
「あぁ。」
とりあえず、帰ろう
「…ねぇアーサー。」
「ん…」ゴクッ
「なんだ?」
「君って、どこから来たんだっけ。」
…はぁ?なんだコイツ。分かりきった質問寄越しやがって…
「どこって…」
「…えっ、と…」
「ぁ、あっちの世界だ。お前らからするアナザーの世界。」
「…そうだね。ごめん、変な質問しちゃって」
「いや、…まぁ。」
今日はやけに物忘れが酷い。いや、物忘れどころの話じゃない。あっちの世界の事を一瞬でも忘れるなんて
やはり慣れない環境で疲れているのだろう。今日は早めに休もう
「ごめん、今日はもう休む。」
「…わかったよ。おやすみ」
「ああ。」
その日は早めに眠りについた。
フランシスside
「ん〜…こいつの家複雑すぎる」
色んなとこに隠し部屋とか仕掛けとかつけすぎでしょ。お兄さんびっくりしちゃうなぁ。
「お、また変なスイッチみっけ。はぁ、どんだけ隠し部屋あんだよ…えっちなもんでも隠してんのかっての」
カチリ
ゴトッ
「お、階段出てきた。地下に繋がるやつかな。とりあえず全員呼ぶかぁ」
「うわっ、なんだこの階段…どこまで続くんだい?」
「さぁ?、結構長そうだよな」
「ヴェ〜…暗くて怖いよ〜…」
「この灯り、あまり意味がありませんね…足を踏み外さないように気をつけましょう」
「はぁ、あんやつの家なんでこんな不気味なん?意味わからんわ…」
「ドアがあるぞ。」
ドアを開けると、暗くて何も見えなかった。少し、薔薇の匂いがする
床は恐らく散らかっていて、歩く度に何かを蹴ってしまう
「あ、これ電気のスイッチかも」カチッ
「わ、眩しっ___」
「…なに、これ。」
血の着いた可愛らしい包丁、 床一面に広がる本来の色よりも赤黒い色をした薔薇、割れた香水、頭がもげているピンクのクマのぬいぐるみに、みずいろの蝶ネクタイ
薔薇の装飾がされてある豪華で大きな鏡
「う”…っ、香水くさっ…」
「…あいつ、こんな甘ったるい匂いの香水持ってなかったよね」
「みずいろの蝶ネクタイなんてするような人でもないですし」
「このナイフ…」
「血が着いてるんだぞ。それに、血が固まってないことから最近の血」
ガコッ
「あれ、避けちゃったかぁ」
「…誰だい、君。」
「あは、そんなのはどうでもいいでしょ。…とりあえず〜!アーサーは帰すつもりはないよ。もうそろそろ堕ちそうなんだ。」
「堕ちそう、って…」
「はぁ…なんでそろそろ君らのこと忘れそうって時に入ってくるかなぁ。ちょ〜バッドタイミング。」
さっきから何を言ってるのかが分からない。アーサーに似た顔つきのこいつは誰だ?
「あーっ、自己紹介がまだだったね?」
「俺はオリバー・カークランド。もう1人のアーサーだよ。」
「…はぁ?」
もう1人のアーサーって…確かに顔立ちは似てるが、言動や服装はあいつと真反対だ。
「何馬鹿なこと言ってるんだい?」
「あは、馬鹿はお前だろ?理解できなかったかなぁ、ごめんね。」
バカにするような顔で俺らを見つめるオリバー。
あいつとは違う雰囲気の笑みを浮かべるオリバーに腹が立った
「いけない、俺もう帰らなくちゃ。お前らも来たいなら来ればァ?ま、アーサーを渡す気はないけど♡」
「はっ、…坊ちゃんは力ずくでも返してもらうからね?」
「さて、そう上手くいくかな?じゃ、ばいばぁい!♡」
そう言いオリバーは鏡の中に飛込み姿を消した
「ヴェ…なに、あいつ…」
「もう1人のアーサーっつってたな…意味わかんねーぞチクショー…」
「ですね…」
周りから困惑したようなこえが聞こえる
「とりあえず、あいつを追いかけるんだぞ。話はそこからだ!」
「ちょ、おい!!」
アルフレッドが鏡に飛び込む
あーあ…アーサーのことになると何も考えられなくなるんだから。…考えずに行動するのはいつもの事か(笑)
「お兄さんも行くね。来たい人は来たら。」
「俺は行かんからな。あのクソ眉毛なんて」
「私は行きます。アーサーさんが心配なので…。」
「兄ちゃん!俺らも行こう!」
「ちぎ、っ?!ぉ、おれもか…?!…ま、まぁ、…行くぞバカ弟」
「トーニョは来たくないならそこにいれば。俺らは坊ちゃん助けに行ってくるから。」
こいつはいつまで意地を張ってんだ。こんなに重大だっつってんのに。ほんと呆れる
「な…っ…そこまで言うならついてったる!ロマとイタちゃん心配やしな!?!」
「俺らそんなに弱くねーぞコンチクショー」
「ふうん、…そう。」
「…そろそろ行きましょうか。」
「うん!」
「くれぐれも怪我はしないように。」
そう言い、おれらは鏡の中へと飛び込んだ_
フランシスside.fin
コメント
1件
お久しぶりです! 最近勉強とかで疲れていたので、 助かります…✨️ 新話ありがとうございます!