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#独り言
QuartoMew
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輪廻
124
#オリキャラ
須古星 れい
512
ひと通り話した。俺の過去、俺の根底。絶対に話すことは無いと思っていた。けれどこの人には話さなければならないと思った。
安心したのか疲れたのかわからないけど、俺は段々と眠くなってきた。
「燈李、この先どうしたい?」
「この先、ですか」
ぼーっとする。考えようにも思考がまとまらない。いや、思考ができてないのかも。
「高校に行くでもいいし働いてもいい。生きるために何をしたい?」
「…俺、学校は…行ったことが、な……ぃ」
「燈李?えっ、おい!?なんだこれ…すごい熱だ…!」
段々花崎さんの声が小さく曇っていく。俺の耳がおかしいことはわかった。ただの風邪でここまでなるのは久しぶりだ。確か施設にいた頃は先生がいつもすりおろしたリンゴを持ってきてくれた。
俺は上がっていく体温と下がっていく体感温度に震えて意識を手放した。
頬をつねらなくてもわかる。これは夢だ。今俺は夢を見ている。真っ暗で何も無い。浮いているようにさえ思えてしまう。これは、まるで…。
「まるで宇宙のよう、って思ったでしょ」
後ろから声がして振り返る。そこには俺がいた。小さな俺だ。
「ねぇ、なんでさっさと死なないの?」
「…!」
声を出そうとしても、出てこなかった。そんな俺を気にとめず、小さな俺は喋り続けた。
「死ぬチャンスはいくらでもあったのに。早く俺を解放してよ!」
小さな俺は眉間にしわを寄せて、俺に怒鳴った。
これはきっと松田家に捨てられた時の俺だ。人生で初めて裏切りを、絶望を知った時だった。死にたくて、消えたくて、どうしようもなかった時の宮村燈李の心だ。
「そのまま死んじゃえよぉ!!」
俺は声が出せない代わりに、泣き叫んで怒る俺を抱きしめた。体温が伝わるように、優しさを忘れぬように。すると、声が出せることに気づいて、俺は俺に語りかけた。
「死んだら、花崎さんに会えなかった。悠李にも会えなかった」
「誰よ。それ…知らない!」
まだ知らないだけだ。
「つらいことも苦しいこともあるけれど、それ以上に大切な人との出会いは何年、何十年と心を暖めてくれる。だから、頑張って」
「嫌だ…もう、頑張りたくない…」
この声も俺なんだと知っている。
「お前はまだ頑張ってない。なにも頑張ってなんかいない。我慢してるだけだ。頑張るっていうのは、生きようとすることだ。自分から何かをしようとするときに頑張るんだ!だから、お前はまだやれる。絶対に」
「…前を、向いたんだね」
「おかげさまでね」
俺は光に包まれて、心の俺と別れた。そして、花崎さんに会おうとしている。
コメント
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第10話、読み終えました。燈李が過去を打ち明けて、熱に浮かされながら夢の中で幼い自分と対話する場面、とても心に残りました。「死ななくてよかった」と伝えるために、自分自身を抱きしめる――あの小さな燈李に「花崎さんに会えた」と言えるまでになったんだな、とじんときました。頑張ることと我慢することの違いを、自分の言葉で語れるようになったのが本当に感慨深いです。燈李の一歩を、これからも見守っていきたい。