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玄関の前に着くと、二人の足が同時に止まった。
「……送ってくれて、ありがとうございました」
咲が小さく頭を下げると、悠真は短く「おう」と答えた。
それだけのやり取りなのに、息が詰まるほど胸が高鳴っていた。
***
自室に戻った咲は、制服のままベッドに倒れ込む。
「……言っちゃった」
布団に顔を埋めると、耳まで熱くなる。
恋愛は楽しいことも、辛いこともある――そう口にした瞬間の悠真の表情。
あの戸惑った瞳が、何度もまぶたの裏に浮かんできた。
***
一方、亮の部屋に泊まることになっている悠真は、机に肘をついて窓の外を見ていた。
「……妹ちゃん、か」
呟いた声は、ほんの少しだけ揺れていた。