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すべて終わった
終わってしまった
なんとなく、 ずっとこのまま
出久と競い合って、
出久の背を追いかけていくって、
なんか漠然と、
ずっと…出久と一緒にいられるって…
勝手な思い違いをしてた
この喪失感は、
また更なる別の感情まで飛び火した
今まで ずっと
どうしたら強くなれるか考えてた
そん時の仮想敵は必ずデクだ
朝から晩までアイツから勝ちをもぎ取るには
そればっか考えて
寝ても覚めても、もちろん実践でも
俺の生活は出久のこと一色だった。
終わってしまった感情が何処となく
男女のソレに似ていて、
自分でも吐き気がした
切り替えようとリハビリを始めてみても、
デクが動けるようになったら顔を出しやがるし、
そもそも、ずっと空想のデクが発破をかけてくる
今の俺は出久の事しか考えられない
…嫌だ、
こんな劣情、
恋愛なんてそんな可愛いモンじゃねぇ
俺を見ろ
俺をずっと見ててくれ
ずっと俺だけを!!……クソッ!
「えぇ!かっちゃん?!もうヒーロー活動できるようになったの!?」
「ったりめーだ!いつまでも、ナメた動きしてッとNo.1ヒーローになれねぇ!」
「う、うん!頑張ってね!かっちゃん、ところでさ、」
「…!わりっ、俺ちょっといってくるわ!」
「ぁ、うん!気をつけて」
「フッ、誰に心配してンだよ、じゃ」
最近、明らかに僕を遠ざけるようになった
仲が悪くなった訳じゃない
むしろ普通におしゃべりできる幼馴染の友達くらいに関係に戻った
はずなのに、何故か遠ざけられている
それにかっちゃんの優しげな微笑みからは
諦めたような、
やるせなさを感じるような、
そんな笑顔にみえた
クラスの皆にも
かっちゃんの変わった様子があるか聞いたけど、
特にちょっと丸くなったくらいで
悩んでる様子は見受けられなかったみたい
1番可能性があるのは
僕が無個性になったことで
かっちゃんに気を負わせてしまった事
だとしても、何かおかしい
腹に思う事があっても
かっちゃんは、逃げ出すようなマネは絶対しない
一体どうしちゃったんだよ、かっちゃん…