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rb🐙×ru🐺本編1万字越え
注意事項も長いです
主初の二次創作のため本当に読みにくいと思います。生暖かい目でご覧下さい。
注意事項
※R18作品です。未成年の方の閲覧は禁止です。
※nmmnの意味が分からない方は回れ右でお願いします
※基本不穏です
※お2人はお付き合い&同棲済みです
※rbの見る夢の中でruの死を予感させる表現があります
※一瞬kgtが出てきます。riも名前だけ出てきます。
※嘔吐表現、攻めの喘ぎ表現、VTA要素があります。
以上自衛の程よろしくお願い致します。
またこの作品は二次創作です。 決してご本人様の目に留まる事がないようお願い致します。
あと何故か書きながらrbの敬語が外れませんでした。ご了承ください。
ここからお名前伏せなくなります。
星導side
走る。走る。白い息が出ているのを見て空気が冷たい事に気づく。急ぎたいのに何故か変身が出来ない。雪で滑りやすくなった地面に足をとられる。都会の雪は殆どが踏み固められてて転びやすいんだよ。急いでいるのに思うように走れないもどかしさばかりが胸に積もる。
やっとの思いで辿り着いた道の先、真っ赤に染まった地面によく映える、青い髪の彼が横たわっていた。
「小柳君っ!」
ふらふらする頭を無視し、倒れ込むように彼の側へへたり込む。
あぁ、この傷は治らないと瞬間的に感じてしまう。右肩、右手首、両足首、腹部を重点的に攻撃され、鮮血が流れ出ている。
相当頭の切れる敵だ。
狙われた場所が悪すぎる。
これじゃ剣を振るうことも踏ん張ることも出来ないじゃないか。
「俺が、っ俺が早く…っ来てれば」
視界がぼやける。小柳君の顔がよく見えない。それでも「ふっ…」と笑われた事は分かった。
「…いつもみたいに軽口叩けよ」
「出来るわけないじゃないですか!!お願いだからっ…もう何も喋らないでください」
涙が止まらない。代わりに彼から流れる血が止まってくれる訳でもない。
「…星導」
「喋らないでって」
冷たくなった彼の左手が俺の頬を触る。
「今度は俺の事、忘れないでくれ」
12月24日
「…っは」
目覚める。
時刻は午前4時半前。 カーテンの隙間から覗く空は暗いままのようだ。
隣には寝息を立てる青い髪の彼。
一応布団をめくり確認するが怪我は無いようだ。
どっと汗をかく。
小柳君とお揃いで買ったもこもこのパジャマが汗ばんだ肌にくっつき、今は気持ちが悪い。彼を起こさないようにそっとベッドから起き上がり、着替えを適当に持って洗面所へ向かった。
最近、小柳君を失う恐怖ばかり考えている。
寿命でいえばお互いに長い方だが、そうはいえど彼の方がずっと短いのは事実だ。
また俺は1度小柳君の事を忘れた前科がある。彼がもし亡くなった後、また記憶喪失になってしまったら?
