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「……ちょっと待ってアル」
中国が、手当ての包帯を握ったまま冷や汗を流して旧国一同を見つめた。
「さっきナチスは『怪我の治療ではなく、現世への復活を願った』と言ったアルな? だけど、神様が『グロい傷をこっちに見せないで、願いを一つ叶えるから』と言ったのなら……現世への復活は神様の仕様で自動的に起きるはずアル。神様への『願い事』は、一体何に使ったアルか……?」中国の極めて真っ当な指摘に、会議室の現国たちが再びハッとする。すると――旧国四人組は、デジャヴのように再び綺麗にフイッと別々の方向を向いた。
「「「「またそれかぁぁぁあ!!!!」」」」
現国たちのツッコミがハモる。完全に何かを隠している態度だった。
「白状するアル! 一体神様に何を願ったアルか!?」
中国が問い詰めると、ソ連がやれやれと首を振って最初に口を開いた。
「いや、何。神の奴が『そのままだと直視できないから、最低限の部分だけでも直させてくれ』と言うからな。俺は生前、戦争でぐちゃぐちゃになっていた骨の位置を、元の正しい位置にカチッと戻してもらったんだ」
「骨の位置がぐちゃぐちゃって……サラッと言わないでよ親父……」
ロシアがさすがに引きつった顔になる。外見の打撲痕どころではない、骨の内部の凄惨な破壊を神様に直してもらっていたのだ。
「io(僕)も直してもらったんね!」イタ王が元気に手を挙げる。
「生前、最後の方に民衆に捕まって、めちゃめちゃに逆さ吊りにされすぎたんねー! おかげで三半規管というか体幹がバグって、復活した直後はまっすぐ歩けなくて視界がぐるぐるだったんね。だから体幹だけ完璧に直してもらったんね!」「逆さ吊り……あ、あの有名な歴史の最期……」イタリアがサーッと血の気を引かせる。体幹を直してもらったおかげで、今のイタ王はピッツァを抱えて元気に走り回れているのだった。
「フン……。私とて、あのままの姿で現世に降り立つわけにはいかなかったからな」
ナチスが腕を組み、冷徹な声で呟く。
「私は最後に、どうせ降伏するくらいならと、自らの頭に銃を向けて自決した。……神の前に出た時は、頭部が弾丸で弾け飛び、脳も含めて色々と大変なことになっていたのだ。それを神が半狂乱で『無理無理無理!!』と叫びながら、弾丸を取り除き、頭の傷と脳みそを綺麗に元通りにしてくれた」
「うわあああああ!! 聞きたくなかった、我がご先祖(黒歴史)のリアルすぎる最期!!」
ドイツが耳を塞いで叫ぶ。神様が気絶しかけた最大の原因は、明らかにこの黒服の男だった。脳を丸ごと修復するという神業を「願い事」で消費していたのである。
「……そういうことなら、私も神には感謝せねばな」
最後に日帝が、手当てされた左手をさすりながら静かに言った。日本が心配そうに父親の顔を覗き込む。
「父さん……父さんは何を直してもらったんですか?」
「私はな、日本。あの米国の原爆と、その後の放射線によって……右手がドロドロに溶けて消失していたのだ。愛用の刀も熱線でひん曲がって使い物にならなくなっていた。だから神に、その溶けた右手と刀を元の姿に戻してもらった」
日帝が綺麗に再生された右手をグッと握り、腰の刀を愛おしそうに撫でる。
「さらに神が哀れに思ったのか、『火傷のしすぎで、熱さや痛みの感覚が完全に麻痺して感じなくなっていますね。これは私からのサービスで直しておきます!』と言って、皮膚の感覚だけを正常に戻してくれたのだ。……まあ、おかげで今、お前が塗ってくれている火傷の薬が、めちゃくちゃに沁みて痛いのだがな」
「えっ!? あ、ご、ごめんなさい父さん!!」日本は慌てて薬を塗る手を緩めた。日帝は鈍感そうに見えて、実は神様の親切によって「激痛」と戦いながら平然と会話をしていたのだ。
第十章:全米が(恐怖で)泣いた旧国たちが語った「願い事の真実」。それは、現国たちが教科書でしか知らない歴史の、最も生々しく残酷な最期の瞬間そのものだった。会議室全体が、言葉を失うほどの重い空気に包まれる。だが、そんなシリアスな空気を、一瞬でブチ壊す男がやはり約一名。
「Oh……日帝chyan……。右手が溶けちゃうなんて、そんな酷い目に遭ってたんだね……」
アメリカがポロポロと涙を流しながら、日帝ににじり寄る。
「でも安心してくれ! 今の俺はめちゃめちゃリッチで、医療技術も世界一だ! 溶けた右手があった場所も、俺の最先端の愛でいくらでも温めてあげるからね!!」
ババァン!! と、アメリカが両腕を広げて日帝にハグをかまそうと突っ込んできた。その瞬間、日帝の目が完全に据わった。カツン、と鋭い音が響く。神様に戻してもらった、日帝の五本の指が揃った「右手」。それが、同じく神様に戻してもらった「愛刀」の柄を完璧に握りしめた。
「……米国。先ほどから黙って聞いていれば、我が身を滅ぼした張本人が、どの口で愛などと抜かすか」凄まじい風圧と共に、日帝の刀が音を立てて引き抜かれた。
「ひえっ!?」
アメリカの動きがピタリと止まる。
「神のおかげで、私の右手は完璧に動く。この刀の切れ味も全盛期のままだ。……貴様のそのふざけた頭部を、ナチス先輩の最期と同じように弾け飛ばしてやろうか!!」
「Wow!! 日帝chyanの目がマジだ! 怒った顔もビューティフルだけど、命の危険を感じるぜぇー!?」
アメリカは冷や汗を流しながら音速でバックステップし、イギリスの後ろに隠れた。
「おいバカ息子!! こっちにターゲットを擦り付けるな!!」
イギリスが巻き添えを喰らって叫ぶ。
「あぁぁぁ……! 怒りで我を忘れて刀を抜く父様と、それに恐怖しながらもときめくアメリカ……! これぞ究極の愛憎劇(ディストピア・ラブ)にゃん……!!」
にゃぽんは完全に限界を迎えており、鼻血でハンカチを真っ赤に染めながらノートにペンを猛烈に走らせている。
「……はぁ。ドイツ、今日の会議はもう無理だな。有給を申請しよう」
「ああ、日本……。私もそうする。上司死ね、神様も死ね……いや、神様はもう気絶してるか……」
限界社畜の二人が現実逃避の目をしながら書類を片付け始める横で、国連はついに、空になった胃薬の瓶を握りしめて崩れ落ちた。旧国たちの怪我の歴史が明らかになり、ますます現国たちとの関係(主にアメリカへの殺意)がこじれていく中、国際会議場という名の日常ギャグ劇場の幕は、まだまだ下りそうにないのだった。(第八章〜第十章・完)
コメント
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旧国たちの「願い事」の真相、めちゃくちゃ重かった……!!😭✨ ナチスの脳修復とか日帝の右手が溶けてたとか、史実の壮絶さが生々しくてゾッとしたけど、最後のアメリカの空気読まないハグ勢いで刀抜く日帝の流れ、ギャグとシリアスのバランスが天才すぎるw にゃぽんの鼻血案件も含めて、今回も最高にカオスで面白かったです!!🔥