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#文芸アクション
大正
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コメント
1件
おお、第10話読んだわ!翠子さんのパワーすごすぎて笑ったw 「ペリエ持ってきて」とかタワマン居候とか、まさかの逆転裁判(?)状態で佑里香さんが大変そうすぎる…。でも睦月くんが信じてくれたところでちょっと胸熱になったわ。お嬢様キャラのエグさと主人公の耐える姿のギャップが刺さる🔥続きどうなるのか気になる〜!
「ああ痛い。ちょっと、あなた、包帯を取り換えてくださらない?」
「は、はいっ」
「喉が渇きましたわ。ペリエを持ってきてくださる?」
「は、はいっ、ただいま!」
「遅いわね。わたくしに怪我をさせたのですから、もっときびきび動きなさい!」
「は、はいっ……」
お嬢様の我儘ぶりに振り回され、ため息をついた。
私は今、睦月君の婚約者という湯川翠子さんに顎でこき使われている。
しかも自宅マンション(タワマンの方)で。
翠子さんは足を怪我してしまい、動けないので居候することになってしまったのだ。
どうしてもここで生活がしたいと我儘を言われ、怪我をさせてしまった手前断れず、今に至る。
なぜ、こんなことになったかと言うと――
睦月君の戦略のおかげで、毎日100個のだしまき弁当と、日替わり弁当100個が折り紙の売り上げになり、さらにSNSでの宣伝が功を奏し、折り紙は再び活気のある食堂へと返り咲いた。
初日はまだよかったが、徐々に客足が伸び、5日目で遂に開店前から列ができたのだ。仕込みが追い付かず、また、人手も足りないだろうとのことで、大脇さんを貸し出ししてくれたのでなんとか3人で回し、閉店までお客様が途切れずへとへとになっていた時のこと。
「奥様、お先に失礼いたします」
大脇さんは睦月君に業務報告があるようで、適当なところで帰っていった。彼が手伝いに入ってくれたから、なんとか乗り切れた。よかった。
店じまいをしていたところに、お客様が訪ねてこられた。看板を片付けているところだった。
「少しよろしくて?」
絵に描いたお嬢様。まったくこの風景に溶け込んでいない、異質な容姿。町の小さな食堂ではなく、豪華なホテルに出入りしていそうな雰囲気の女性に声をかけられ、驚いた。
「お店は終わりかしら?」
「あ、はい。本日は食事が完売してしまいましたので、閉店とさせていただきます。また明日、改めてお越しいただければ――」
「わたくしがこんな店で食事をするとお思い? 勘違いも甚だしいわね。わたくしは、あなたに用事があってきましたの。高梨佑里香さんでお間違いなくて?」
目の前の女性が大変威圧的に私を見据えた。私の声掛けが気に入らなかったようだ。
「はい、高梨佑里香はわたしですが」
「あなた、睦月様と結婚しているってほんとうですの?」
「あ、はい」
「……だめ。ぜんっっっぜん、だめ!」
はい?
いったいなにがダメなのだろうと疑問に思っていると、目の前のキレイなお人形のような令嬢は般若の顔で私に言った。「睦月様にはまったく釣り合っていませんわ!!」
……ですよね。
そんなこと、あなたに言われなくても私が一番わかっていますが。
「今すぐ別れなさい」
「あ、でも、この結婚はふたりで決めたことなので…」
偽装ですとはとてもじゃないが言える雰囲気ではない。むしろ伝えたら諸手を挙げて喜ばれそうな勢いだ。
「だまらっしゃい! あなたのようなド底辺のド庶民が、睦月様に釣り合うはずもないのよ。打診された時点で断るべきではなくて? 年も相当上のようですし、恥ずかしくないのですか?」
「それは、あなたに関係のないことですよね? お客様でないのであれば、仕込みなど仕事が残っているのでこれで失礼してもよろしいですか?」
「まぁぁっ……! 逃げるのですか! 卑怯者!!」
「いえ、店じまいや明日の準備があるので……」
「さっさと別れなさいよこの泥棒猫! わたくしが、睦月様と結婚するはずだったのですからっ!!」
ぐい、と髪の毛を掴まれた。
「いたっ」
ご令嬢は私の髪を容赦なく引っ張ってくる。「いたい、やめてくださいっ」
「睦月様と別れろ――っっ!!」
まるで鬼だ。必死に振り払おうとするが、離してもらえない。
「なにしてるのっ!?」
押し問答をしているところへ、睦月君が現れた。助かったと思ったけれど、災難はまだ続く。
「ああっ、やめてくださいませんこと!?」
睦月君の姿を見かけたご令嬢は、私の髪を引っ張っている手を緩めた。
「きゃああっ」
そして、こともあろうに私の手を自分の肩に押し当て、わざと後ろに倒れこんだ。
「いたぁぁぁぁぁ――――い!」
えっ……。私なにもしてないのに……。大げさに叫ばれちゃったよ……。
「睦月様ッ、ひどいのです! 奥様と話し合おうと思っていたら突き飛ばされてえッ」
「や、ちが……」
突き飛ばしてない!
「ひどぉぉぉぉぉ――――いっ」
ご令嬢はぼろぼろと涙を零して泣き出した!
え”え”え”え”……。
「翠子。佑里香さんが君を突き飛ばす理由なんかないだろうっ。こんな…ありえない!!」
睦月君は私のことを信じてくれている。それが救われた。
「痛いっ。足をくじいてしまいましたわ。責任取ってくださる?」
「待ってください! 私、なにもしてない――」
「責任を取って下さらないなら、わたくし、あなたに突き飛ばされたと言いふらします。こんなボロ店、いつでも潰せるのだということをお忘れなく」
「そんな……」
「ご自宅にお邪魔させていただけませんこと? わたくしの面倒を見てくだされば、許して差し上げます」
どういう展開になっちゃっているの!?
お嬢様の思考にはついていけないわ……。