もう彼を忘れた事すら思い出せなくなってしまう。
そんな最中見たのがあの夢。
一面の銀世界、鮮血の赤、彼の青髪。
嫌に正確に思い出せる。
悪夢ほど記憶に残るというのは本当のようだ。
洗面所の鏡で自分の顔を見る。冬を忘れさせる程の汗をかいた血色の悪い男が立っている。着替えるだけにしようかと思っていたが、やっぱりシャワーを浴びることにした。少しでも気を紛らわせたい。
しかし結局、お湯の温かさも嫌なものを連想してしまい寝付けないまま朝を迎えた。
午前7時
「…ん」
小柳君が伸びをしながらこちらを向く。
「おはようございます。小柳君」
「おはよ。…お前顔色悪くね?」
おぉ、流石は俺の彼氏。気付いてくれるんですね。でも心配かけたくないから嘘をつく。
「そんなことないですよ?至って健康体のるべちです。なんなら今から証明しましょうか?」
そう言い横になっている彼に跨る。
「いーや大丈夫。俺これから任務だし。はー心配して損したわ」
俺を軽くあしらい、ベッドから降りた彼はあくびを噛み殺しながらリビングの方へと向かった。
「…もうちょっと心配して欲しかった。…なんてね」
小柳side
最近星導の元気がない。元から青白い顔色がさらに悪くなっている気がする。
今日に関しては夜中に起きたと思ったら急にシャワーを浴び初めて、そこから一睡もしていないようだった。
トースターに食パンを2枚挟む。レバーを下げてジャムは何にしようかと考えながら任務の服に着替える。そういえば星導がパジャマを洗濯に出していたなと思い、俺も一緒に出しておくことにした。
トーストが焼けた音がしたタイミングで星導も起きてくる。
「あ、洗濯は俺がやっておきますよ」
そう言われてしまったため、手に持っていた洗剤をそのまま星導に手渡す。
「ジャム俺が決めていい?」
「いいですよ〜」
今日はいちごジャムの気分だ。2枚のトーストに満遍なく塗って、冷蔵庫から昨日の残りのサラダを取り出す。星導はドレッシング何がいいかななんて考えながらとりあえずシーザーにした。
「星導〜飯ー」
「はぁーい今行きます」
星導も着替えたらしく、見慣れた格好になっていた。相変わらず顔色は悪いが、俺に心配させまいと無理に笑っているのが分かって少し辛かった。
記憶を無くしたお前にとって俺はそんなにも信用に値しないのだろうか。恋人という立場に居座れても、ずっと壁があるようで辛いと思っているのは俺だけなのだろうか。
「「いただきます」」
任務の前に考え込むとろくな事がない。かき消すようにトーストを頬張った。
星導side
どうしよう。よりによっていちごジャムか。いやブルーベリーだってきっと今の俺は受け付けないだろう。胃がキュルキュルと蠢いているのがわかる。
「…食べねぇの?」
朝ご飯に手をつけない俺を見かねて小柳君が声をかけてくる。
せっかく準備してもらったのに食べないなんて、彼氏の名が廃るってもんですよね。
「っ食べますよ。いや〜せっかく作って貰えたから勿体なくて」
「ただ焼いてジャム塗っただけだぞ。腹減ってないならサラダだけでも食えよ。」
彼はさっさと朝食を食べ終え、空いた皿をシンクに置いた。洗面所に向かい歯磨きをしているようだ。
小柳君に心配させないよう鑑定に行く振りをして着替えたが、今日はお店を休む事にした。
どうにも駄目だ。
嫌な妄想に取り憑かれている。
最愛の彼が作った朝ごはんでさえ、あの悪夢の光景が頭をよぎり吐き気を催してしまう。
また嫌な汗をかく。
せめて彼が家を出るまでは普通のフリをしなくては。俺のせいで小柳君の任務に支障が出ては彼の今日のペアであるカゲツに怒られてしまう。
コップ1杯の水だけを飲み、他はラップをして冷蔵庫に入れた。もう少しマシな状態になったらお昼にでも食べようか…
「おい」
突如後ろから肩を掴まれ飛び上がる。
「…w何だよそんな驚かなくてもいいじゃん」
こっちの気も知らずにクスクス笑う彼。
「んじゃ俺そろそろ行ってく」
「…っ待って!」
驚いた小柳君がこちらを見る。咄嗟にそんな言葉が出た事に自分でも驚く。
