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あれから60日が過ぎ、季節はそろそろ秋へとむかう。


日中の暑さは残るものの朝晩は過ごしやすくなった。


ナナに頼んであったシロの首輪 (マジックベルト) も手に入ったし、そろそろ旅にでるのもいいだろう。


ダンジョン・デレクのこともあり、王都には一度行ってみたかったのだ。


暑い中の移動は大変なのだが、行商の旅を経験している俺たちには何も問題はない。


それに王都はライン上だ。


ダンジョン間を結んでいる地脈ライン上であれば何処へでも転移することができるのだ。


ただ、転移できる事は秘密なので日数は合わせる必要がある。


このサミラス領の東にあるモンソロから王都へ上る場合、天候にもよるが馬車で9日程かかるらしい。


急ぐ場合にはサミラス領の領都があるアークを経由すれば7日ぐらいで届くそうだが。


こちらのルートは王都バースまでの経由地が少なく、たびたび盗賊が出没しているそうだ。


ゆえに、騎士に守られた貴族の馬車やたくさんの護衛を雇える大商隊でない限り、ミークス領を縦断していくルートが最も安全だということだ。


ほとんどの商人がこの道を通っているらしい。


それにミークスは商業都市として流通の拠点にもなっているところだ。


このことからも、ダンジョン・サラが稼働を開始すれば、モンソロからミークスへの道はもはやゴールドラインとなり、街道は発展し大いに賑わうことだろう。


………………


実際にミークスを通るのは王都からの帰りでいいよな。


今回は全行程を40日で見ているので、帰りなら涼しくなっているだろうし。


すでにマクベさんには話を通してある。


カイアさんはメアリーのことをかなり心配しているようだが、


『かならず元気に帰ってきますから』と何度も言ってるんだけど……。


ミリーも寂しそうにしているが、これは仕方がないな。


『お土産いっぱい買ってくるから!』と、なんとかミリーを説得していた。






ダンジョン・サラの攻略も17階層まで終わっている。


冒険者活動をおこないながらボチボチ進めているといった感じだ。


剣や槍の訓練は毎日やっている。


時間が合えば、アーツやカニサイ先生に指導を頼むこともある。


ダンジョンリビングにもときどき行って、サラとスイーツの研究をおこなっている。


そして、この程ようやく『生クリームさま』を完成させるに至った。


これでスイーツ作りが楽しくなる。クレープも格段に美味しくなるぞ。


あとは膨らし粉が欲しい。せめて重曹があればと思う今日このごろです。はい。


………………


ダンジョン攻略においては、俺とシロの実力からして対応階層は50階層より上だろうとのことだ。(サラの意見)


だからもっぱらメアリーのレベルアップに付き合っているかたちだな。


もちろん、メアリー本人の希望があってのことだよ。けしてイヤイヤやらせてる訳ではない。


モンスターを前に懸命に戦う姿は実にいいものだ。


ついつい応援したくなってしまう。


強敵を倒した時にだけでる『ヤター!』と両手でおこなうガッツポーズ。


これがまた可愛らしいのだ。


それではがんばっているメアリーのレベルをば。



メアリー・クルーガー Lv12


年齢 6

状態 通常

HP 4646

MP 58/38(+20)

筋力 28

防御 20

魔防 24

敏捷 36(+5)

器用 21

知力 23


【スキル】 魔法適性(光・風・水・聖) 魔力操作(4) 槍術(1)

【魔法】 光魔法(2) 水魔法(3) 聖魔法(1) 風魔法(3) 身体強化(2)

