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みら

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みら

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阿部、渡辺、深澤の三人は、ネイルサロンの帰りに個室のあるケーキ屋へ立ち寄っていた。
それぞれ好きなケーキと紅茶を注文し、仕事の話や最近あった出来事をのんびり話している。
「やっぱりここのケーキ美味しいね。」
阿部がショートケーキを一口食べて笑う。
「分かる。」
渡辺も頷きながらモンブランを口に運ぶ。
深澤はチーズケーキを食べながら、二人の様子を眺めていた。
しばらく他愛もない話をしていたが、阿部がふと窓の外を見つめた。
駐車場には何台もの車が停まっている。
「……また。」
阿部がぽつりと呟く。
「車、運転したいな。」
その一言に渡辺も静かに頷いた。
「俺も。」
「涼太、免許持ってないからさ。」
「俺が運転して、どこか連れて行きたい。」
阿部は苦笑する。
「でもさ。」
「俺たち、今の状態じゃ男の時の免許証使えないって思ってたじゃん。」
渡辺も「あぁ」と頷く。
女の子になった直後。
身分証も顔も変わってしまった。
免許証も使えないと思い込み、二人とも愛車を手放してしまった。
「今思えば。」
阿部は少し寂しそうに笑う。
「もう少し待てばよかったな。」
「あの車、結構気に入ってたんだ。」
渡辺もケーキを見つめながら呟く。
「俺も。」
「ドライブ行ったり。」
「そういう時間、結構好きだった。」
個室に少しだけ静かな空気が流れる。
そんな二人を見ていた深澤が、紅茶を一口飲んでから口を開いた。
「だったらさ。」
「一回、事務所に相談してみたら?」
阿部と渡辺が顔を上げる。
「相談?」
「うん。」
「今まで前例がないだけで。」
「ちゃんと手続きすれば免許証の更新とか再交付とか、何か方法があるかもしれないじゃん。」
「事務所なら法律関係も詳しい人いるし。」
「警察とかにも相談してくれるかもしれない。」
阿部の表情が少し明るくなる。
「確かに。」
渡辺も何度も頷いた。
「聞くだけ聞いてみる価値あるか。」
「もし運転できるようになったら。」
「涼太を助手席に乗せたい。」
深澤は二人を見て笑う。
「ほら。」
「少し希望出てきたじゃん。」
阿部が深澤へ笑いかける。
「ふっかは?」
「免許どうするの?」
深澤はあっさり肩をすくめた。
「俺?」
「俺は無免許のままでいいや。」
「え?」
阿部と渡辺の声が重なる。
「なんで?」
深澤は笑いながら紅茶を口に運ぶ。
「だってさ。」
「照、運転好きだし。」
「俺、助手席専門で十分。」
「景色見てる方が好きなんだよ。」
「それに。」
少し照れくさそうに笑う。
「迎えに来てもらうのも、嫌いじゃない。」
渡辺が吹き出した。
「ふっからしい。」
阿部も笑う。
「完全に照に甘えてるじゃん。」
「いいの。」
深澤は少し照れながらも、どこか幸せそうだった。
「そういう役割分担だから。」
三人は顔を見合わせて笑う。
それぞれ違う未来を思い描きながら。
ケーキの甘い香りに包まれた個室には、穏やかで幸せな時間が流れていた。
___________
翌日。
阿部と渡辺はマネージャーに、運転免許のことを相談した。
「実は……。」
阿部が少し緊張した様子で事情を説明する。
「女の子になってから、男の時の免許証は使えないと思って車を手放したんです。」
渡辺も続ける。
「また運転したいんですけど、どうすればいいのか分からなくて。」
マネージャーは真剣に話を聞くと、優しく頷いた。
「分かりました。」
「前例がないので、こちらで警察と運転免許センターに確認してみます。」
「少し時間をください。」