でもこんな状態の俺の唯一の本音だった。行かないで。置いていかないで。寂しい。苦しい。お願いずっと俺の傍に…
「…何でもないです。いってらっしゃい。」
言えるわけない。彼の仕事の邪魔をしてどうする。さっきからずっと俺の変な妄想のせいで迷惑ばかりかけているのに何本音をぶちまけようとしているんだ。
「星導」
優しく名前を呼ばれ、彼の顔を見てしまう。
「すぐ帰ってくるから。」
そう言い俺の頬に手を伸ばし唇に触れられた。
「っ//」
自分からしてきたのに頬が赤くなってる小柳君を見たら思わず笑ってしまった。
「なんでそっちが照れてるんですか」
「照れてねぇし。じゃあまた後でな」
玄関を開け赤いままの頬を隠すように外へ出る彼。
「はい。いってらっしゃい」
やっぱり彼には敵わない。ほんの少しだけ不安な気持ちが無くなった気がした。
小柳side
任務の場所に向かい、すぐにカゲツと合流した。
今日は平和なようでカゲツと見張りがてら雑談をしていた。
「…ん。なんやおおかみ元気ないな」
「まぁな。色々あって」
流石は忍者。観察力にも長けてるんだなと思いながら答える。尚もカゲツは俺の事を見てくるため耐えきれずこちらから話しかけた。
「何?めっちゃ見てくるじゃん」
「いやーおおかみも正直になったなって思って。前は自分の弱み絶対認めなかったやん」
「そうか?まぁ敵に知られたら不利だしな」
確かになんてカゲツは言い、続ける。
「…元気ない理由は話せないんか?」
「んー、まぁ星導関連」
「えー意外やな」
その反応から察するに、少なくとも星導がカゲツには相談してない事がわかり、少しほっとする。
「喧嘩でもしたんか」
「いや。なんか元気ないって言うか、体調悪いのを俺に隠してる感じ」
「なんやそれ。お前信用されてないってことやん」
「高火力が移ったかカゲツ?」
そんな会話をしながらも、俺自身ため息が止まらないことを自覚していた。
辛気臭い雰囲気に痺れを切らしたのかカゲツが口を開く。
「たこに直接聞いてみたらいいんちゃう?もうため息ばっかり僕まで気沈むわ」
「いや〜お前簡単に言うけどさ…信用されてないやつが聞いた所で話してくれるわけないだろ」
自嘲気味に返すとカゲツはアワアワとしだす。
「冗談やんさっきのは。すぐ間に受けんなや。
…まぁたこだって原因は分からんけど辛い思いしてるはずやろ?そんな時に恋人から心配されて嬉しくないわけないやん」
恋人…。その言葉に胸がざわついた。
星導は本当に俺の事を恋人として見ているのだろうか。なんというか、そういう事だっていつも俺が頑張って誘ってやっと相手してくれる訳で。
考え始めると止まんねぇ。
「まぁ少なからずおおかみにそんな顔させてるたこは最低やけどな。今度伊波と叱りに行ってもええんやで」
「…ふっ。助かるわ。でも今日直接聞いてみる」
「おおー頑張れよ。最近何悩んでるん?って聞くんやで。喧嘩したらぼくん家来いよ」
「喧嘩する前提やめろ?w」
そんな事を言い合い、見回りを終えお互い帰路につく。 でもカゲツのお陰で向き合う覚悟を決められた。
明日はクリスマス。ちゃんと星導と話し合って、欲しいもの買ったりテレビ見たり、美味しい物食べたりして一緒に過ごしたいから。
星導side
昼までベッドで横になる。
寝るとまた悪夢を見そうで怖かったから適当にスマホをいじって過ごした。
12時を過ぎて多少は良くなったため朝のパンを冷蔵庫から取り出す。
リビングで独り「頂きます」と呟いた。
しんなりとしたパンはお世辞にも美味しいと言えないはずだったが、小柳君が準備したという事実だけでずっと美味しく感じた。この調子ならサラダも食べれると思い、冷蔵庫に取りに行こうと立った。
瞬間、貧血のような症状が出て膝から倒れ込む。
その後胃が何が変に蠢いているのが分かり、すぐにトイレへ走ったが間に合わなかった。
手のひらに吐いた。ボタボタと留まりきらなかった吐瀉物がこぼれ落ちる。
それでもどうにかトイレのドアを開け、便器に手の中の吐瀉物を落とし追加で何度か嘔吐を繰り返す。
