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石段の先に、赤が揺れていた。
「うわ…彼岸花だ」
日葵が足を止める。
墓地の端に、彼岸花が群れて咲いていた。
風が揺れる度に、炎みたいにみえる。
「彼岸花が好きな人って、”縁起悪い”とか軽薄されることが多いよね……」
「確かにさ、花言葉でも”悲しい思い出“とかあるけど…」
日葵が静かに言う。
「そう?俺は、縁起悪いなんて思わないな」
「……わかってる〜!もうひとつの花言葉は
”再会“なんだよ〜!」
赤い花は、葉もなく、ただ真っ直ぐに立っている。
「なんか、不思議だよね」
線香の匂いが、風に流れる。
墓前に手を合わせる。
静かな時間。
帰り道、彼岸花の前で足を止める。
「ねぇ」
日葵は彼岸花を見たまま言う。
「また会えるって思えたら、怖くないのかな」
「何が?」
「…別れとかさ」
その言葉が、やけに静かにおちた。
すぐに、いつもの顔に戻る。
「なーんてね!重い話はやめよっか!」
でも、俺の手を掴む手は離さない。
赤い花が揺れる。
彼岸花は有害植物。
綺麗で、でもどこか壊れやすい。
あの赤い花は、ただの秋の色だと思っていた。
それなのに、
境界の花なんて知らなかった。
彼岸花の花言葉──「再会」「悲しい思い出」