今はまふゆのみがいないナイトコード。今日、と言ってももう昨日だが、大会もあったし仕方ない。休むという連絡が無いのだが、来るつもりなのだろうか。
『……雪、大会どうだったんだろ』
『大会?』
「あー、Amiaにだけ伝えてたやつ。なんでよ、私達にだって伝えてくれても……」
『『嫉妬?』』
「なんでそこがハモるのよ、おかしいでしょ!」
嫉妬とかではなく、単純な疑問だ。まふゆがそんなことを何故瑞希にだけ伝えたのか。
まあ私も二人に秘密でまふゆの大会を観に行ったし、どっちもどっちか。
「あ、噂をすれば」
ナイトコードにまふゆからのチャット。
──今日、少し遅れる。
大会もあったのだからゆっくりすればいいのに。
別に来なくてもいいから、と送って作業を再開する。
『えななーん、別に来なくてもいいからって冷たくない?』
「はあ? そんなもんよ」
『違うよ瑞希。これは大会で疲れてるだろうから、今日は来なくてもいいよっていう隠れたメッセージがあるんだよ』
『ははーん、なるほどね。ツンデレってことか〜』
「っ違うから!」
ツンデレにはなったつもりはないが、意味としては合っている。そうだ、全くのその通りなのだ。見透かされている、奏に見透かされている。たまに鋭い時があるのだ。しかしその逆、全くかすりもしないことも言う。天然というやつなのだろうか。恐ろしい、無自覚の刃。
そんな奏が、言葉を放つ。
『それで、雪の大会だけど、えななんの応援もあったし大丈夫だったと思うよ』
「K……?」
『K、どういうこと?』
『実は、昨日セカイでえななんが──』
「待って待って待ってストップストーップ、どうしてそれを奏が……」
まさか見られてた、そんな。いや、ありえないことはない。だって、まふゆが話すわけもないし、リンが伝える理由もない。
「待って見られてた……!?」
『ありがとう、絵名』
「待ってここでお礼を言われる理由が分からないんだけど」
『おかげでいい曲ができそうだよ』
「待って本当に待って」
頑張ってね、えななん。
そんな瑞希の謎の応援に背中を押されてただ恥を忍ぶ。何故応援されているのか、そもそも何故感謝されたのか。分かる日は来るのだろうか。
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