立ち込める吐瀉物の香り。
胃液で口の中が苦い。
視界がぐわんぐわんと動いて気持ちが悪い。
トイレに寄りかかるように倒れ、眩む視界を閉じた。
夕方6時
小柳side
まずはただいま。それから星導に優しく声をかける。最近何か悩んでるよな、俺でよければ聞くよ。よし、完璧。脳内シュミレーションを100点で終え玄関の扉に手をかける。
「ただいま。…っ!」
途端に鼻を突く吐瀉物の香り。言おうと準備していた言葉なんて全て忘れて、急いで靴を脱ぎ星導を探す。
寝室には居ない。リビングへ向かう途中、トイレのドアから光が漏れていることに気がつく。
近づくとべちゃっと何かを踏んだ事が分かる。吐瀉物だ。トイレの手すりにも吐瀉物が付いている。そっと扉を開くと、便器にもたれ掛かるようにして彼が意識を失っていた。
「っほしるべ!!!」
声を掛けても起きない。
息はしているようなので少し安心したが、すぐに介抱を始める。
まず吐瀉物で呼吸が詰まっていないか口の中を確認する。オトモが餌をつっかえた時のように口元を抑えて指を入れる。見たところもう吐ききったようだ。
「あぇっうっ…」
星導が嗚咽を漏らす。
「あっ。ごめん」と返すが目覚めてはいないようだった。
靴下を脱ぎ、急いでリビングから消毒液とティッシュを持ってくる。
軽く口元を拭い、星導の手を洗面台で流してアルコールで拭く。優しくおぶる様な形でベッドまで運び、仰向けに寝かせた。その後廊下の吐瀉物やトイレ周りを掃除し、雑巾などを洗うため洗濯機を開けると、朝洗ったまま放置された2人のパジャマがあった。今日はお揃いで寝れないのを少し寂しがりながら干す。雑巾を洗濯機に入れ、某クイッ○ルワイパーで床を拭きあげた所で俺も疲れてしまった。
星導の様子を見に行くため、ふらふらと寝室に戻る。
まだ目覚めていない彼は眉間に皺を寄せて苦悶の表情を浮かべていた。
体温計で測ってみるが熱がある訳ではないようで、一体何にうなされているのかが分からないままだった。
星導の隣に横たわり、額にキスをする。
「なぁ。お前は何に蝕まれてるんだよ…俺に言えない事なのか?星導。」
返って来ない返事を待ちながら、星導の手を握る。
ほのかな体温を共有している間に俺も眠りについてしまった。
星導side
ん…。朝?俺何してたんだっけ。
あぁ、小柳君が死ぬ悪夢を見て朝方に目覚めて、結局寝落ちしたのか?
小柳くんが隣で寝ている。……いや目が開いている。彼は静かに天井を見つめていた。
「小柳君?…おはようございます」
「……」
彼は無言のまま瞬きをする。挨拶を返してくれなかった事など今まで無かったのに。
不安になって言葉を続ける。
「あ、あの小柳君?俺何かしたなら謝るので…なんか言ってくれませんか?」
彼は深いため息をつき、上半身を起き上がらせる。ベッドの上に座ってもこちらを見てくれることは無い。
「なぁ星導」
名前を呼ばれて嬉しかったのも束の間、
「別れよう」
……………………………え
今、なん、て
「俺もう無理なんだわ、お前に付き合うの。」
ひゅっ、ひゅっ、と自分の息が上手く吸えていない音がする。
なんで、どうして、ごめん、俺直すから、そんな酷い事言わないで。
言葉が頭の中で廻るだけで声にならない。
「だからさ」
やめて、やめて。
「俺ヒーローも辞めるから、明日中にはここ出て行くわ」
頭に響く鈍痛。
視界がぐにゃりとひん曲がる。
嫌、いや嫌だ嫌 だいやだ彼を失いたくないっああ、っあ頭が、っ
割れそ う だ っ
夜11時
小柳side
真横でパリンッという音がした。
横を見ると星導の両目に当たる部分が宇宙の色に変わっていた。そしていつの間にか変身している星導の触手に俺はぐるぐると身動きが取れないよう押さえつけられていた。なんでこんな突然っ。
いや、頭で考えても仕方が無い。急いで起こそうと大声を出す。
「っほしるべ!!!起きろ!!」
「う”う”ぅっ…」
うなされているだけで起きない。これ、どうすればいいんだ?本部に連絡?暴走したきっかけは何だ?ライなら何か分かるか?考えている間にも触手は俺をきつく縛り上げる。
