テラーノベル
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勇斗「なぁ、仁人」
仁人「ん?どした?」
汗でシャツが張り付くような
じめっとした暑さ。
秋の始まり、夏の終わり頃。
学校の帰りである2人は、
静かに電車に揺られていた。
勇斗「俺たちもう卒業だな」
仁人「中学卒業なだけだけどね笑」
「これからは高校生だぞ?」
勇斗「・・・まぁそうだけど」
仁人「なに?なんかあんの?」
電車の窓から見える懐かしい景色。
毎日、この風景を見ながら
3年間過ごしてきた。
俺は、県外の高校へ行くから
もうこの懐かしい景色を見ることも、
仁人と会うこともないだろう。
お互い忙しくなるだろうし。
多くの思い出が詰まっていて、
でもそれでいて変わっていく。
この窓から見える景色だって、
1秒たりとも同じだったことは無い。
隣にいる、こいつだってそうだ。
笑顔も、悲しみも、怒りも、全部。
不変は俺には訪れない。
俺は、今、変わりゆく不安に
苛まれているのだ。
窓の外の景色は変わっていくのに、
なぜ俺は、ここで、立ち止まっているのか。
窓に映る俺は、こんなにも惨めなのか。
仁人「勇斗…?」
勇斗「あ…いや、なんかなーって笑」
「俺県外だしさ」
仁人「確かに…俺勇斗居なくなっても
高校でやっていけるかな…」
勇斗「いけるって笑」
車掌「次は霧島…霧島…です」
「お忘れ物がありませんよう
お気をつけください」
仁人「あっ…そろそろだ」
勇斗「・・・なぁ、仁人」
仁人「ん?笑なんだよさっきからー」
勇斗「・・・俺、本当は」
仁人「何?」
勇斗「本当は…」
プシュー…
仁人「あ、ドア開いた」
「ごめん帰ったらLINEしてくれる?」
「じゃまた!」
勇斗「あっ…」
車掌「次は終点、岡崎…岡崎…です」
「ご乗車頂きありがとうございました…」
・・・俺は、お前のことが…
勇斗「また、言えずじまい…」
やっぱり俺は、変われないんだ。
勇斗「っ…!!!」
ばっ!!と体を起こす。
いつの間にか電車の中で
寝てしまっていたみたいだ。
窓の外は一面真っ白で、
上から粉雪が降っている。
電車の中から見える景色は、
ある人が見れば綺麗と言うだろうし、
また違う人が見ればひどく辛いと
言うだろう。
俺は後者である。
大人になった今も、
変わりゆく何かが苦手だ。
どうしても、この世界で俺だけが、
取り残されているような気分になるから。
誰かが昔言っていた。
「変化の恐怖の中にこそ、
美しさがあるのだ」と。
ふざけるな。
そこには、後悔と自責の念しかない癖に。
プシュー…
電車から出ると、
俺が吐いた息は全て白に変わった。
勇斗「はぁ…」
いつも通りの日々。
いつも通りの生活。
いつも通りの行動。
そうだ。これでいい。
このままが、最適解なんだ。
しばらくして改札から出る。
そして俺は目を見開いた。
そこには、居ないはずの、
吉田仁人が居たから。
勇斗「は…?」
「なん…で、ここ、に…」
???「ごっめんごめん!」
「お待たせ〜」
仁人「もーおっせぇよ!」
「いいけどさ笑」
俺が固まっていると、横の改札口から
知らない女の人がでてきた。
何やら仁人の知り合いみたいだ。
・・・というか、いやあれは…
仁人「彼女なんだから許すよ笑」
勇斗「・・・」
彼女。
・・・ほらやっぱり、
人は変わっていくんだ。
俺を、俺だけをここにおいて。
俺は交通系ICカードを落としてしまった。
𝐞𝐧𝐝☕︎︎𓂃 𓅇
コメント
3件
見るの遅れましたすみません! 今回も神作です!! これからも頑張って下さい!
一番!1分前でした!めちゃ面白そう!また恋のすれ違いだあ 両片思いだったりしないかな
ちぇすとチャン.💛🍼🪽
はる☻
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