テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
秋の光は、夏よりすこしだけ柔らかい。
河川敷の道を歩くと、
風に揺れる花が一面に広がっていた。
「うわぁ〜!!」
日葵が駆け寄る。
薄桃色の花が、揺れる。
「コスモスだ!秋って感じするなぁ〜」
「綺麗だね!」
「うん、綺麗だね」
「ねぇ、コスモスの花言葉って知ってる?」
「うーん…知らないな」
「”調和“とか、”乙女の真心“なんだって」
くるっと日葵が振り返る。
「どう?似合う?」
「うん、…似合ってるよ」
「本当に思ってる?」
笑い声が風に混じる。
でも、前にみたいに全力で走らない
ほんの少しだけ、歩幅が小さい気がした。
「コスモスってさ、弱そうに見えるよね」
細い茎が、大きく揺れる。
それでも、折れない花。
「でも、意外と丈夫なんだね」
日葵はしゃがんで、そっと茎に触る。
「風がやんだら、また元に戻るの」
立ち上がったとき、少しだけふらついた。
ほんの一瞬。
「……大丈夫?」
「うん、大丈夫…!最近立ちくらみするだけ」
軽い口調。
でも、目はどこか遠い。
「私もさ」
「コスモスみたいに、なれるかな」
「え…?」
「ううん、なんでもない!」
そう言って、日葵は歩き出す。
折れそうで、折れない。
あのときは、
それが”強さ”だと思ってた。
でも本当は、
戻れない揺れも、あるのだと。
コスモスの花言葉──「調和」「乙女の真心」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!