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karua_0121
210
#大学
きの子ちゃん
761
#あおはる。
輪廻˖ ࣪⊹
510
るりあげは
45
通し稽古の途中。
舞台上では、町の人々が歌っている。
その裏で。
あやかと陽花里は、次の出番を待っていた。
幕内で、二人きり。
「…みんなすごいね」
「あやかだってすごいよ、野獣やってて」
「ありがと」
…
「あやか」
陽花里が名前を呼んだ。
めずらしく、しっかりと、あやかって。
「どうしたん?」
「今言うのもなんだけど、私、」
部活辞めようと思ってて
「…え?」
部活を、やめる?
ぶかつって、この、演劇部のこと?
「…どうして?」
「なんかもう、疲れちゃって。
私は、歌ったり演技したりするのはめっちゃ大好きなの。
でもこの次の公演も、そのあともずっとやっていける気がしなくて」
「…そっか」
舞台が暗転した。次のシーンは出番だ。
きりかえないと
~~~~
「練習お疲れさまでした!準備できた人から帰ってください」
舞台の照明が再び明るくなり、演劇部の部室はいつもの喧騒に包まれる。
しかし、あやかの心は、あの暗転の瞬間に取り残されたままだった。
「……陽花里」
あやかは意を決して、声をかけた。
陽花里はビクッと肩を揺らし、ゆっくりと振り返る。
「あやか、さっきは……ごめんね。通し中に、変なこと言って」
「ううん。一緒に帰ろ。さっきの続き、ちゃんと聞きたくて」
部室の鍵を閉め、誰もいなくなった夕暮れの渡り廊下。
二人の足音だけが、静かに響く。
「疲れちゃったってどういうこと? 陽花里、いっつも楽しそうに歌って…」
陽花里は歩みを止め、夕日に染まる校庭を見つめた。
「楽しかったよ。今も、演じるのは大好き。
でもね……正直うちの部活で」
「本気で舞台に向き合ってる人ってどれくらいいるとおもう?」
陽花里の指先が、カバンのストラップを強く握りしめる。
「ずっと考えてたの。なんでいつも”いい舞台”はできても”最高の、これ以上ない舞台”はできないんだろうって。いいとこ、私とあやくらいだよ。少しでも良くするためにあらがってたけど。この公演が終わったら、もう、そのプレッシャーに耐えられる自信がないんだ」
あやかは言葉を失った。
自分は「野獣」という大役に必死で、隣にいる一番大切な仲間の限界に、気づけていなかった。
「……気づけなくて、ごめん」
「あやかが謝ることじゃないよ。これは私の問題だから」
陽花里は無理に微笑もうとするが、その表情は今にも崩れそうだった。
あやかは一歩、陽花里に近づく。
「陽花里、私は……」
あやかの頭の中で、いくつもの言葉が渦巻く。引き止めたい。
でも、苦しむ陽花里をこれ以上縛りたくない。
それでも、隣で一緒に歌いたい。
二人でまちがえたらごめんって言いあって、休み時間にふざけあって、
一緒に舞台に立ちたい――。
そんなことはとても言えそうになかった。
コメント
1件
第4話、読みました…陽花里の「辞めようと思ってる」って言葉、すごく重かったです。あやかが必死で役に向き合ってたからこそ、隣の陽花里の限界に気づけなかったっていうのが胸に刺さりました。「本気で向き合ってる人ってどれくらいいると思う?」って陽花里の問い、すごくリアルで…。引き止めたいけど苦しませたくない、って葛藤するあやかの気持ち、わかるよ。次の展開が気になります🌙