テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「 パニック障害 」
もとぱ
元貴side
「 …..やばい。やばい…..ここ、どこ……? 」
空気が薄い。
喉の奥が焼けるように熱くて、息が上手く入ってこない。
自分が今何処にいるのか、何をしていたのか。
全部 思い出せない。
元貴は、駅のベンチにうずくまっていた。
電車の中で急に胸が苦しくなって
心臓が暴れてるみたいに鼓動を打ち始めて。
逃げ出すように降りて…
そこから…..何分経ったのかも分からない。
「 だめ…..止まんない…苦しい…苦しい….. 」
両手が震えていた。
誰の声も届かない。
自分の息遣いだけが、爆音みたいに響いていた。
「 もとき___! 」
その瞬間、どこか遠くから 聞き慣れた声が飛んできた。
「 元貴!! なぁ、ここだ 俺居るから! 」
息を切らして駆け寄ってくる足音。
視界が滲んでいるのに、滉斗の顔だけがはっきり見えた。
「 触っていい? 怖かったな、今…..大丈夫 俺ここに居るからな。」
滉斗はゆっくりと、震える元貴の背に手をまわして、そっと抱きしめる。
「 俺の声、聞こえるか? 」
「 …..ひろ…..と… 」
「 ゆっくり、息吸って。俺と一緒に せーの 」
「 吸って、吐いて……吸って、吐いて….. 」
滉斗の手の温度が、元貴の背中にじんわり広がっていく
脳内をぐちゃぐちゃにしていたノイズが 少しずつ、薄れていった。
「 …..苦しかった。すごく、怖くて… 」
「 わかってる。無理に話さなくていい。でも 元貴はもう1人じゃない。」
「 この先、何度こうなってもいい。俺が 必ず見つけるから。」
「 …..うん… 」
ベンチに座る2人。
駅の喧騒の中で、そこだけ静かな世界のようだった。
滉斗は元貴の手を握ったまま、決して離そうとはしない。
「 元貴。これからも何があっても、俺だけは 味方だからな。」
目の前が見えなくなるほどの不安。
息ができないほどの恐怖。
それを打ち消すように響いた、大好きな人の声。
名前を呼んでくれるだけで 世界は戻ってくる。___
#7.「閉じ込められた鼓動と、名前を呼ぶ声」
パニック障害。ある意味あまり知る機会が無いかもですね。これを機に少し知ることができたらな
コメント
4件
わーーー!更新待ってました🤩 本当にパニック障害っていつなるか分からないから本人がいちばん怖いですよね、 大森さんが大変な時に駆けつけてくれる若井さんイケメンすぎて。🫠 今週の学校もがんばれそうです!!
今回も最高過ぎだよっ~!! パニック障害…あんまり知らなかったな、 次回も楽しみにしてる‼️
今回も最高でした!表現力?とかめちゃくちゃ上手いです!次も楽しみです!