片付けを終え、保育園に戻ってきた時には夕方になっていた。
今から、先生達だけのお疲れ様会が始まる。
少しだけポテトや唐揚げなどの食べ物やおやつを用意して、ジュースやお茶で乾杯した。
夏祭りの成功を喜び合って、みんなでワイワイお喋りする時間は楽しかった。
はしゃいで疲れたせいか、途中から眠ってしまったけど、雪都も特別に一緒に残らせてもらってる。
そして、いつしか話題は慶都さんのことに……
「お話しできてドキドキしましたぁ~何なんですか、あの色気は」
「本当、あのセクシーな流し目に唇に、もうキュンキュンしちゃった~」
「またお迎え来ないかな。私もお話してみたいです」
「私も話せなくて残念でした。緊張して近くに行けなかったです。あの人、他の男性が目に入らなくなるくらいキラキラ輝いてましたね」
慶都さんの話でしばらく持ち切りになって、私はずっと苦笑いするしかなかった。
「彩葉さん。今日はお疲れ様でした」
理久先生が、自分の飲みかけのジュースを持ってきて隣に座った。
「お疲れ様。子ども達、みんな喜んでたよね。雪都もあんなにはしゃいで。疲れてよく眠ってる」
「今、寝顔見てきました。本当によく眠ってますね。他の子と比べるわけじゃないけど、でも、もし結婚したら雪都君みたいな可愛い男の子が欲しいなって思います」
理久先生は、そう言ってジュースを1口飲んだ。
「いろいろ……ありがとう。そんな風に言ってくれて有難いよ。雪都、先生のこと好きみたいだし」
「本当ですか? それならすごく嬉しいです。僕、彩葉先生や雪都君の力になれたらって、いつも思ってますから。遠慮なく何でも言ってくださいね」
優しいね、理久先生。
今日はみんな、慶都さんのことで盛り上がってるけど、いつもは理久先生が話題に上がることも多い。
癒し系イケメンで、可愛くて、オシャレで……って、みんな褒めてる。
こんな風に優しくされたら、女性はちょっと誤解しちゃうかも知れないね。
もちろん、私には親しい友達として優しいんだけど。
理久先生には感謝しかない。
「あの、今日はマンションまで送ります。雪都君、おぶっていきますから」
「ううん、そんなの申し訳ないから」
「いいですよ、甘えて下さい。1人じゃ大変だし、それに何かあったらダメですから」
何か……って、いったいどんなことを想像してるんだろう、私はもう大人なのに。
真剣な顔をして年上の私を心配する理久先生が、ちょっと可愛く思えた。
「本当に大丈夫だよ。近くなんだから」
「何言ってるんですか。日も落ちてきてるし、彩葉先生も雪都君もすごく可愛いんですから、誰かに狙われたら大変です」
か、可愛い!?
真面目な顔で何を言うの?
って、あっ、そっか、それは雪都のことだよね。
一瞬、私まで「可愛い」って言われたのかって、勘違いしちゃった。
私なんか可愛いわけないのに恥ずかしい。
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