テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
晴空 めると 🌙
楓-Kaede
石段の先に、赤が揺れていた。
「うわ…彼岸花だ」
日葵が足を止める。
墓地の端に、彼岸花が群れて咲いていた。
風が揺れる度に、炎みたいにみえる。
「彼岸花が好きな人って、”縁起悪い”とか軽薄されることが多いよね……」
「確かにさ、花言葉でも”悲しい思い出“とかあるけど…」
日葵が静かに言う。
「そう?俺は、縁起悪いなんて思わないな」
「……わかってる〜!もうひとつの花言葉は
”再会“なんだよ〜!」
赤い花は、葉もなく、ただ真っ直ぐに立っている。
「なんか、不思議だよね」
線香の匂いが、風に流れる。
墓前に手を合わせる。
静かな時間。
帰り道、彼岸花の前で足を止める。
「ねぇ」
日葵は彼岸花を見たまま言う。
「また会えるって思えたら、怖くないのかな」
「何が?」
「…別れとかさ」
その言葉が、やけに静かにおちた。
すぐに、いつもの顔に戻る。
「なーんてね!重い話はやめよっか!」
でも、俺の手を掴む手は離さない。
赤い花が揺れる。
彼岸花は有害植物。
綺麗で、でもどこか壊れやすい。
あの赤い花は、ただの秋の色だと思っていた。
それなのに、
境界の花なんて知らなかった。
彼岸花の花言葉──「再会」「悲しい思い出」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!