月に届くまで

「バナナチョコカスタード1つといちごバナナ1つで」

「はーい、えーと、ろっ、ぴゃくさんじゅう円です」

文化祭当日。嬉しいことにうちのクレープ屋が繁盛している。

「キャラメルバニラホイップ2つとバナナアーモンドホイップ1つお願いします」

「えっと、、800、、？10？」

「910」

私が萩原の方を見ると萩原はすぐに答えた。

「バニラチョコホイップ3つで！」

「はい、えと、1120円です」

「1020」

「あっごめんなさい1020円です」

予想以上に混んできたため、代表者にまとめて注文してもらうという形になり計算が大変になってしまった。

「電卓使えよ」

「なんかダサいじゃん使ったら」

そう言うと萩原は、あっそう、みたいな顔をした。

「お釣りが、、さ、違う、ん？、240円です」

「、、340円だろ」

萩原が100円玉を一枚私の手のひらにのせた。

お客さんは笑ってくれるが何回萩原に訂正されたことかもう私は苦笑いしかできない。

「代われ」

「え、でも」

「いちいち訂正すんのだるいから」

萩原は半ば強制的に仕事を交替させた。