「ぐっっぅ…星導っ!起きてくれっ…
っ…ごめん、ごめんな、っ何もしてやれなくて」
声が震える。
俺が泣いている場合ではないのに。
ずっと調子が悪そうだったのに病院に行くことを勧めすらしなかった自分に心底腹が立つ。この涙が悔し涙だという事に気づいた。最愛の人一人守れない無能な男。あぁ本当に嫌気が
「…こ、やなぎ…くん?」
はっとして顔をあげる。同時に触手から解放されベッドに座り込む形になった。
星導の顔が戻っている。
目覚めてくれた事に安堵して抱きしめる為に近づくと、星導の目から涙がこぼれている事に気がついた。
「こやなぎくんっ…おねがいっ。別れようなんて言わないでっ…おれ、っ嫌なとこあったら直すからっ!ごめんっごめんなさいっ…うっ…」
突然星導がぶわっと泣き出した。ベッドの上で土下座をする様な形になる。
「なっ…何言ってんだよ星導…顔上げろって!別れたりなんてする訳ないだろ」
彼の背中を擦りながら空いた手で彼の手を握る。
「俺はここに居るから。大丈夫だ。ずっとお前の傍に居るよ。」
尚もすすり泣く星導に重なるような形で抱きしめる。
こんな役立ずな恋人でごめん。
それでも俺は死んでも絶対に星導を離したりしないから。
深夜1時前
星導side
泣き腫らした目を保冷剤で冷やす。
さっきまでしていたしゃっくりがいつの間にか止まっている。
キッチンの方から足音が近づいてきた。小柳君だ。
「はいよ、…少しは落ち着いたか?」
彼はそう言いながら、はちみつの匂いがするホットミルクをベッドサイドの机に置いてくれた。
自分の分を飲もうとふーふー冷ましている姿が可愛い。
「ありがとうございます。しゃっくりは止まりました」
「ははっw目はまだ赤いけどな」
そんな風に笑いながら俺を見つめてくる目はあまりにも優しくて胸が苦しくなる。
「…そんなに見ないでください」
「嫌だ。お前が口を割るまで見る」
俺の様子がおかしくなった理由。全部勝手な妄想だと知ったら小柳君は笑うだろう。
「……言っても笑いませんか?」
「どんな小さい理由でも、お前にとっては吐いて気絶するぐらいの事だったんだろ。笑わねぇよ」
そういう所だよ。貴方のそういう所を好きになったんだ。
俺は意を決して、小柳君のいつか来る寿命に怯えている事と、それがきっかけになり小柳君が死ぬ夢や別れを切り出される夢を見た事を話した。
さっきまで夢と現実が混合しており、本当に別れ話を切り出されたのかと思っていた事も話した。
小柳君は笑わなかった。
ただ俺が話しているのを聞いて、時々相槌を打ちながら手を握ってくれた。
「ありがとな。話してくれて」
「…引きました?」
「いや、こんなに好いてもらえてるって知れて今最高に嬉しい。でも辛い思いさせたな。何もしてやれなくてごめん」
あぁ、本当に幸せだなぁ。こんな素敵な人が俺の彼氏だなんて。
「さっきはごめんなさい。触手で無意識に縛り上げるとか、蛸失格ですね」
「蛸失格って何だよwまぁ蛸失格でも俺の彼氏としては合格だからな」
「なんですか急に」
「んー?いや、まぁ無意識でも離したくないって気持ちが出て触手が動いた訳だろ?
ちょっと嬉しいというか。
…まぁその、お前、いつも優しいから…//」
急に顔を真っ赤にして俯く小柳君を見て、彼がなんの事を言ってるのかすぐに分かった。
「んふふ。元気ですね小柳君」
「…うるせぇ」
俺から保冷剤を奪い取り、彼は自分の頬にくっつける。
拗ねてそっぽを向いてしまったが、彼は優しいからきっと俺の目の赤みは取れたのだろうと間接的にわかった。
小柳side
星導の不調の理由が分かってほっとしたと同時に、急に彼氏からとてつもない量の愛を注がれている事を打ち明けられ心臓の昂りが治まらない。
星導が使っていたのもあるが、保冷剤があっという間にぬるくなってしまった。
どんだけ顔熱いんだとあわあわしていたら、星導に頬を触られ、彼の方を向かされてしまった。
「っ…。お前手冷たっ」
「ふふ。今の小柳君には丁度いいでしょ?」