【称号】 大公の庶子、シロの妹、ゲンの家族、兎の天敵、オークキラー、

【加護】 ユカリーナ・サーメクス



今はこんな感じ。


レベルが10過ぎると途端に上りが悪くなるんだよな。


それでもこの短期間に2つも上がるんだから、女神さまの加護ってやっぱりとんでもないものなんだね。まあ、俺とシロがいるこの環境もかなり影響してるんだろうけど。


冒険者のランク的に言えば、ざっとだがDランクの上の方だと思う。


だから最近では本気は出すなと言ってある。


もはや悟○の娘だな。


そのうち舞空術覚えて空を飛びそうである。


槍《やり》のカニサイ先生にも、たまに稽古をつけてもらっている。


ただ、背がちんまいのでリーチが足りないんだよね。


まあ、そこは上手くスピードでカバーしているようだけど。


それにしても、メアリーは本当に強くなった。






あと、変わったところといえば……。


先にも少し触れたと思うが、サラのことだな。


そうダンジョン・サラである。


あのクレープを食べてからというものスイーツ作りに目覚めてしまったようだ。


そのスイーツ作りの材料となる小麦や各種フルーツを自家栽培するという腰の入れようだ。


そして最近ではダンジョンの一部を改造して乳牛まで飼育しているのである。


それならばと、ミルクが長持ちするように加熱殺菌{65°で30分}を教えている。


さらには、加熱処理したミルクを冷却する際に分離してできる生クリームを別に保管するようにも教えた。


俺はこれに砂糖を加えホイップクリームを作ると、細かくカットした果物と一緒に焼きあがったクレープに巻いて出してやった。


それを食べたサラにまたもや激震が走った。


文字通りダンジョンが揺れたのだ。


その地震による影響がモンソロの町まで出ており、冷や汗をかく一面もあった。


「最近たびたび地震が起きて恐いなぁ」とマクベさんが言っていたが……。


その原因がダンジョンにスイーツっを食わせたからだなんて言えるはずないよね。






そして魔道具屋のナナにも王都でのおすすめの宿や取引のある商人などを紹介してもらった。


その謝礼に川魚を要求されたが、そのくらいはお安いご用である。


今度、港町にでも行くことがあったらお魚をいっぱい持っていってあげよう。


旅支度もだいたい済んだので、『少しのあいだ町を離れます』と知人に挨拶してまわっている。


市場でよく合う串焼き屋のおっちゃんに服屋のおばちゃん。


シベア防具店のモヒカンに、教会にも顔をだし、お祈りしたあとシスターマヤに挨拶してお


最後は冒険者ギルドだ。


立ち寄ったのが夕方だったので、運よくアーツとコリノさんに出会うことができた。


二人と挨拶を交わし、俺はカウンターへ届けを出した。


C級以上の冒険者が拠点を変えたり、長くギルドを離れる際はカウンター窓口に申告する決まりなのだ。


これは緊急時の戦力把握が主な目的になっているという。


そこでギルマスにアポイントを取ったら、すんなり会ってくれたので挨拶だけしておいた。


「そうか、王都へ行くのか。それなら街道にでる盗賊のひとつも潰してきてくれると助かるな。ガハハハハハッ!」


そんな感じで冗談まじりに送り出されたのだった。






そして翌日。


みんなに見送られて家を出たのはいいが、ミリーが大泣きして大変だった。


なんとかみんなで宥め、サラ特製のオレン飴をミリーの口に放り込む。


泣き止んだところで手を振って別れてきた。


………………


俺とシロ、メアリーはそろって西門をめざし町中を進んでいく。


この町の顔とも呼べる西門は人や馬車の往来がとても多く賑やかしい。


道端に出ていた露店で干し肉を買い、みんなで食べながら西門を潜った。


本来ならばミークス方面に向かっていくところだが、俺たちは領都であるアーク方面に進んでいる。


こちらの方は馬車は多いが歩く人が少ないのだ。


それにこちら側には地脈が走っているからね。(これ重要)


しばらく道なりに進んでいくと馬車も人も自然とばらけてくる。


俺たちは街道から少し逸れ、森の中に入った……と同時に転移した。


向かった先はオーレン山脈の中にあるという『ダンジョン・デレク』だ。


王都へ向かうあいだの9日。時間の調整が必要だよね。(暇つぶしともいう)


それにデレクと交わした例の約束もあるので、一度 現地を訪れてみたかったのだ。


転移して出てきたのはダンジョン前広場のようだ。


ここもサラの所と一緒で、塵ひとつ落ちてないクリーンな空間が広がっている。


ただこちらは、周りを鬱蒼としたジャングルに囲まれていた。


(なんだよここってば、富士の樹海かよ!)


ふむ……、これでは人を呼んだところでどうなんだ?


まずはこの辺からだよな。


俺はメアリーを腕に抱えたまま上空に結界を出していき、それを足場にして上へ登っていく。


「――ふおぉぉぉぉっ! ゲンパパ高いねぇ!」


メアリーは大喜びである。


30m程上がってきたが、とても眺めがいい。


樹海に阻まれてしまって、この景色が見えないとはもったいない。






さっそくダンジョン・デレクに指示を出していく。


(デレク、聞こえているか?)


[大丈夫だ主。聞こえている]


OK! ちゃんと言葉は通じているようだ。


(それではデレク、まずダンジョン正面の広場から100m。左右にそれぞれ60°ずつ見える範囲の木々や岩など全て移動もしくは伐採しろ)


[はい主。了解した]


そう答えるやいなや、下に見えているジャングルがどんどん削り取られていく。


………………


おお――――っ、だいぶサッパリしたなぁ。


(今、削り取ったジャングルとの境に幅2m、高さ3mの土壁を形成してくれ)


[はい主。了解した]


おうおう、よしよし、これで土台はできたぞ。


(この広場の右側に小川を引き込んでくれるか。幅は3mで頼む)


[はい主。これで良いか]


おお、いい感じだ。俺のイメージにピッタリだ。


さて問題はここからなんだよな。


俺たちは下の広場までおりてきた。


前が開けたことで、鬱蒼とした樹海の中にあっても開放感がうまれている。


近くを小川が流れているのもいい感じだ。






そして次の計画だが、温泉を掘っていこうと思う。


この星は地球と似た環境だから出るよね。


出ると言ってよバーニィ!


(俺の示した地点から真下に向かって直径30㎝程で穴を掘っていってくれるか)


(それをお湯がでるまで続けてほしい。ただ、1500mを越えるようならそこで一旦中止する)


[はい主。了解した]


………………

…………

……


[主。先に水が出たが……、どうする?]


やっぱり水が先に出ちゃうよね。


(いいか、その水脈を過ぎるまで岩で作った土管を上から通して水の侵入を防ぐんだ。今からイメージを送るぞ。さらに下へ掘り進めていってくれ)


[なるほど主。理解した]


………………

…………

……


[お湯にあたった主。どうする?]


よっしゃ! ――やったぜバーニィ!


(さっきイメージした土管の直径を20㎝にして水脈から地上までつないでくれ)


[はい主。了解した]


すると地面から噴き出す温泉が見えた……のだが、


すぐにもくもくと湯気が立ちのぼってしまい、辺りはなにも見えなくなった。


あとは有害物質が入ってないかの検査が必要だけれど。


それは鑑定すれば分るはず。


もしも不適格なら、場所を変えて何回かボーリングすればいけるだろ。

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