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karua_0121
210
#大学
きの子ちゃん
761
#あおはる。
輪廻˖ ࣪⊹
510
るりあげは
45
「……でも」
あやかは、ようやく口を開いた。
「それでも、私は陽花里にいてほしい」
陽花里が顔を上げると、夕日の光が、その目に映った。
「……あやか」
「引き止めたい。すごく引き止めたいよ」
自分でも驚くほど、声が震えていた。
「だって私、陽花里と舞台に立つの、好きだから」
「……うん」
「ガストンと野獣で、一緒に声出して。一緒に怒って。一緒に笑って。お互い間違えちゃったらごめんねってしあって。終わったあと、今日のあそこよかったねって話して……そういうの、ずっと続くと思ってた」
「引退するまで……ひかりとずっとできるとおもってたの」
そこまで言って、あやかは俯いた。
本当は、言いたいことは山ほどある。
「好きだから」とか、
「陽花里じゃなきゃ嫌だ」とか。
「舞台の上だけじゃなくて、ずっと隣にいてほしい」とか。
でも、その言葉だけは喉につかえて出てこない。
「……ごめん」
陽花里が小さく呟いた。
「なんで謝るの」
「だって、あやかがそんな顔すると思わなかった」
「……どんな顔?」
「泣きそうな顔」
「泣いてないし」
「うん。でも泣きそう」
陽花里が笑った。いつもの、犬みたいな笑顔で。
なのに今日は、その笑顔がひどく寂しく見えた。
「私も、あやかと一緒にやるの好きだよ」
「……ほんと?」
「うん」
陽花里は少し照れくさそうに笑う。
「私がガストンで、あやかが野獣でよかった」
「……」
「だってさ」
陽花里が少しだけ近づく。
「私、あやかといると、ちゃんと頑張れるから」
その言葉に、胸が締めつけられた。
「……じゃあ」
あやかは顔を上げた。
「この公演だけは、一緒にやろう」
「うん」
「最高の舞台にしよう」
陽花里の目が、少しだけ輝いた。
「……うん」
その瞬間。
体育館の方から、誰かの声が響いた。
「清藤ー!山田ー!まだ帰ってないならちょっと来てー!」
「はーい!」
陽花里が大きな声で返事をする。
そして、あやかを見る。
「行こっか、野獣さん」
「……誰が野獣さんよ」
「だって今のあやか、めっちゃ野獣っぽい顔してた」
「どんな顔よ」
「私を絶対逃がさない、みたいな」
「……っ」
「ふふ」
陽花里が笑って、先に走っていく。
「ほら、早く!」
「ちょっと、待ってよ!」
あやかもその背中と夕日を追いかけて、残された時間を忘れようとした。
でも。
(お願い、お願いだから嘘だっていってほしい。やっぱりやめないって言ってほしい)
(なれるわけないんだから、あなたを嫌いにさせないでほしい)
コメント
1件
光清ぴぴあさん、第5話読みました。あやかの「引き止めたい」という気持ちと、陽花里の「あやかといると頑張れる」という言葉の重みがすごく響きました。最後の「あなたを嫌いにさせないでほしい」という願いが切なくて、胸がぎゅっとなりました。この公演が二人にとってどんなものになるのか、すごく気になります。