そのまま星導の顔が近づいてくる。
慌てて目を瞑る。案の定柔らかい感覚が唇に広がる。
キスするのいつぶりだっけ。行為中の衝動的なものでは無い、こんなにゆったりとしたキスは本当に久しぶりな気がした。
段々と舌が入ってくる。俺もそれを受け入れる。本当にこいつはキスが上手い。
毎回意識が飛びそうになるのを必死に堪えてるのを分かっているのだろうか。
すると突然理解不能な快楽が襲ってきた。
「ひやぁぁっ//」
…恥ずかし過ぎる。ってか今耳になんか変なのが入って…
「ぷはぁ。いい子ですね。もっと鳴いても良いんですよ、今日は沢山小柳君に溺れたいので」
そう言う彼はいつの間にか変身し、触手を俺の体に纏わせていた。
「触手に縛られて嬉しかったんですよね?」
いや待てこいつなんか勘違いしてる。俺は触手が良かったんじゃなくて無意識下でも俺を独占したいと思ってくれてたお前の気持ちが嬉しかっただけで
「ぐぁぁあっ//」
耳を虐められながら、俺の下着の下にお構い無しで触手が入ってくる。乳 首を吸盤に吸われ、下の物も触手に包まれる。
「あっ♡待って星導//」
「んーやぁだ」
不敵な笑みを浮かべる彼氏を見て、少し興奮してしまった俺はもう手遅れなようだ。
星導side
不安が全部拭えた訳ではない。
それでもこの聖なる夜に甘えて、とにかく彼を犯したい衝動に駆られている。
もう俺が不安なんて抱えられないぐらい、何も考えられなくなるぐらい頭の中を小柳君でいっぱいにしたい。 あぁ、好きだよ。大好き。
彼の体に這わせた触手を器用に動かし始める。服を着たままなのに、手首や腰、太ももに沿って巻き付く触手も相まって本当にえろい。
乳首が立ってきたのが服越しに分かる。彼の物も苦しそうに反り上がっていて早く出させてと言わんばかりに膨張している。
「イきたいですか?小柳君」
わざと触手の動くスピードを緩めて聞く。
「んぁっ///いぎだいっ♡」
俺の物だってもう下着を押し返す程大きくなっている。早く彼を貫きたい。でも痛い思いはさせたくないから我慢我慢。
彼の物の面倒を見ていた触手を戻し、ズボンと下着を下ろす。
「後ろ解しますね」
「やらぁ…//うしろじゃうまくイけないっ」
彼の言葉を無視し、中指、人差し指を侵入させていく。
「…あれ?前より入りやすくなってません?」
「…ガバガバって言いたいのかよ//」
「いえ、上手くイけないとか言っときながら自分でやる時後ろ使ってたりするのかなって」
「…っ」
顔を逸らす彼を見てると意地悪したくなってしまう。彼の物をグッと掴み、2本の指を抜き差ししながらバラバラに動かす。
「あぁあっ♡やぁだ//やだやだイけない♡」
「イきたいなら後ろ使ってるの認めたらどうです?」
すると彼は反論してきた。
「ほ、っほしるべのおっきくて//いつも全部入らないから♡ほしるべに我慢させてるのいやで///
たまに自分で触ってっ…♡広げてる//」
これは衝撃の事実。
でもそういう事なら激しくしていいって事ですよね?いつも小柳君が傷つかないように優しくしてきましたけど、我慢、しなくていいんですよね。
「嬉しいなぁ。小柳君。じゃあ今日俺我慢しません。小柳君が潰れるまで犯します♡」
「ひっ…」と声を漏らしながらも彼の中はきゅぅっと締め付けてくる。あぁもう、彼の前では格好よくありたいのにそんな反応をされては頬が勝手に綻んでしまう。
指を3本に増やし、ぐちゅぐちゅと動かすと彼は腰を反らせ、白濁液を吐き出す。
「んぁ”ぁ”っ///っ…はぁっはぁっ」
「上手ですよ。中だけでイけましたね。
…じゃあ挿入ますよ。」
待って待っで!!!と嘆く声を無視して俺の物を彼の中に侵入させる。きつい。暖かくも不規則に中の物を押し出そうとうねる中が気持ちいい。無意識に腰を振ってしまう。
「抜いてっ//とまってぇ///っイったばっか♡おいほしうべっ///」
あー可愛い。可愛い可愛い俺の彼氏。俺の思考を占領して。君だけに俺の時間を捧げたい。
「可愛いっ///好きです♡大好きですっ…小柳君♡」
彼が苦しそうな表情をしているのは分かっているのに振るう腰を止められない。
