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ク「…どういう事だ?」
俺は目の前の敵、キラーに問いを投げかける。
相手の話には乗るな、戦いの中では基本の基本だが、ヤツは俺の方がメリットがあると言った。
つまり何か、俺と取引をしたいという事か?
何よりも先に狙いを把握しとかない限りは、もしかしたら『アイツ』が…
チッ!めんどくさい身体だ。
そうして、俺が投げた問いかけに対して、キラーは薄気味悪い笑顔を返して、口を開けた。
キ「やっぱり、興味が出てきたか?」
キ「と言っても、内容は簡単なものだ。」
キ「お前が今回こっち側に加勢してくれるならお前に『ソウル』を2つやろう。」
ク「……」
言葉が詰まる。
ソウルとは、死んだ『キャラクター』のソウルだけを残した物。
それさえあれば、俺の不安定な存在を創り直し、2つあるなら『ヤツ』との分離も出来るだろう。
確かに都合の良い話だが、そんなものに乗る訳には…
ク「ぐっ…!?」
次の瞬間、突然の頭痛が俺を襲う。
こんな頭痛を出せる『ヤツ』1人…
『久しぶりだね、気分はどうたい?』
目の前に現れたのは『キャラ』だ。
正確には、俺の世界にいる『クロスキャラ』なのだが…
こいつが俺の前に出れたのは…
色んな世界を行き来し過ぎたのが原因か。
『僕がここに出てきた理由は…なんとなく想像出来るだろう?』
ク「悪いなペテン師、俺はお前と話すつもりなんて毛頭ないんだ。」
『悲しいことを言うんじゃないか、でもそれならあの子の提案を乗るべきじゃないかい?』
ク「くだらん、俺はお前が外に出たら、ろくな事にならないことくらい知ってるんでな。」
『連れないな、昔みたいな目標はもう無いのかい?』
ク「殺す事でしか愛すことの出来ないお前と一緒にするな、俺は友と出会い、変われたんだ。」
『随分な言い草だね、でもいいさ、それなら僕にも考えがある。』
ク「考えだと?」
『君は今までずっと前に出てきた、ソウルは半分だけだと言うのに。』
ク「グッ…!?」
瞬間、胸に急激な痛みが走る。
『少しだけ、『代わって』くれてもいいでしょ?』
ク「お前…」
『大丈夫さ、これも全てソウルが手に入るまでの話なのだから。』
そうして俺の意識は、闇の中に呑まれて行った。
キ「おうおう、気分はどうだ?」
次の瞬間、頭上からナイフが襲いかかる。
体も慣らしたいし、まずばこれを避けるところから始めよう。
次の瞬間には、ナイフを持っている手首を片手で掴み、キラーを背負投のような体勢で投げ飛ばす。
キラーは何事も無かったかのように体勢を建て直し、こちらに質問をしてくる。
キ「それで、取引はどうするんだ?」
ク?「今すぐにソウルを準備出来るなら乗ってやろう。」
キ「おいおい、そいつはあんまりだろ?ここにはソウルなんて無いぜ?」
ク?「それに関しては問題無い。」
キラーは訳の分からなそうにしていた為、完全に隙をつく形で、距離をゼロにし、背中にある大剣を振り下ろす。
ク?「ここに1つ、上質なソウルがあるだろう?私はそれを貰うとしよう。」
キ「結局こうなるのか。」
普通なら当たるはずだったが、相手も化け物、振るった大剣はナイフによって意図も容易く防がれてしまう。
だけど、何故だろう、負ける気がしないな。
ク?「抵抗しないって言うなら、楽に殺してあげるよ?」
キ「そういうのは勝てる相手に言うべき言葉だぜ?」
そうして、ソウルを賭けた殺し合いが今始まった。
サ「………」
1人の自分を相手にする。
いつ味わってもおかしな気分になる感覚だ。更に言うなら、そいつらは『サンズ』という存在なだけで、その力はオレ以上なヤツがほとんどだ。
まるで誰かに『創られた』ような、そんな強すぎる存在、チート能力がほとんどのヤツらに備わっている。
それは目の前の『サンズ』、マーダーにも言えることだろう。
マ「始まるか。」
サ「そうしよう。」
言葉はあまり交わさない、必要が無いからだ。
ヤツはおそらく、1番救いのない選択を自ら取ってしまった自分だ。
それが分かればもう…話す意味なんて無い。
断言してしまおう、オレとヤツは永遠に分かり合えない。
なんせ住む世界が違うのだから。
マ「時間が無いんだ、死んでくれ。」
瞬間、先端の尖った骨が3本、オレに向かって飛んでくる。どうやら追尾式みたいだ。
オレは冷静に、1本を骨で弾き、もう1本をブラスターで防ぎ、もう1本を近道で避け、
カウンターのブラスターを御見舞しようとする。
だが、そんな俺の目の前にあったのは、
サ「くっ!!」
オレを呑み込まんとするマーダーのブラスターだった。
瞬時に体を捻り、避けようとするが、間に合わず足を噛まれ、そのまま捕まえられる。
そのブラスターは遥か上空に飛んだ後、急降下をしながら一気に青い光を膨らました。
マ「終わったか。」
俺は静かに踵を返す。
ヤツはただの俺だ。決意もLVも持ってないただの俺、勝てる訳が無いんだ。
これで良い、取り返しなんてもうつかないし、ついたところでやる気もない。
俺はこの生き方を選んだんだ。
例え、最後に苦しみくたばろうと、俺は自分の生き方を貫く。
そうしないと、ニンゲンに恐怖を抱いてしまうから。
そんな事を考えていると、1つの違和感に気付く。
マ「ん?おかしい…」
いつもある感覚が無いんだ。
ソウルを殺した時に、必ず起きるあの感覚…
止められないほどの殺人衝動が。
つまりそれが指す答えは…
瞬間、後ろを振り返り、右に飛ぶ。
そこに1つの鋭い骨がすり抜けた。
急な攻撃に、避けきることが出来ず、来ていた服が斜め1文字に裂け、体にも掠ったため、血が流れる。
そして、そこにあった大事な物が無くなる。
マ「お前…」
大事だった物は見る人から見れば1枚の赤い布切れ、だがそれは、俺から見れば大事なマフラーだった。
目の前の存在は、それを理解しているため、自分の首にそのマフラーを巻く。
そうして、ポケットに手を入れ、俺を挑発めいた目で見て、口を開いた。
サンズ「【ボーン】とするからそうなるんだ、今ので【骨身】に滲みただろ?」
そうして、終わったと勘違いしていた殺し合いがまたもや始まるのだった。