二人は顔を見合わせ、小さく頭を下げた。
「お願いします。」
___________
数日後。
三人が仕事を終えた頃、マネージャーから連絡が入る。
「確認が取れました。」
阿部と渡辺は思わず姿勢を正した。
「警察と運転免許センターに相談した結果ですが……。」
少し間を置いて、マネージャーは笑顔を見せる。
「必要な身分変更などの手続きを行えば、新しい免許証を再交付できるそうです。」
「本当ですか!?」
阿部と渡辺の声がぴったり重なる。
「はい。」
「ただ、身体の感覚も変わっている可能性がありますので、安全のため一度教習所で運転感覚の確認を受けることを勧められました。」
「問題がなければ、新しい免許証が交付されます。」
阿部は思わずガッツポーズをする。
「やった……!」
渡辺も嬉しそうに笑った。
「また運転できる。」
深澤も隣で微笑む。
「よかったじゃん。」
「相談して正解だったな。」
___________
数日後。
二人は教習所を訪れていた。
久しぶりに運転席へ座る。
阿部はハンドルを握りながら深呼吸した。
「緊張する……。」
渡辺も後部座席で苦笑する。
「俺も。」
「なんか教習生に戻った気分。」
教官が優しく声を掛ける。
「焦らなくて大丈夫ですよ。」
「今日は感覚を確認するだけですから。」
ゆっくりと車を走らせる。
最初こそ少しぎこちなかったものの、走り始めると身体が自然に感覚を思い出していく。
駐車。
右左折。
車線変更。
一つひとつ丁寧に確認しながら走り終えると、教官が笑顔で頷いた。
「問題ありません。」
「お二人とも、とても丁寧な運転ですね。」
阿部は安心したように息を吐いた。
「よかった……。」
渡辺も笑顔になる。
「久しぶりだから不安だったけど。」
「ちゃんと覚えてた。」
___________
その後、必要な手続きを終えた二人は、新しい免許証を受け取った。
阿部は大切そうに免許証を見つめる。
「また運転できるんだ。」
渡辺も何度も免許証を見返しながら微笑んだ。
「今度は。」
「涼太を助手席に乗せてドライブ行こう。」
「俺も。」
阿部が笑う。
「めめを迎えに行きたい。」
二人は顔を見合わせ、嬉しそうに笑った。
少しずつ失ったものを取り戻しながら。
二人の新しい日常は、また一歩前へ進み始めていた。
阿部と渡辺は嬉しそうに何度も免許証を見返していた。
「また運転できるね。」
阿部が笑う。
「うん。」
「いろんな所行きたい。」
渡辺も嬉しそうに頷く。
その時だった。
二人は同時に顔を上げる。
「……。」
「……。」
「……あれ?」
「ん?」
阿部が苦笑する。
「俺たち。」
「車、無いじゃん。」
一瞬の静寂。
次の瞬間。
「「あっ!!」」
二人の声がぴったり重なった。
女の子になった直後。
免許証は使えないと思い込み、愛車を手放してしまった。
運転できることばかりに喜んでいて、一番大事なことを忘れていたのだ。
阿部は思わず笑い出す。
「免許取れたー!って喜んでたけど。」
「車がない!」
渡辺もお腹を抱えて笑う。
「完全に忘れてた。」
「どうする?」
阿部が首を傾げる。
渡辺は少し考えてから笑った。
「買うしかないだろ。」
「だよね。」
二人は顔を見合わせ、大笑いした。
コメント
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みらさん、お疲れさまです!「運転免許」読みました🚗💨 免許再交付という現実的な問題にちゃんと向き合って、それでいて最後の「車、無いじゃん」のオチで笑わせてくるところ、最高でした(笑)。阿部くんと渡辺くんが助手席に乗せ合いたいって言い合うシーン、すごく温かい気持ちになりました。深澤の「迎えに来てもらうのも嫌いじゃない」も、彼らしい甘え方で可愛いなって。日常の中に希望とユーモアが詰まった、ほっこりする回でした🌷