テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
会議場がにゃぽんの妄想とアメリカのマイペースさで混沌とする中、ふと、限界社畜の日本が激しく動く父親の姿を見て、ある「違和感」に気がついた。
「……あれ? 父さん、よく見ると軍服のあちこちが破れて赤黒く染まって……。というか、旧国が復活する時って、生前の怪我とか病気はすべて綺麗に治って生き返るはずじゃ……」
日本のその言葉に、会議室の全員がハッと息を吞む。
言われてみれば、四人とも衣服の隙間から見える肌に、生々しい傷跡や包帯が巻かれている。
「ああ、それならな……」
日帝が腕を組み、仕方のないことだという風に溜め息をついた。
「私たちが復活する直前、狭間の世界で『神』と名乗る者が現れたのだ。しかし、その神が私たちの姿を見た瞬間、泡を吹いて気絶してしまってな」
「そうなんね! 神様が『君たち戦争しすぎなんねー!』ってめちゃくちゃ引いてたんね!」
イタ王がピッツァをモグモグ食べながら、まるで他人事のようにケラケラと笑う。
「フン、腑抜けた神め。その神が青ざめた顔で『それで……一つだけ願いを叶えてあげるから、そのグロい傷をこっちに見せないで……』と震え声で懇願してきたのだ。だから私は、怪我の治療ではなく『現世への復活』を願った。それだけの話だ」ナチスが腕を組み、冷酷に鼻で笑う。
「嗚呼、あの時の神はめちゃめちゃ……『え……? どうしたらこんな怪我するの……?』って、この世の終わりみたいな顔をして固まっていたな」
ソ連が面白そうにウォッカの瓶で自分の頭をトントンと叩く。現国たちはその壮絶すぎる裏話に全員で固まった。神様をドン引きさせて治療を放棄させた旧国四人組、恐ろしすぎる。
「ちょっと待ってください!?」
日本がガタッと椅子を蹴立てて立ち上がった。「そしたらその怪我、どうしたんですか!? 復活してから、ちゃんと自分たちで手当てしたんですか!?」
日本の悲鳴のような問いかけに対し――旧国四人組は、綺麗に全員がフイッと別々の方向を向いた。
「ダメアル、絶対手当てしてないアルよこれ……」中国が頭を抱える。
「……はぁ。とりあえず、全員そのまま動き出さないでください! 現国の皆さん、それぞれの関係国で手分けして、今すぐ彼らの怪我を確認して治療します! ドイツ、ロシア、イタリア、手伝って!」
日本の社畜モード全開の鋭い指示に、現国たちが動き出す。かくして、それぞれの「子供(あるいは後継)」にあたる現国が、旧国たちの体を強制的に検分することになった。
第六章:四者四様の壮絶な傷跡
まずはイタリアが、お気楽なイタ王を椅子に座らせて服をめくった。
「うわあああ!? イタ王、何これ!? パッと見て一番怪我が多すぎるよぉ!」
「いたたた、優しくしてなんねイタリア! 生前、あちこちでドジ踏んで攻撃されまくった名残なんね!」
全身傷だらけのイタ王を見て、現イタリアは半泣きで消毒液と包帯を引っ張り出している。続いて、ロシアが静かにソ連の前に立った。
「……親父、服脱いで」
「ん? 俺のはほとんど打撲系だから、外から見てもあんまり分からないぞ」
ソ連が笑いながら上着を脱ぐと、その屈強な肉体は至る所が紫色の広大な青あざで覆われていた。さらに、ロシアはソ連が右目につけている黒い眼帯に手を伸ばす。
「親父、この右目は……」
「ああ、それは戦争中にそこのナチスの野郎に派手にやられた傷だ。まあ、お互い様だがな」
ソ連はケロリとしているが、ロシアの目が据わり、隣のドイツをギロリとにらみつけた。ドイツは
123
れま/palletNova公式
1,655
「私のせいじゃない、私の上司(黒歴史)のせいだ……!」
とガタガタ震えている。そのドイツは、直立不動のナチスの前に恐る恐る立っていた。
「あの……ナチス、傷を見せてください……」「フン、私のは大したことはない」
ナチスが軍服の前を開けると、そこには銃弾が何箇所も撃ち込まれた弾痕の跡と、無数の細かい切り傷が刻まれていた。
「な、何ですかこの銃弾の数は……! よくこれで普通に歩けますね!?」
「言っただろう、私たちはほぼ死んでいるようなものだ。痛覚はあっても死にはせん」
