兄ちゃんの人生はもう無いよ。
おれが壊してやる。
自分のも兄ちゃんのも。
一生、二人でいいよ。
目の前まで来たのはいいけれど、後悔する気しかしない。
どうせ悲しんで無いんだろうな。
凛「はぁ、行くか。」
スっとドアをすり抜ける。
兄ちゃんはベッドで横になり、スマホを触っている様だ。
画面を覗くと士道龍聖とのLINE。
少し頬が緩んでいる兄ちゃんを見ると、どうしても腹が立ってくる。
少しの間覗き見したまま居ると、やっと寝る体勢に入った。
ただ冴の寝顔を眺めているだけだった。
瞬きをした瞬間いきなり目の前に兄ちゃんが現れた。
兄ちゃんも困惑している様で、二人ともパニック状態だった。
俺の想いから兄ちゃんが幽体離脱した様だ。
兄ちゃんも俺の事が見えているみたいで冷汗をかいていた。
そしてここで俺はとんでもない事を考えてしまった。
ここで冴の体に入ればどうなる?
冴の体は俺の物になる、?
物は試しとして困惑したままの兄ちゃんを横切り、冴の体に飛び込む。
それが見事に成功したのだ。
不思議な点はあったが俺は確かに糸師冴の身体で生きている。
不思議な点というのは見た目が兄ちゃんの姿ではなぐ俺゙の姿だったということ。
勿論兄ちゃんの姿は見えない。
ただ今頃自分の体が弟の姿になって、さらに戻る体も無いから相当焦って居るだろう。
ここでまたとんでもない事を思いついた。
このまま糸師冴として過ごせば俺の理想の大好きな兄ちゃんが出来るんじゃないか。
そこから俺は糸師冴として生きていく事を決めた、その後冴の体で地下室に行った。
死体は糸師凛のままで他目線から見たらドッペルゲンガーのようなもの。
ただ俺は糸師冴として生きていく事を決めた。
だから全てを変えたんだ。
そこから変な夢を見るようになった。
それは夢ではなく幽体離脱だった。
ただ冴に体を渡すことは絶対しなかった。
今までも、そしてこれからも思い出したくなんか無かったのに。
どうしよう、俺は糸師冴として生きていたいのに、このままこの人生は終わるのか?
俺には弟がいる。
名前は凛、正直初めは興味無かったが会ってみると凄く可愛くてすぐに虜になった。
可愛くてサッカーの才能があって、俺の一番はずっと凛だった。
でも物心がつき始め、段々凛は愛を確かめる様な奇妙な質問をしてきた。
なんだか凛が段々不気味になっていって、少しずつ距離を置くようになった。
ただ、その判断が良くなかったようで、逆に凛の愛は悪化していった。
怖くなった俺はもう好きと言う事すら出来なくなっていった。
もう引き返せなくて、凛をただ避ける事しか出来なかった。
ある日、士道龍聖と言う男に出会った。
お互い惹かれあって付き合う事になった。
凛の事も相談し、安心感が凄かった。
でも凛は現実を受け入れることが出来なくて 、
俺の目の前で自分の腹に包丁を突き刺した。
どうしたら良いのか俺には分からなかったんだ。
俺は狂っていても家族の凛を死なせたくなかった。
でも凛は死ぬことを選んだ。
凛の想いを考えて、俺は凛の選択肢を優先した。
凛にどうでも良いんでしょ?って聞かれた時、そんなこと無いって思った。
思ったのに、それを口にできなくて、上手く喋ることが出来なくて、凛が答えられないんだって言った時、凄く苦しかった。
違うのに、居て欲しいのに、口に出来ないままで、でも上手く言えなくて凛を逆に傷つけて終わってしまったら?そう考えると何も言うことが出来なくて、部屋に戻った。
戻ってから俺は後悔したんだ。
救急車を呼べば良かった、すぐに止血すれば、せめて気持ちだけ伝えれたらって。
泣きながら部屋で呟いた。
冴『家族としてだけど、愛してる』
(なんとまだ終わらない笑いやでも本当に次で終わりだと思うんだ。)
next→120
コメント
5件
やったね✌✌
何となく分かってきたよ! 、、、冴ちゃんも悩んでたんだ、 凄く奥が深い作品で好きだよ!