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「んん………っ」
「ん―――?」
「(あれ、ここはどこだ………)」
「(そういや俺って、もう飛び降りたんじゃなかったっけ……)」
「(じゃあ、ここは___)」
『聞こえますか!』
『聞こえますか!聞こえたならば返事をしてくださいまし!』
「ん………?」
まず俺の耳に飛び込んできたのは、
誰か少女の必死な声。
俺に向かって言っているのだろうか。
というか俺、今どこにいるんだ?
もしかして、死後の世界とか―――
『違いますわよ、真守さん』
『ここは現実です。目を覚まして』
また少女の声が聞こえた。
だが彼女はまるで、俺の心の中の心情を理解しているかのような口調だった。
俺はふと、閉じていた目を覚ます。
まず初めに 俺の視界に映ったのは
淡いブルーのロングヘアー、
燃える炎のような熱い瞳、
そして整った輪郭を持つ少女だった。
彼女は恐らく、俺と同じくらいの年齢なのだろう。
まだ幼い顔つきをしている。
しかしながら、異様な雰囲気も感じ取れる。
まるで異国の地にやってきたかのような感覚。
そんな彼女の周りには、どこかふわふわと優しい空気が纏わりついている。
「あなたは、誰……?」
「ここはどこなの……?」
意識が朦朧(もうろう)としている中、彼女に尋ねてみる。
俺は彼女に興味津々で仕方なかった。
「真守さんが飛び降りて旅立たれようとしていたところ、わたくしが保護しましたのよ」
「あら、自己紹介を忘れていましたわね」
「わたくしは『エレ』と申します」
「貴方のお名前は、もうわたくし存じ上げておりますわ」
「真守さんでございますね?」
「う、うん………」
彼女はお嬢様のような素振り、口調を見せた。
それから何故か俺の名前も知っている。
アニメにでも出てきそうな感じだ。
「でもここはどこなの?エレ」
「おほほ、わたくしにいきなりタメ口だなんて、珍しい方ですこと」
「まあいいですわ」
「ここは現実世界」
「あなたのおばあさまのお家が、近くにあるでございましょう?」
「うん、あるね」
「おほ、意識がはっきりしてきたようですわね」
「わたくしの薬の力ですわ」
「?」
エレの言っていることは、よく分からなかった。
だが状況は掴めてきた。
死のうとしていた俺を、下から支えて救助したんだろう。
そんな救助不要だったのに―――…
あともう少しで死ねたのに。
「んふふ、まだ死にとう思ってらっしゃるようで」
「わたくしがその気持ごと、川に捨てて流してしまいましょう」
「………その為にまず、真守さんには眠って貰う必要がありますわ」
「眠る…?」
「んふふ、少しだけですから」
「痛くもなんともございません。少しの辛抱ですわよ」
そう言って、彼女は俺の頭から何かをふりかけた。
その何かが頭皮に触れると、チクチクと針が刺さった時のような痛みを感じた。
「ううっ、痛い……」
その痛みはどんどん激しく増していく。
痛みが限界を迎えた時、俺の意識はまたもうろうとしてきた。
もう無理だ―――……
「うっ―――」
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