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えのちゃん、小説の才能があると思うんだ、、天才だよ👏大チュキチュキ(「♡・ω・)「♡
え、ほんまに天才なん?天才じゃん本出して欲しい絶対読む
『死にたがりのキミには ちょっとばかり残酷な世界だったね』 大好きな言葉です。🤭💕 それもまた海での会話というのが2人の感情、より心情も伝わりました😭
俺の最後に瞳の中に映るのは
貴方のその笑顔でした。
「わぁっ、!見てみて元貴!!」
透き通る声に本能的に反応し、
砂浜で1人寂しく座る俺は
下を向くのをやめ、
声の主の方へ視線を向ける。
「きゃあっ!つめたぁい!!笑 」
一人っ子が故の性格なのか、
1人でもきゃっきゃとはしゃぐ
君の元気とは裏腹に、
透き通る白い肌と
田舎の中でも物凄く綺麗なゴミ一つない
エメラルドのような輝きを放つ
青緑色の海がマッチして
儚いイメージが俺の脳裏に焼き付く。
目を離したらすっと消えてしまいそうで。
目が離せない。
いや、俺が見とれているのもある。
「元貴もこっちで遊ばない?
お水が透き通ってて綺麗だよ!」
「いや、俺はいい。発作が出るから。」
「あっそ〜!」
少しムッとした表情になり、
いいも〜んと頬に空気をプクっと膨らませ
俺に視線を送るのをやめて
1人遊びに専念する。
「あ、そうだ。ウミガメのスープ
って知ってる?」
俺が羨ましそうに恋人を見ていると、
その様子に気がついたのか
ぱっと思いついた内容を言葉にしている。
「聞いたことはある、
けど 内容は知らない。」
「知らない」というワードに反応し、
鼻を高くしたのかと思うほど天狗になり、
つらつらと言葉を並べ始める。
「では問題です!
ある男が、とある海の見えるレストランで「ウミガメのスープ」を注文しました。
しかし、彼はその「ウミガメのスープ」を
一口飲んだところで止め、
シェフを呼びました。 」
ここまでは順調にかっこつけながら
説明文を綴っていく。
「「すみません。これは本当にウミガメのスープですか?」
「はい… ウミガメのスープに間違いございません。」 」
しっかり人によって役になりきれるよう
声色を変えて話す。
そんな様子が可愛くて、おかしくて…
「ぷっ..あははっ!!」
久々に声高らかと笑う。
「なっ..笑う要素あったぁ?」
不満げに濡れた砂浜から乾いた砂浜へ
ゆっくりと歩いてくる。
「男は勘定を済ませ、帰宅した後、
自殺をしました。 何故でしょう? 」
『自殺』
この言葉にピクっと反応する。
「急に話重くなるね。」
「まぁね。」
「ん〜…」
「質問は『はい』と『いいえ』で
答えられるものならしていいよ。」
「じゃあ…
そのウミガメのスープの中には
毒は入っていましたか?」
「いーえ。」
「その男の嫌いなものは?」
「関係ありません!」
「その男はウミガメのスープを
食べた事ありますか?」
「あ〜!!う〜ん…難しいなぁ…」
「問題出す側が悩んでどうするのよ。」
「なんとも言えないんだもんん〜…」
「ん〜…ギブ。答え教えて。」
「えっとね〜!」
得意げに自慢する姿は
まるで5歳児の様に幼稚で、
可愛らしかった。
そして俺の横にとすっと座り、
砂浜で遊びながらペラペラと語り出す。
「男の人は船に乗っていたの。
ある日、船が遭難し、数人の男と共に
救難ボートで難を逃れたけど
漂流の憂き目にあっちゃうの。
食料に瀕した人達は 体力のない者から
死んでいく。
やがて、 生き残っているものは死体の肉を 活きるために食べ始めるが 1人の男はコレを断固拒否するの。
当然、その男はみるみる
衰弱していっちゃうの、可哀想…
見かねた他のものが
「これは海がめのスープだから」
と偽り 男にスープを飲ませ救難まで生き延びたの、よかったよね。
でもね、レストランで明らかに味の違うこの 「本物の海がめのスープ」に直面し 、
そのすべてを悟り 死に至る…
これが正解!」
「いやわかるか。」
呆れ笑いがついつい零れる。
無理難題を押し付けてくるくせは
たまにあったが、まさかここまでとは。
「悲しいよね、真実を知って自分で
命を絶っちゃうなんて…
でも、僕だったら折角仲間の力を借りて
生き延びたんだからさぁ?