「ばかぁっ///おれもすき♡おれのほうがすき//♡」
触手ごと彼を包み込むように、俺の手で彼の頭を抱えるように抱きしめる。
「どこにもっ…どこにも行かないで下さいっ…
俺から離れていかないで…もっと好きって言って小柳君っ。こんな俺の事もっ、全部受け入れてっっ…//」
彼の中に欲を注ぐ。こぼれないように、俺で小柳君を満たせるように。ゆっくり前後に動いて奥にも塗りたくる。
「あっあっ♡イったからぁ♡ぬけよぉほしうべっ」
「もう少し待って。小柳君の体にちゃんと覚えさせなきゃ♡」
ビクビクと震え続ける彼の体にキスを繰り返す。鎖骨、腹筋、二の腕や首元など赤い独占欲を付けていく。
喘ぎながら尚も抜けだの離せだの言ってくる割にぎゅうぎゅうと締め付けられ一向に離れられる気配はない。痙攣が治まってきた所でゆっくり抜いてあげる。
「ああぁっん///ふーっ♡ふーっ♡」
彼のお腹を優しく撫でると中から俺の注いだ液体がどろぉっと出てくる。出して欲しくなくて指を入れる。
「ほっほしうべ//っちょっと待っれ♡」
「ごめん小柳君♡今日は優しくできない。
ねぇもう1回。だめ?」
ずっと俺の下で鳴いていて欲しい。どこにも行かないで。俺でいっぱいになって。
12月25日
「なぁ星導」
「なんですか?」
小柳君と一緒に桜の木の下にいる。
俺らは見慣れないお揃いの服を来ている。あれ?小柳君。髪いつの間に染めたんだ?
「ぴょんか…み、、」
ぴょんって誰だよ。
「ん?髪がどうしたって…お前こそw花びらついてるぞ」
そう言って俺に近づき、花びらを取る彼。
好きだなぁ。
「星導。
お前の事が好きだ。
もう卒業するって時になってやっと言えるなんてダサいよな。それでもこれからは友達としてじゃなくて、恋人として会って欲しい。」
俺の知らない記憶。俺の知らない告白。
あぁ、これ、俺が星導になる前のお話か。
小柳君と出会っていたなんて、初めて知った。
彼の瞳に映る俺の髪は綺麗なオフホワイトで、蛸だなんて感じる要素は少しもない。
彼が好きなったのは俺であり、俺じゃない。
嫉妬しちゃうなぁ。この体の持ち主に。
先に小柳君から告白されていたなんて。
視界が歪んでいく。涙が出てるんだ。
小柳君にハグされる。今とはちょっと違う彼の匂い。いいなぁ。この時の小柳君の事俺も知って好きになりたい。
晶が羨ましい。
じゃあ俺は、この時の俺が出来なかったことをしますよ。
午前6時
目を覚ます。やっぱり夢だったか。
横を見ると小柳君はもう起きていた。
「おはよ。顔色良くなったな。悪夢は?」
「おはようございます。見てないですよ。まぁ違う夢は見ましたけど」
「どんな夢?」
「んふふ。秘密です」
しーと人差し指でジェスチャーをすると彼が勿体ぶるなよと肘打ちしてくる。
そして大変な事に気づいた。
「ごめんなさい。せっかくのクリスマスなのに俺何のプレゼントも準備できてな…っ」
唐突にキスをされた。
「…プレゼントは…、お前がいい」
そんな可愛いこと言ってくれるなんて。
「ふふ。それなら昨日沢山あげたじゃないですか」
そう言い彼の腹を撫でる。
また顔を真っ赤にさせる彼。可愛い。
「足りないんですか?」
「…そうだって言ったら?」
今度は俺から口付けをせがむ。彼は口を開けてくれた。深く深く交われるように口内を犯す。
糸を引き、名残惜しく離れる。
蕩けた顔をした彼に告げる。
「メリークリスマス。小柳君。
それから、大好きです。愛しています。必ず何度でも君を幸せにすると誓います。
俺と一生を共にしてくれませんか」
俺から改めて告白をした。昔の俺は小柳君に越されて出来なかった事。
「うん。おれも愛してる。今度こそ絶対におれがほしるべを守るから、死んでも離さないでくれ」
どちらからともなく互いを求める。
俺はこれから生きていく何千億年だって怖くない。
だって何度だって君と巡り会うから。
何度だって君を幸せにするから。
俺の最高のクリスマスプレゼントを昨日よりもずっとずっと大切に抱こうと誓うのだった。