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#異世界転生
ひより
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夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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臣桜
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人混み、提灯の明かり、何かを焼く香ばしい屋台の匂い。
夏の夜は騒がしいのに――俺の周りだけ、世界の音が遠かった。
(……今日で、全部終わりにする)
「王子谷さん、お待たせしました!」
振り向いた瞬間、呼吸を忘れた。
淡い紫の浴衣に身を包んだ小森が、少し照れたように立っている。
ゆるくまとめた髪から、ふわっとした後れ毛が首元にかかっていた。いつもより少しだけ大人びた姿の彼女に、心臓が跳ねた。
「……変、ですか?」
「……いや。……すげえ、可愛い……」
そう言って、思わず目をそらす。
(語彙力、死んだ……!)
小森は、ぱっと花が咲いたみたいに笑った。
その笑顔を見るたびに、心がざらついた。
***
屋台を回って、たわいない話をする。
金魚すくいで俺が盛大にポイを破いて、小森がくすくす笑って。
たこ焼きを半分こして、「熱っ!」って顔を見合わせて。
ありふれた夏祭りのデートだった。
(……終わらせるって決めたのは、俺の方なのに)
「王子谷さん! 楽しいですねっ!」
小森が声を弾ませる。その一言が、鉛のように重く心に沈んだ。
(……俺だって、ずっとこうしていたい。でも――)
***
土手を登り、人混みを少しだけ抜けた場所。
ドン――ッ!!
最初の大きな花火が、夜空に大輪の華を咲かせた。光が、小森の横顔を照らす。
(言え。ここで言わなきゃ、一生後悔する)
震える拳を強く握りしめた。
「……小森さん」
「はい?」
ドン、ドンと続く花火の音が、心拍音と重なった。
「……契約、終わりにしようってやつ。半分は本気で、半分は……嘘です」
小森は何も言わず、俺の言葉を待っていた。
「俺、みんなが思ってるような……キラキラした人間じゃない」
指先が、わずかに震える。
「どれだけ外見変えても……中身はあの頃のままだって」
視線を落とす。
同級生たちの笑い声が頭の奥に、焼き付いて離れない。
「騙してるみたいで……しんどくて」
「タバコのときも……」
一瞬、言葉が詰まる。
「受け入れてもらったのに……逃げようとして……最低な奴だって、思いました」
ドン――ッ!!
大きな花火が、夜を覆い、光の破片が、降り注ぐ。
「……それでも」
逃げたまま終わるのは、もっと無理だった。顔を上げ、彼女をまっすぐ見る。
「……俺、小森さんのこと、好きです」
コメント
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ひよりさん、第220話読みました! お祭りの華やかさの裏で「終わらせる」と決意しながら歩く王子谷くんの胸の内が、浴衣姿の小森さんとの幸せなひとときと重なって、切なくてたまらなかったです。花火の光に照らされる小森さんの横顔、そこで震えながら「好きです」って告白するシーン、心がぎゅっとなりました。語彙力死んだって内心ツッコむ王子谷くんが可愛くて愛おしい…。続きが気になります!