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──────時の悪魔視点──────

俺は交渉を持ちかける。時を止めた影響により、天才の悪魔Iれいまりは動くことができない。けど、俺の仮定が正しければ、こいつは今、時が止まったことを理解し、話すことができるはずだ。何故ならば、こいつの能力は《盤上掌握》で、この世界の未来そのものに干渉する力を持っている。───世界に直接干渉する力は神に愛されたものしか得ることができない。そう、もうひとりの俺が言っていた。世界に干渉できる力を持つものは、その存在を感知できるらしい。だから、おそらくこいつは時が止まったということに気づいているはずだ。そう確信を抱きつつも、俺は交渉を続けた。


「この時が止まった空間で、俺に魔法の使い方を教えて欲しい。交渉に応じない限り、お前はこの時間が止まった世界に閉じ込められたままだ。」


あたかも、それ以外にこの世界から逃げ出すことができないようにいう。実際に俺の意思以外でこの世界から抜け出すことは不可能だ。だから、天才の悪魔が交渉に応じるのは当たり前で───。


「嫌。私はこれ以上弟子を取るつもりはない。それに、面倒くさいのは嫌いなんで。それに、年上ぶってますけど、時を止めたのは1回で、しかも1日。あなたは別に何百年も生きてませんよ。それくらい分かります。」


騙されなかった。と、内心舌打ちをする。その通りだ。俺は、肉体も精神もまだまだ未熟な子供である。けど、力だけは本物なのだ。だから、俺は気にしないフリをして交渉を再開する。


「…嘘をついたのは悪かった…です。けど、実際、時間が止められた空間から出るには、俺の力以外出ることは───。」

「出れますよ。大人をあまり舐めない方がいい。それに、あなたは何をしたって魔法を使うことはできない。」


俺はその言葉を聞いて目を大きく見開く。どういうことだ。なんで。疑問が絶えなくて、それについて聞きたいのに、驚きのあまり声が出なかった。しかし、俺が尋ねずとも彼は俺が聞きたい情報を話してくれる。《天才》と世界から認められただけはあるその頭脳に俺は驚きつつも、耳を傾けた。


「あなたには魔力がある。けど、魔法は絶対に使えない。何故ならば、魂に呪いがかかっているから。前世、あなたは天使に呪われたんですよ。本来は、戦う力そのものを縛られていたのに、神は代わりに時を止める力と武力を授けた。戦えるようにしてくれたんですよ。感謝した方がいい。」

「ちょ、は?前世?俺の前世ってなんなんだ「なるほど。俺は見事にしてやられたってわけか。」


俺の声で、俺の意思と違う言葉が紡がれた。それが、誰なのか俺は知ってるけど、知らない。《もうひとりの自分》ということは知っているけれど、それ以上のことを知らない。今まで、力による影響で二重人格になったからだと思っていた。戦えない俺を、鼓舞するために生まれたもうひとりの人格だと。───しかし、俺の意思とは違い、精神を侵すような脳の痺れで体が痙攣する。俺の体はまるで時を止められたかのように硬直したあと、電気がビリッと体全体に流れ、俺の意思とは無関係に動き出す。俺は、寒気に襲われた。心臓はドクドクと高速で脈打つのに、汗ひとつ流れない自身の体が気持ち悪く感じる。


「んで、天才の悪魔さんはどれくらい俺の事について知っている?」

「…今のあなたは元憤怒の悪魔ですかね。第2次天使悪魔戦争に七つの美徳の1人忍耐と相打ちしてしまった方、と認識してますよ。」

「…俺のことよく知っているな。」

「知識の悪魔になりたかったので、徹底的にあらゆる分野で知識を集めました。ま、その結果なんとなく察しただけですよ。」

「…いや、それだけじゃ分からないはずだ。───お前、この世界の何を知っている?」


今度は、冷や汗が額をつたい、顎を通り、ぽたりと落ちた。時が止まった空間で、唯一思い通り動ける俺が浮かべたのは困惑で、恐怖だった。なんの音もしない空間は不気味な空気を漂わせていると言うのに、その空気すらもその悪魔を恐怖し、近づこうとはしない。

「ははっ。」その悪魔は、乾いた笑いを浮かべたあと、ゆっくりと振り返る。───時が止められた空間で、俺以外が動いた。そんなこと、有り得るわけがない。俺も、もうひとりの俺もそれを知っている。だって、動けなくさせているのは、1人の悪魔じゃない。神の力なのに。その空間で動けるこいつはなんなんだ。悪魔を超えた───神すらも超える《何か》なのか。唾を飲み込む。カラカラな喉を潤し、俺はそいつを見る。