淡々と答えるナチスに、ドイツは引きつった顔でピンセットを握り、弾丸を抜き取る作業を始めた。
第七章:日帝の傷と、消えた薬指の謎
そして日本は、実の父親である日帝の前に正座していた。「父さん……失礼します」日本がそっと日帝の軍服をはだけさせると、そこには痛々しい出血性の切り傷が幾筋も走っており、何より、背中から腕にかけて広範囲に広がる凄まじい「火傷の痕」があった。
「っ……この火傷は……」
日本が息を呑む。日帝の後ろで、それまでニヤニヤしていたアメリカが、一瞬だけ気まずそうに目をそらした。そう、それはかつてアメリカ(米国)によって落とされた、あの原子爆弾の強烈な熱線の痕だった。
「気にするな、日本。もう過去のことだ。それより、そこの米国が妙な目でこちらを見ているのが不愉快極まりない。早く包帯を巻いてくれ」
日帝が冷ややかに言うと、日本は複雑な表情のまま「はい」と頷き、丁寧に火傷の薬を塗っていく。しかし、手当てが日帝の「左手」に及んだ時、日本は完全に手を止めた。
「……あれ? 父さん、左手の薬指はどうしたんですか? 根元からなくなっていますが……これも、戦争の時の爆風か何かで……?」
その問いを聞いた瞬間、なぜか日帝の隣で包帯を巻かれていたナチスが、フンとそっぽを向いた。そして、ソ連が「ぶふっ」とウォッカを吹き出し、イタ王が「あ、それなんね!」と手を挙げた。「それ、戦争中にナチに食べられたんね!」「「「「はあぁぁぁあ!?!?」」」」会議室に本日二度目の絶叫が響き渡る。日本、ドイツ、アメリカ、そして中国までもが目を見開いてナチスと日帝を交互に見た。
「た、食べたアルか……!? ドイツの黒歴史、日帝の指を食べたアルか!?」中国がガタガタと震える。日本が衝撃のあまり、持っていた包帯を床にポロリと落とした。
「ナチス先輩……なぜ私の父さんの指を……意味がわかりません……!」
日帝は、至って冷静な顔のまま、自分の欠けた左手を見つめて淡々と説明した。
「嗚呼、その時は渡したくなかったからと言っていたぞ? まぁどんな意味かは分からないが……(あなたの想像にお任せします)」
ナチスは腕を組んだまま、不機嫌そうに口を開いた。「……生き馬の目を抜く戦場だ、手段を選んでいられるか。それに、日帝の肉は存外……いや、何でもない」
「ちょっと待つにゃん!!!」ここで、今までノートに猛然とペンを走らせていたにゃぽんが、鼻血をダラダラと流しながら机を叩いて立ち上がった。その目は完全に狂乱のオタクのそれだった。「左手の……薬指……!? 指輪をはめる、あの神聖な左手の薬指を、ナチス先輩が自らの口で噛みちぎって体内に取り込んだにゃんて……!? それって、実質『永遠の愛の誓い(物理)』じゃないにゃんかー!!! 独帝(ドイツ×日帝)の概念が公式で大爆発したにゃあああ!!!」
「にゃぽん、落ち着くアル! 完全にただの猟奇的な戦場エピソードアル!」中国が必死ににゃぽんを羽交い締めに引き剥がそうとするが、腐女子の妄想力は止まらない。
「あーあ、日帝chyan、指食べられちゃったんだ? かわいそーに! だったら俺が新しい指の代わりに、特大のダイヤモンドの指輪でも買ってあげようか?」
空気を全く読まないアメリカが、超ポジティブに日帝の左手を握ろうとする。
「……米国、貴様は本当に、その首を刀で落とされたいようだな」
日帝の額に青筋が浮かび、会議室の温度が一気に氷点下まで下がった。帽子の中の猫耳が、怒りで完全に後ろに逆立っている。
「ひえぇぇ! 日帝さんが本当に怒ったぁ!」「誰か! 誰か早くそのアメリカを日帝さんから引き離してえええ!!」
怪我の手当てのはずが、会議室はさらなる大乱闘とお祭り騒ぎへと突入していくのだった。国連の胃薬が底を突くのは、もう時間の問題であった。(第五章〜第七章・完)
コメント
1件
第3話読み終えたよ〜!!神様が気絶するレベルってどんな傷やねんって思ったら、まさかの日帝の薬指ナチスに食べられてたっていう衝撃事実ににゃぽんと一緒に私も絶叫したわ😭💥独帝(物理)概念まじで尊すぎるんだけど!!手当て中もカオスな会議室の温度差とアメリカの空気読まなさに笑い死にしそうだった…次回も楽しみにしてるよ!!🌸