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ち ょ こ 。
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かんな
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鷹槻れん

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#シークレットベビー
夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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『今日も一河はサッカー。昨日もサッカー、一昨日もサッカー、日曜日もサッカー!』
学校の帰り道。
塾に向かう水咲に遊べないと断られ、一河とも遊べていないことから不満が爆発していた。一河とボールで遊べると思って学校からサッカーボールを一個借りて帰ったのに無駄になってしまった。
『でも一河くんは県のサッカークラブでとても優秀なんだって。プロ選手も夢じゃないんじゃない』
『じゃあ益々遊べないじゃん』
『流伽。幼馴染なら、夢に頑張っている一河を応援してあげるべきよ。ほら』
一年生の時から水咲はしっかり者で、私にちゃんと理性で行動するように教えてくれていた。そんな水咲が指さした場所は、工事中の駐車場だ。
『あの駐車場が何?』
『あそこ、一河のためにサッカーのコートにするんだって』
『うあわあ、お金持ちい』
すぐそこの商店街や目の前の公園でお祭りがあるとき、あの有料の駐車場は大活躍なのに。一河のためだけにサッカーの練習場にしちゃうんだ。
『流伽、ごめん。家の車が迎えに来たわ。また明日ね』
『うん。明日ね』
道路にとまった高級車に水咲が近づいていく。
水咲も一河も、私とは比べ物にならないぐらいおうちがお金持ちなのはわかっていた。
でも威張ったり意地悪しないし、二人のことは大好きだったから卑屈になることはなかった。寂しくなることはあっても。
忙しい二人ともっと私は遊びたかったのかもしれない。
『う……うう』
駐車場を通り過ぎる前に唸り声を聞いて立ち止まった。
そして壁をどんどんと叩く音。
駐車場の中を覗くと壁がまだ上まで完全に立っておらず、奥のアパートが顔を覗かしていた。そのアパートから壁を叩く音がする。
私は手に持っていたボールをわざとそのアパートの方へ投げると、取るふりをして庭の中に侵入した。
その庭の一階のベランダに、子どもの洋服が干してあるのが見えた。私より少しは大きいけれど、同年代かなと期待に胸が弾んだ。
私と同じぐらいの年齢の男の子がいる。そう思って、私はボールをべランドの窓に投げつけた。
今考えると無鉄砲で、なんて失礼な行為だったんだろうって思う。成長した今ならばだ。
当時は誰にも遊んでもらえない時間が、とてつもなく孤独で嫌だったんだ。
しばらくしてそのおうちのベランダが開いた。
『あのお……』
遊ぼうって声をかけようとして、私は固まった。
同じぐらいの男の子だって思っていたのに、身体がとても大きい。
お洋服に包まれた肉まんみたいって、子ども心に酷い考えが脳裏をよぎっていた。
『なに?』
ほっぺの肉まんも落ちてきそう。身長と体重がきっと比例していない。
少し肥満気味の男の子だった。ただ、目だけは青くて空みたいに綺麗だった。
『綺麗な瞳だね。お空みたい』
『だから、なに?』
『へへ。一緒に遊ぼうよ』
こんなに目立つ目と体格で、公園のすぐそばの家に住んでいるのに初めて見る子だった。
今までどうして見たことがなかたんだろう。
『だめ。俺、帰ったら押し入れにはいってなきゃ、怒られるんだ』
『どうして?』
『家では押し入れから出たら、殴られるんだよ。それがお父さんの命令だから』
ほら、と男の子はTシャツをめくる。するとぷるんと大きなお腹が飛び出したが、青く変色していた。私が机の角でぶつかって痣ができたような変色が至る所にある。
『それ、痛い痛いなの?』
『当たり前だ。押し入れの中で音を立てたら殴られるから、ぎゅっと丸まってなきゃいけない。もうすぐ帰ってくるから、押し入れに居ないとボールみたいに蹴られる』
『なんで!? おにいちゃんはボールじゃないじゃない!』
驚いて声をあげると、男の子はその大声に少し怯えていた。
怖がらせてしまったようだ。
『お父さんがいじわるなの? おにいちゃんをいじめるの?』
『いじめじゃなくて、躾ってやつだよ。俺が従わないから』
『でも私はお兄ちゃんとあそびたい。子どもの仕事は遊ぶことだよ』
『うーん。あのさあ』
面倒くさそうに頭を掻いていたが、アパートの前でトラックが停まる音がすると『さっさと帰れ』とベランダを閉められた。
『もう少しはやく来たら、今度は遊んでねー』
私が大きく手を振るが無視された。それとボールが彼のベランダに転がったままだった。