・『nmmn』『ruwn』の意味がわからない方は🔙
・お名前を拝借して書いておりますが、ご本人様とは関係ありません
・晒し等のご本人様の目につくような行為は絶対に止めてください
・別のサイトに投稿したやつを加筆したもの 書き方とか違いますが許してください 語彙力無いです。
・曲パロモドキ 台詞引用してます 死ネタ
・上書き/いよわ
・センシは数字 えちなことなんもないです
「どう?聴けるくらいには弾けてる?」
「…ロウってピアノ弾くんだ、すご…」
任務終わり、西からバスで帰ろう、とバス停に向かった。人気の無いところだから誰もいないと思っていた、が、どうやら先客がいたらしい。
「お、ウェン。」
「あれ、ろうきゅんじゃん!」
バス停にいた先客は、僕がいま1番会いたかった人で。疲れが一気に吹き飛んだ気がした。迎えに来てくれたのかな、なんて。
「なぁウェン、これ聴いてくれんか。」
そう言って渡されたのは一昔前前の音楽プレイヤーと有線イヤホン。
なんでここにいるの?今日ってお休みじゃなかった?ていうか家でも聴けたのに。
なんて言葉が吐き出されそうだったが、心做しか彼の表情が悲しそうで、心に留めておいた。
イヤホンを付けて、音楽プレイヤーのボタンを押す。流れてきたのはピアノの音。
そして、冒頭に戻る。
「どう?聴けるくらいには弾けてる?」
「…ロウってピアノ弾くんだ、すご…」
ロウのお家にピアノなんてなかった気がするから弾けるなんて知らなかった。子供の頃に弾いてたのかな。
「その曲、めっちゃ好きなんだよね。たまたま家にピアノあったはず、って思って家帰ったんだけどあると思ってた場所に無くてさ、めっちゃ困ったわ。」
あれ?ロウの家ピアノ無かったよね、あれ、あったっけ、まあいいや。
耳に入ってくるピアノの音が何故か安心できて、心地よかった。
「そん中何曲か入ってるから次のも聴いてみてよ。」
カチ、とボタンを押して次の曲を再生する。さっきのは知らない曲だったから、次のは知ってるかなって思ったけど、知らない曲だった。
「…これ聞いてると心地良いっていうか、なんか、安心する。なんでかわからないけど。」
「そか、いっぱい練習した甲斐があったわ。まだ完全に再現はできないけどな。ウェンはこの曲知らないだろうし。」
なんで僕がこの曲知らないってことわかるんだよ、心読んでんのか?
「涼しい、な。」
5秒程の沈黙があって、彼が口を開いた。
そうか?夏終わりにしては暑いと思うけど。
「なぁ、ウェンの周りでは今なに流行ってんの。前教えてもらったけど忘れた。」
おじいちゃんじゃん!って、いつもみたいにからかってやろうと思って口を開いたけど、音にならなくて、ただ掠れた息が漏れた。なんでだろう。
「……今日の俺、喋り方とか変じゃない?」
変じゃないよ、そう返せばお前のほうも変わりなさそうで良かった。って。意味わかんない。
彼があまりにもそわそわしてるから、少し近づいてイヤホンを片方渡してあげた。そうしたら彼は
「くれるん?ありがと。はは、得したわ。」
って返してきた。彼のことだから俺はいい。とか言って断られるかと思ったけど、今日は素直な日らしい。
「いい時代だな…」
なんて複雑な表情をするから、よく分からないけどそうだね、って返した。
「ありがと。一緒に聴けて良かった。…あとどれくらい持つかわかんねぇからさ。」
充電?って聞いたら違うよ、って返ってきて僕の頭の中はクエスチョンマークでいっぱい。充電じゃなかったらなんなんだよ!ロウきゅんの寿命とか?あっ睨まないで⋯
「なぁ、⋯ウェンはさ、過去に戻れる方法があるって言ったら信じる?」
「え?」
「上書きする機能が出来たんだよ、過去の、両手で掬えるくらいの質量ぶんのものを。」
「それで俺は、過去の自分の頭の中身を今の自分で塗りつぶした。見た目が変わんない方がばれにくいからさ。ばれる?誰にって感じだよな、はは。」
そう言って、自嘲するみたいに笑った。
さっきの一緒に曲を聴いている時みたいな幸せな顔は無くて、いまは悲しんでいるのか呆れているのかよくわかんない表情をしている。
「例えばさ、俺が自分の知ってる過去と明らかに違う行動をとったらどうなると思う?」
「え?、あ、」
「何も変わらないんだよ。宝くじを当てたって金は手に入んないし、テレビで災害を予言しても放送されない。過去は絶対に変えられないんだよ。変えようとしたら、全部ばれてもとに戻る。」
「それを理解した時にはもう、俺は時間切れで。本当はお前にお別れを言いに来たんだけど、…無理を承知でお前に1つお願いがある。」
やっと来たバスが止まって、目の前のロウはいっそう焦った顔をする。
「このバスに乗らないで。あと30秒でいいから俺と話して。俺の声を聞いて。行かないで。いかないでくれ。うぇん、おねがい。…なぁウェン…」
早口のロウとは反対にバスはゆっくり、きぃ、と音を立ててドアを開ける。さっきロウは行かないでと言っていたけれど、僕は気づいたらバスに乗っていた。ロウは乗らないんだ。窓の外をみたら、変な顔してるロウがいた。そんな顔するなら来ればいいのに。
コメント
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1回目読んでて🐺のセリフの意味分からなかったけど、2,3回読み直すとあっ、と理解してしまった… 最初は🐺の方が居なくなっちゃったのかと思ったけど、実際居なくなっちゃったのは🦖の方で、🐺は🦖が死んじゃった過去を変えたくて未来から会いに来て止めたかったけど、過去は変えられないから、🐺がどんなに切に願っても、🦖がバスに乗る未来は変えられなかった… 解釈が合ってるか分からないけど、こういうの大好きです😭