橙桃です。本人様とは関係ありません。
地雷だよって方、通報される方は見ないようにしてください。
桃side
紫「…ッ」
桃「橙…生きてたんだ…ポロポロッ」
橙「ごめんなぁ来るのが遅くなって。なぁ桃、薬は取らなくてええで」
桃「え…何言ってるの?橙が消えちゃうんだよ……?」
橙「俺は大切な主人を死なせたくない。今まで守ってきた命を俺のせいで亡くすなんて無理や。桃が死んだら俺、生きる意味があれへん」
桃「俺だって…橙が消えたら生きる意味なんてないよ…ッ」
紫「…さっきから黙って聞いてればなに?この体たらく。桃くんが俺の計画に乗って死んで、その後橙くんも消えれば2人仲良くあの世行きだっていうのに」
桃「そんな…ッ」
橙「お前は黙ってろ」
紫「はぁ……じゃあいいよ、橙くんにはここで消えてもらう」
ボウッと紫ーくんの手にまるで闇のような真っ黒の火が灯る。
橙「……じゃあ戦わんとな」
桃「橙…ッだめッ」
橙「大丈夫。この俺が負けるわけないやろ?」
桃「でも……ッ」
橙「……俺はここでは死なへん。一緒に家に帰ろうな?」
桃「………………、約束だからな」
橙「w…そうこなくちゃ」
橙はそう言うと振り返って紫ーくんと向き合う。
俺は扉の後に隠れる
どうか…橙が勝ちますように
数十分後
未だに決着はつかない。でも橙の方が傷を負っているし、それに………もう消えるからか弱くなってきている。
紫「あははっwだいじょーぶ?」
橙「フッw自分の心配した方がええんやない?」
同様に橙の攻撃を受けている紫ーくんも余裕には見えない。
橙が死ぬか紫ーくんが死ぬか
俺は………また何も出来ない
紫「もういいよ、飽きた。次で死んでもらう」
え…………?
紫ーくんは真っ黒に染まった剣を取り出し橙に飛びかかる。
?「ほれほれ、そこまでにしておきなさい」
桃「えっ…?」
ピタリと紫ーくんが止まり、一斉に後に声がした方を見る。
そこに居たのは
桃「あの時の……お爺さん?」
俺が森で迷っていたときに方向を教えてくれたお爺さんだった。
紫「ッ!!!!」
紫ーくんが息を詰まらせる。
桃「?紫ーくん…このお爺さんのこと知っているの…?」
紫「……………お前ッ何故ここに…!!!」
お爺さん「…久しぶりじゃな紫」
桃「どういうこと………?」
お爺さん「やぁ若者。いや桃」
桃「どうして俺の名前を知って…」
橙「桃、この人は桃が生まれる前の妖人だった白鳳さんや」
白鳳……?何処かで聞いたことあるような…
それよりも、
桃「ということは…紫ーくんのお兄さんが恋した妖人って…」
白鳳「うむ、わしだよ」
紫「何しに来た」
白鳳「まぁそんなカッカしなさんな。……なぁ紫。わしじゃだめか?」
紫「は……?」
白鳳「計画のことじゃよ。桃の代わりにわしの魂を使うことは出来ないかい?」
紫「だって……桃くんほどの力はお前にはないでしょ?」
白鳳「そうか?この薬をわしが飲めば力も回復すると思うが」
紫「………」
桃「待ってよ!それは…橙が飲む薬だから…」
橙「桃」
俺が止めに入ると、橙は俺の手を握った。
橙「もうええから」
桃「は、?え、でも」
橙「白鳳さん。貴方の言っていることは分かった。でも、そしたら白鳳さんが消えるんやで?分かっとる?」
白鳳「あぁ…分かっとるよ。わしには未練なんて一切ない。優しい妻がいて、可愛い娘もできて孫もできた。そして、ひ孫もできた」
白鳳さんはじっと俺の目を見つめる。
俺と同じ瑠璃色の目。
極僅かに薄く桃色に染まっている髪。
あぁ…思い出した。
白鳳という名前。おばあちゃんが言っていた。
おばあちゃんのお父さんの名前だ。
桃「曾祖父ちゃん」
白鳳「ふふっ分かったかい?」
前の妖人は俺の曾祖父ちゃんだったんだ。
白鳳「わしらの家計にはね妖人が稀に生まれることがあったんだよ。だからわしが死ぬときに娘に渡しておいたんだ。代々引き継がれていたアヤカシの箱を」
アヤカシの箱………橙が出て来た箱だ。
おばあちゃんは、俺が妖怪が見えることを知って、箱を置いておいてくれたんだ。
