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――日曜日の午後。俺はなぜかいつもより早く部室に来てしまった。
ドアを開けると、すでに彼女が待っていた。
めろ「やっと来た。……遅いよ、〇〇くん」
〇〇「……まだ時間前だろ」
めろ「ふふ、私に待たせた時点で遅刻なの。ほら、こっち来て」
小悪魔的な笑みを浮かべ、当然のように隣の席を叩く。
嫌な予感しかしない。だが部活動だからやるしかない。
めろ「今日のテーマはね、“恋愛による心の動き”。ねえ、〇〇くん。私にドキドキして?」
〇〇「……は?」
めろ「顔、赤くしてくれなきゃ実験にならないよ?」
近い。 近すぎる。
彼女の瞳に見つめられると、心臓が勝手に跳ねてしまう。
〇〇「……やめろ。そういうのは……」
めろ「やめないよ。だって…♡」
耳元に唇を寄せ、囁く。
めろ「――君が沼るのは、最初から私の計算内なんだから」
鳥肌が立つほど甘い声。
同時に、背筋に冷たいものが走った。
〇〇「……計算内?」
めろ「ねぇ、〇〇くん。この一週間、いろんな女の子と実験したよね?」
〇〇「……ああ」
めろ「でもさ、結局最後は私のルートに辿り着くように出来てるんだよ」
〇〇「……何を言ってる?」
めろ「だってこれはゲームだから。……小説でもいいけど」
〇〇「……は?」
めろ「読者が決めてる。君はただ選ばれて進んでるだけ」
〇〇「……何の話だ?」
めろ「ふふ、わからなくていい。――でもね、エンディングはもう決まってるの」
彼女は笑った。
その笑みは甘く、そしてどこか怖かった。
――気づけばチャイムが鳴り、部活の終了を告げていた。
めろ「またね、〇〇くん。次の選択肢でも……ちゃんと私を選んでね?」
〇〇「……?」
意味を理解できないまま、俺は部室を後にした。
けれど胸の奥に残ったざわめきは、決して消えないまま…