コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
事を終え、女と別れ家に帰る。タバコに火をつけパソコンに女から引き出した情報をまとめる。
(まさか男だったとは)
女から貰った写真に目を落とす。線の細く薄い体、陽に透けるような白髪、優しい藤色の瞳。「綺麗……」
思わず声に出してしまうほど、白戸 雪は綺麗な人間だった。
(ひとまず、こいつに近づいて様子を見るか…)俺は灰皿にタバコを擦り付けた。
(っで、こんなとこにいんだよ!)
白戸 雪を調べあげ行き着いたのは森の奥だった。その森には大きな湖があり、その隣に小さな家が建っていた。
――コンコンコン――
その家に表札は無く、インターホンもなかった。
「すいません、道に迷ってしまって、一晩泊めていただけませんか?」
「はーい」
出てきた男は、男と言うには薄すぎる体と少し高めの声をした「白戸 雪」だった。
「すみません……道に迷ってしまって……」「もちろん。良いですよ、狭い家ですがゆっくり休んで下さいね。」
(警戒心が無いのか、この男)
「ありがとうございます。」
(綺麗だ……)
何度見ても、この男の顔は綺麗だった。この世のものとは思えない程に。俺は藤色の瞳に吸い込まれる様な気分だった。
「……僕の顔に何かついてますか?」
「いや、そんなことは無いよ。……ただ、綺麗な顔だなと思って。」
「ありがとうございます。」
感謝を述べる白戸雪の顔は悲しげな表情だった。
「…………」
そうして、俺たちの長い1ヶ月間は始まった。