桃「曾祖父ちゃん………」
白鳳「桃……未練はないと言ったがわしには1つだけ未練があったんだ。それは…ひ孫の顔を見れなかったこと。わしは…お前が生まれる数ヶ月前に死んでしまってな……悔しかった。でも、こうしてお前に会えて、話せて。これ以上求めることはないよ。ありがとう」
桃「うん……」
でも…俺は納得出来ない。だって
橙「……」
橙は消えてしまうから。
白鳳「さぁ…薬を飲んで計画を進めよう。紫。おまえさんには辛い思いをさせてしまったな」
紫「…ッポロポロッ……兄さんを返せよ…」
白鳳「………悪いが、それは出来ない。せめてもの救いとしてわしの力を使ってくれ」
紫「………………、分かった」
白鳳「桃」
曾祖父ちゃんは俺の手を握った。
皺くちゃな手。でも何処か懐かしい。
白鳳「幸せになるんだぞ。安心しろ、妖怪はこの世界から居なくなる。もう襲ってこない」
桃「…………うん」
白鳳「橙さん」
橙「はい」
白鳳「桃を守ってくれてありがとう」
橙「………それは使命なので」
白鳳「ほっほっほっそれはそうじゃな」
曾祖父ちゃんは薬を手に取ると紫ーくんの方へ歩み寄り、微笑んだ。
紫「……桃くん、橙くん」
桃「紫ーくん…」
紫「ごめんなさい…そして、ありがとうポロポロッ」
桃「………こちらこそ、ありがとう」
スゥゥゥ…と、2人は光の中に消えていった。
全身の力が抜けて、座り込む。
橙「大丈夫か?」
桃「うん……ねぇ橙」
橙「ん?」
桃「橙…消えちゃうの…?」
橙「………うん」
桃「俺…ッ消えて欲しくないッポロポロッ」
橙「うん……でも、もう妖怪は居なくなるんやで?だから俺が居なくても平気やろ…?」
桃「………違うよ」
俺はぎゅっと橙のことを抱きしめる。
桃「………………好きだから」
橙「えっ…」
桃「好きなんだ。橙のこと…恋したんだ。橙に。消えないで。逝かないでよ橙ッポロポロッ」
橙「………ッそっか……そっかぁ…」
橙の胸元に顔を埋めて泣き喚いた。
黄「…………2人とも」
橙「…帰ることにしたんや」
桃「………」
黄「そうですか……」
橙「黄…今までありがとうな」
黄「いえ、こちらこそ……また会える日まで」
境界の出口に足を踏み入れた瞬間
桃「…!!!!」
飛んでる…?
下を見れば見慣れた町の夜景。
橙「俺が境界に来るときに時間は既に動いてたんや。だからもう夜になってしもうた」
ゆっくり、ゆっくりと落ちていく。
桃「……」
橙「…桃」
俺よりも下にいた橙が手を広げた。
俺は橙のもとに行き、抱きしめた。
橙も、包み込むように俺のことを抱きしめた。
橙「…桃はあったかいなぁ」
桃「…………うん」
橙「桃」
俺が顔を上げると橙は優しく口づけした。
そして抱きしめる力を強める。
橙「好き。大好き。愛してるで」
桃「うん…///」
恥ずかしくて言い返せない。
俺も好きだよ。大好き。愛してるよ。
あぁ…このまま時が止まったらなんて願っても仕方がない。
橙「生まれ変わったら人間になりたい。そして桃に猛アタックして付き合って。桃のこと幸せにするんや」
桃「…今も十分幸せだよ」
橙「直ぐに生まれ変わって来るからな。俺以外に彼氏作らんといてな!」
桃「w…わかった」
地面が近づいてくる。帰ったら母さんになんて言おう。過保護だから…怒ってるだろうなぁ。
桃「…!橙…?」
橙の身体が……薄くなってる…?
橙「はは…もう時間切れみたい」
桃「何言ってんだよッ一緒に帰るんだろ…?」
橙「ごめんなぁ」
そんな………
橙「桃に会えて良かった。守れたのが桃で良かった」
桃「…うんッ」
橙「愛してる」
桃「ッ俺も……愛してる」
橙は幸せそうに笑った。
地面に足をつく。
桃「…ッグスッ……ぅう…ポロポロッ」
俺の隣に橙は居なくて。
その代わりと言えば良いのだろうか。
俺の手にはオレンジ色の紐が縛ってある短刀が握り締められていた。
コメント
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え、ねぇねぇ僕の命と橙の命交換しない?