pe「僕達、こういうものでして…」
運営国に着き、順番に門番の人に
パスポートを見せる。
mob「パスポート見せてもらわなくても、見た目ですぐに分かりますよ。」
kr「いやいや、もしかしたら変装等で騙してくるやからもいるかもしれませんしね。」
sn「そうですよ、僕らこれでも有名人ですからね!」
tr「常に気を張ってなくちゃですよ?なんせ門番なんですから。」
mob「うっ、仰る通りです……」
そうやって、門番とも軽く会話を挟む。
この門番さんは、長年運営国の門番を
務めている方だ。
だから俺らは何回も会ったことあるし、
こうやってふざけ合ったり、
コミュニケーションを取れるほどの
仲にも進展している。
mob「もう分かっていると思いますが、この門を通りしばらく直進すると住宅街が見えてくるので、そこも直進し、城まで向かってください。」
mob「城に着いたら、そこの門番にもパスポートをお見せください。城内の説明は、そちらの門番が行います。」
kr「分かりました、ありがとうございます。」
バイバーイ、と手を振りながら、
俺らは運営国の中へと入っていく。
中に入れば直ぐに分かる、陽気な雰囲気。
住民達が、和気あいあいと過ごしている。
どうやら本当に、らっだぁが居ないことは
伝えられていないようだ。
tr「いつ見ても賑やかだよなぁ〜、ここ。」
sn「あっ!前のロリ…んん”っ!小さい子もいますよ!」
pe「うぁぁぁぁあ!エビフライの匂いがする!!」
俺らもその陽気さにつられ、
自由奔放と走り回る。
kr「ちょ、二人共!まだ入ったばっかりだよ?!」
tr「ありゃりゃ、能天気だこと。」
焦るクロノアさんと、苦笑するトラゾー。
その中ではしゃぎ回る俺ら。
雰囲気だけ見たら、完全に保護者とその子供だ。
pe「こっちか?こっちからか?!どこから匂いがするんだ?!」
sn「待って運営国ロリ多すぎない?前こんないたっけ?!」
俺らは二人、まるで観光しに来て
テンションが上がりすぎた人達のように
ギャーギャーとはしゃぎ回る。
tr「2人ともー、先行っちゃうぞー?」
トラゾーが急かしてくるが、
俺らはまだ暴れ足りない。
pe「えー、そんな急がなくていいじゃん!まだエビフライの根源掴めてない!!」
sn「僕もですよ!まだあの子と話せてないし…」
俺らがそう反論する。
トラゾーが、はぁ、とため息を付き、
俺達に向かって言った。
tr「今日は、遊びに来たんじゃないだろ?」
その一言に、俺らはハッとする。
追い打ちをかけるように、
クロノアさんが俺らを見て、言った。
kr「らっだぁさんのこと、心配じゃないのか?」
pe「………あ……」
sn「…………………」
俺らはピタッと動きを止める。
そうだ、俺らは遊びに来た訳では無い。
らっだぁを見つけに、”助けに”来たんだ。
気を紛らわせている場合では無い。
tr「それに、運営国の案内人さん来てくれたのに待たせてるよ?」
トラゾーが呆れた顔で言う。
見ると、トラゾーの後ろに
一人の女性が立っていて、苦笑していた。
sn「え?…あっ、すいません!ついはしゃいじゃって…!」
mob「いえいえ、お気になさらず。」
そう言って案内役の人はふふっと笑う。
俺は、先程とは打って変わって
真剣な目付きで城を見る。
pe「…ごめん、急ごう。」
俺らは、運営城へと向かった。
mob「…あ、来た来た!遅いですよ、ぺいんとさん達!」
kr「すいません、少し寄り道してしまって…」
mob「いえいえ、大体の察しはつきますよ。」
そう言って門番は、
俺としにがみ君の 方を向いて笑った。
こちらの門番にはお見通しのようだ。
みんなでガサゴソとカバンを探り、
見つけた順にパスポートを見せる。
mob「…はい、皆さん全員OKです。」
mob「幹部様方は、応接室にてお待ちです。応接室は、城へ入ってすぐ右に曲がり、二つ目の部屋に…って、もう分かりきってますか。」
mob「中に案内役の兵が居ますので、分からなかったらそちらにお聞きください。」
口で説明しながら、門番さんは
門についているパスワードを入力し、
門を開けている。
mob「…さて、中へお入りください。」
kr「はい、お邪魔します。」
俺らは門番に案内され、
順番に城の中へと入っていった。
応接室の前までついた時、
そこには異様な雰囲気が漂っていた。
中は誰もいないんじゃないかと
思えるほど 静かで、
しかしどんよりと人の気配がする。
案内人さんが息を飲み、
静かにノックする。
kyo「……………………誰や。」
きょーさんの低い声が、
ドア越しに響く。
mob「…日常国の方々を案内して参りました、──です。」
kyo「……………………」
数秒の静寂。すると今度は、
中から焦ったようなレウさんの声が
聞こえてきた。
re「日常国の方々もいるんだね?」
mob「はい、いらしております。」
kyo「………………入れ。」
mob「…し、失礼、します……」
そう言って、
案内人さんが静かに扉を開けた。
その瞬間、中に立ち込めていた
どんよりとした空気が、
一気に俺たちの方へと 吹き出した。
案内人さんは、ヒッと声を上げている。
中は、想像以上の地獄だった。
きょーさんが、応接室で一番高そうな
大きな椅子に乱暴に座って
タバコを吸っている。
まるで悪の帝王のようだ。威圧が凄い。
その横で、コンタミさんが
きょーさんに何か語りかけている。
きょーさんを落ち着かせようと
しているのだろう。
しかし、きょーさんは全く聞き耳を
持っていないように見える。
そして、部屋の隅に目を向けると、
そこには体育座りをしてうずくまる
緑くんの姿があった。
一人でブツブツと何かを呟いていて、
そこだけ妙に闇が深く見えた気がした。
彼は緑色。 通称、緑くん。
運営国四人目の幹部だ。
そして彼は、誰よりも らっだぁに
忠信を抱いている。
電話に出てこなかったことを
不思議に思っていたが、今なら分かる。
彼は、俺らなんかじゃ比にならないくらい
精神をやられている。
相当ショックだったのだろう。
扉の前で絶句していると、
扉の横から、レウさんがひょこっと
顔をのぞかせた。
re「…えっ、と……と、とりあえず、中に入ってください。あ、案内くんはもう、行っていいよ!」
mob「は、はい!失礼しました!!」
案内人さんは急いで扉を閉め、
駆け足で去っていく。
足音が遠くなったのを確認し、
レウさんが話しかける。
re「…す、すいません、せっかく来てもらったのに…」
kr「いえ、お気遣いなさらず。大切な仲間を失えば、こうもなりますよ…」
re「ありがとうございます……」
レウさんが、深々と俺らに礼をする。
re「ほら、みんなも礼して。せっかく来て貰えたんだから…」
レウさんがそう声を上げた瞬間、
kyo「…………らっだぁ。」
きょーさんが、急に声を上げた。
kyo「俺らの関係の間に、最初の礼儀なんて要らんよな?」
きょーさんは、死んだような目を
もっと濁らせ、俺を真顔で睨む。
kyo「…らっだぁを探すぞ。」
俺らが来たときにはもう、
あの明るい運営国は
どこにも見当たらなかった。
コメント
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どりみーあれ大丈夫かな
運営国に幸あれ、、(?)
マジ、見つかってくれ、、!!