僕は生きたいって、
生きなきゃって思うなぁ。」
「涼ちゃんは絶対できないと思う。」
「何を?」
「生きること。」
「えぇ?そうかなぁ。
僕なんだかんだ言って根は強いんだよ!」
「嘘。」
「なんでよ。」
「だって俺の癌が見つかった時…
もう治らないっていった時、
海で心中しようって言ってきたの
涼ちゃんじゃん。」
「….、」
図星をつかれたような顔をしたあと、
切ない乾いた笑いに代わり、
俺の頭を撫でる。
顔をのぞき込みながら、俺の表情を
よく見ながら。
「..それとこれとは話は別。 」
「なんでそんなに強がるのさ。」
「強がってなんかないよ。
僕は元貴が寂しいだろうなぁって
思って、ずっと1人は
苦しいだろうなぁって思って
僕も死んであげようと思ったの。」
「自分のためでしょ。」
「..そんな事ないよ、
そんな事言わないで、。」
「俺の前だけ弱さ見せればいいじゃん。
なんでそんなに自分は強いアピすんのさ。
俺は涼ちゃんの『本音』
が聞きたいんだけど。」
「…本音、ねぇ。」
夕日を見ながらそう呟く恋人は
笑っているようにも見え、
泣いているようにも見えた。
「..僕、元貴には…強い自分を
見て欲しかったんだけどなぁ、…
..ばれ、てたか。」
唇を噛み締めながら
目頭から、目尻から1滴..また1滴と
暖かい海水のようなものが流れ出てくる。
「そりゃバレるよ。
どれだけ涼ちゃんの
恋人してると思ってんの。 」
君が傷つくから言わないけど、
君の手首に咲く、自分で育てた赤い花も、
笑顔の裏で実ってきている
孤独の感情も。
なにもかも気がついていたよ。
「ごめん、もう少し待って。
すぐに泣き止むから、
最後ぐらい、僕がかっこつけたいから。」
「うん、いくらでも待つよ。」
死にたがりのキミには、
ちょっとばかり残酷な世界だったね。
孤独が嫌いなキミには、
この僕とは相性が会わなかったね。
「ごめんね、出会っちゃって。」
僕はぽそりと独り言を吐き捨てたつもりが
君の耳には届いていたらしい。
「僕は、元貴と出会って感謝してるよ。
沢山、面白い世界を見せて貰ったし、
沢山、笑えたし..沢山、愛せたし
沢山、愛してもらった。
僕がこんなに孤独を感じなかったことは
元貴と出会ってからだ。ありがとうね。」
恋人が嘘をついているように
思えなかった。
ちゃんと、俺の気持ちは届いていたね。
でも、俺としては
愛している人が俺のせいで
死んで欲しくないな。
「ごめんね、生きれなくて。」
「謝らないで。元貴はなにも悪くないよ。
僕としては死別ほど
儚くて、美しくて、孤独を感じないものは
ないと思うの!」
勢いよく砂浜という安定しない土地に
足をつけ、立ち上がり、
声にならないもので大きく背伸びをする。
「さっ!元貴、行くよ!!」
白いワンピースに包まれ、
大きい唾が特徴の麦わら帽子は
儚くて、
可愛い君にはぴったりの死装束だね。
俺の手を無理やり手に取り、
砂浜を蹴ってグングンと美しい海の方へ
向かっていく。
ウミガメの赤ちゃんでもないのに、
“其方”へ行くのはお門違いだよ。
ちゃぷんと音を立て、
生と死の境目に踏み入る。
見る見るうちに靴は死の液体で満たされ、
ひんやりとしてきた。
「僕、どうせならお魚さんたちの
食料になりたいな。
ウミガメの赤ちゃんじゃなくて、
僕を食べて満足して欲しい。」
「….、」
俺は何も返せなかった。
死なないで、なんて言えないし。
孤独を生き抜くことは恋人にとって
死ぬより何百倍も辛いことだろう。
「..最後に、キス…していい、?」
「..ふふ、元貴っぽい。」
冷たい足元とは比例せずに
口と心は暖かいもので満たされてゆく。
今度はウミガメの様に
自由に駆け回れる人生がいいね。
俺たちは互いに手を取り、
海の方へ深深と歩みを進めていった。
文章わけわかりませんごめんなさい。
毎回言ってんな。