そいつが、振り返る。その悪魔の存在を世界が拒むかのようにそいつの周りだけにノイズが走り、ゆらゆらと揺れる。


「《全部》──────と、言ったら?」


そいつの目が、口が赤く光る。時が止まった空間が一瞬黒く塗りつぶされ、それが、点滅するように何回も、何回も繰り返される。


「そう、私の能力は盤上掌握。本来馬鹿な私ならば授かることがなかった能力。なら、本来私が受け取るはずだった力は?個人的にはこっちの方が好きなんだけどなぁ…。」

「何、言ってるんだ?前世、前世の話か?馬鹿な私って…。お前は、実際天才の称号を世界から───。」

「──────《神堕ろし》」


俺は、ありえないものを見た。空間が切り裂かれたかのように、黒い穴のようなものがそいつの上に広がり、そして、ある日見た時の神が穴の中から現れる。無数の黒色の糸のような、触手のような、絡まった何かが絡みつき、美しかった神のあられもない姿───顔は闇に侵され、髪はその触手めいたものに絡まれ、蜘蛛の巣のようなものを作り出す。美しかったものが、神が下界に降ろされたことで汚されたかのように違う何かにかき換わる。なんだ、これは。

俺の理解を待たず、その悪魔の下には無数の時計がクルクルと周り、そいつが歯車に巻き込まれ、一体化していく。そして、そいつは両目に時計───いや、時を映し出す。

こいつは、世界が認めた《化け物》だと、ようやく理解する。世界が天才と呼ぶのは、世界がその存在を理解できないからに他ならない。我々は理解できないものを馬鹿か天才という。こいつは、その両方なのだ。その時、ようやく理解する。

俺は、選ぶ相手を間違えてしまったのだ、と。


「ほら、大人を舐めちゃいけませんよ。この空間から出られないなら、神を《使役》すればいいんですよ。ほら、これが見たかったんでしょう?たった数百年しか生きれなかったやつが七つの大罪だったからと強がられるの、嫌なんですよ。私は、お前が嫌いだ。何も出来ないで、他者に頼ることしか出来ないお前が嫌いなんだよ…!!…違う。この世界のお前だけが嫌いだ。」

「…はっ。若造で悪かったな!!弱くて、自分がどれほど惨めでも!!俺は、俺がやりたいようにやるんだ!!お前の好き嫌いなんて知らないんだよ!!」


ただの、強がりだった。こんな化け物に言葉を発するのすら怖かった。神より強い者が居てたまるか、そんなことを思っていたはずなのに、実際に目の当たりにすると生存本能が逃げろとガンガンと警報を鳴らすレベルには強く、強く恐怖を抱いていた。


「…まあ、いいや。別に。なかったことにしよう?今回は。私にとってこの物語はどうでもいいし、全て壊してもいいんですけどね。私が去った後も、この世界は回り続ける。…見逃してあげますよ。この話は既にルカさんが死んでますし。ハッピーエンドはどっちみち不可能。暴れる必要性もない。大人しく静かに散っていく予定なのでご安心を。」

「何、言ってる、の?」


もう、話についていけなかった。まるで、俺ではないなにかに話しかけているような。世界の裏側、もしくはもっと先にの誰かに───。


「…堕ちろ。《記憶の神》。今の、この話を全て、無かったことに。記録も、記憶も全て抹消する。」


そいつの姿が変わる。辺りには光り輝く本が何十冊も浮かび上がり、舞い、そしてさらに強く光り、照らし続ける。


「さよなら。過去に縛られた悪魔。精々ラテさんが死ぬまでの間恋愛ごっこをお幸せに。」


それだけ言い残して、世界は強い光に包まれた。





存在する記録は残されておりません。

存在する記録は残されておりません。

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データは削除されています。もう一度ご確認の上、やり直してください。




























ここで切ります!今回は物語の都合上消された存在である本来の世界のれいまりさんが受け取っていた能力をちらりとおみせしたくて書きました!また、ウパさんの深堀もついでに…。ちなみにこの力は神を強制的に魔界に降ろしているので、神界にいた神が下界に汚されてる影響で黒いモヤモヤがつくイメージです。イラストが着いたら1部の人がトラウマになりそうですね!はは!

まあ、どの神でも降ろせる訳ではなく、1度、下界に干渉、訪れた神であり、なおかつ最高神以外の神なら一時的に使役するってイメージですね。


それでは!おつはるー!

『ー昨日の記憶ー』

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