テラーノベル
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🤪 . しんどい
桃×青
青さん病み
・喘息持ち、病弱気味
・同居
・桃さんと幼なじみ
地雷様 等 🔙
# 青 .
昔から”強いふり”がうまかった。
喘息持ちで、季節の変わり目は必ず体調を崩す。
なのに、
誰にも言わずに吸入して、
誰にも言わずに薬を飲んで、
誰にも言わずに笑っていた。
「大丈夫。」
その一言で全部終わらせる。
本当は、大丈夫じゃないのに。
仕事の帰り道。
電車の窓に映る自分の顔が、やけに白い。
(…今日も、ちゃんと笑えてたよね)
バイトしてたときも、学生のときも、
「いふってほんとポジティブだよね」って言われていた。
違う。
全然ポジティブなんかじゃない。
ただ、迷惑かけたくないだけ。
家に帰ると、部屋は暗い。
ないこは仕事で遅い。
最近、ちゃんと顔を合わせていない。
昔は、少し咳をしただけで
「まろ、大丈夫?」って飛んできたのに。
今は、 “何も言わない限り”気づかれない距離。
ソファに座った瞬間、
胸の奥がきゅっと縮んだ。
息が浅い。
ヒュ、と小さな、嫌な音が鳴る。
(やば…ッ…)
吸入器を取りに行く気力もなく、
そのままソファーで背中を丸める。
発作ってほどじゃない。
でも、しんどい。
身体より、心が。
「俺がちゃんとしなきゃ」
「俺が迷惑かけたらあかん」
「俺が弱ったら、誰が安心するん」
ずっとそうやってきた。
でも最近、 その“俺”がどこにいるのか分からない。
ふと、昔のことを思い出す。
高熱でうなされて、苦しめられて、しんどかったあの日。
ないこは朝まで隣にいてくれた。
手を握って、
「大丈夫だから、俺がいるからね。」
って何回も言ってくれた。
今は、呼べない。
成人男性にもなって、昔のように 甘えられるわけない。
喉がひりつく。
咳を我慢して、 口元を押さえる。
「っ…は゛ッ…ひゅ゛っ……」
息がうまく入らない。
けど、泣くほうが先だった。
静かな部屋に、 小さな嗚咽だけが残る。
「…しんど…っ…」
声に出した瞬間、 堰(せき)が切れた。
なんでこんなに寂しいんやろ。
なんでこんなに苦しいんやろ。
ちゃんと生きて、 笑ってるはずなのに。
なんでこんなに空っぽなんやろ。
スマホを手に取り、連絡先を見る。
ないこの名前が一番上にある。
指が止まる。
「大丈夫」って送れば、 たぶん既読がつく。
でも、 「しんどい」って送ったらどうなる?
迷惑、かな。
画面が滲む。
「…っ、ひぐ、ッ…」
ぽたり、と涙が落ちて 文字が歪む。
涙が止まらない。
そのとき、 玄関のガチャっと鍵が回る音。
「…ッ…!? 」(ビクッ
思わず心臓が跳ねた。
「まろ、起きてる?」
いつも通り、 優しくて安心する声。
喉の奥が詰まる。
返事、しなきゃ。
「…っ…ぉかえり」
ちゃんとした声、出せた?
ないこがリビングに入ってくる。
一瞬、目が合う。
そして、 すぐに気づかれる。
当たり前、何も隠して無いのだから。
顔色、 涙の跡、 浅い呼吸、乾く咳。
「…まろ」
その呼び方だけで、 堪えてたものが一気に崩れた。
「……っ、ごめ……」
謝ろうとした瞬間、 ないこの手が頭に乗る。
「謝らないで。」
優しくて、安心する声。
でも、少し震えてる。
「しんどいなら、しんどいって言って」
言えなかった。
ずっと、ずっと、言えなかった。
でも今は、
「……しんどッ…」(ポロッ
勝手に出てくる言葉。
ないこは何も言わず、ぎゅっと 抱き寄せる。
「怖かったね、泣いていいんだよ。」
その一言で、 止まらなかった涙がさらに溢れる。
「ひぐ、っ…ひゅ゛ッ…」
「こゎ、かった゛ッ…」
「…怖い思いさせてごめんね。」
泣き止むまで。
怖さが無くなるまで。
しんどさが無くなるまで。
ないこは、何も言わず、ずっと、そばにいて、抱き寄せて。
暖かい言葉をかけてくれた。
Fin
コメント
3件
つつつつつーちゃんっ?!?!😭😭 良すぎます…えっえっほんとに好き……😭😭😭😭どうしよう、言葉にならないくらい良かった…私がとてもとても見たかったお話です😭💖💖💖まじで青さんそういう一人で抱え込むのありそうだし、いざ桃さんが来てくれたら安心して一気に崩れちゃうのもすごくよかった😭😭✨️ 素敵な作品をありがとう……ありがとう……😭😭