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無事受験終わりました…!
# 第5話 病室での距離
らんらんは、
看護師さんに呼ばれて病室へ戻ることになった。
俺は一瞬迷ってから、後を追う。
「……すち、来る?」
不安そうに尋ねられて、首を縦に振った。
「うん。話、したい」
病室は四人部屋で、今はらんらんのベッドだけにカーテンが引かれていた。
白い天井、規則正しい機械音。
ここが、らんらんの“今”なんだと思うと、胸が重くなる。
ベッドに腰を下ろしたらんらんは、少し息を整えてから、俺を見た。
「急にいなくなって、ごめんね」
「……謝らないで」
それだけ言うのが精一杯だった。
本当は、聞きたいことが山ほどある。
でも、どれも怖くて、言葉にできない。
「学校……どう?」
「普通だよ。らんらんがいない以外は」
言ってから、少し後悔した。
でも、らんらんは小さく笑った。
「そっか。……よかった」
よくない、なんて言えなかった。
らんらんがいない学校は、ずっと静かで、色が薄い。でも、それを言ったら、らんらんを苦しめる気がした。
「病気のこと……」
切り出しかけて、言葉が詰まる。
「無理に聞かなくていいよ」
らんらんが、先に言った。
優しい声だった。
いつもみたいに、俺を気遣う声。
「治療、長くなるから。だから……」
そこまで言って、少し黙る。
「すちには、普通に学校生活、送ってほしい」
胸の奥が、ぎゅっと締めつけられた。
「俺は……」
言いかけて、止まる。
“一緒にいたい”
“そばにいたい”
そんな言葉は、今は重すぎる気がした。
「……また、来てもいい?」
代わりに、そう聞いた。
らんらんは、少し驚いた顔をしてから、
ゆっくり頷いた。
「うん。来てくれたら、嬉しい」
その一言で、救われた気がした。
病室を出る時間が近づいて、俺は立ち上がる。
「じゃあ、また」
「……うん。ありがとう、すち」
カーテンを閉める前、
らんらんは手を振ってくれた。
細くなったその手を、目に焼き付ける。
廊下に出た瞬間、足が少し震えた。
再会できたのに、距離は前より遠い気がした。
それでも――
もう一度会えた。
それだけは、確かだった。
➡♡300
コメント
1件
初めまして! 今日主様のことを見つけて、作品を読ませてもらいました!あの…普通にめちゃくちゃ最高ですぅ!!なんか、書き方とかシチュエーションとか大好きですっ!続きも楽しみにしてます!(*ˊᵕˋ*)