テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
レイブとギレスラ、ペトラのスリーマンセルがキャス・パリーグ達に助け出されて、ここ学院に連れてこられたのは七年以上前になる。
当時のレイブ達は揃って混乱の極みにあった。
無傷で保護されたスリーマンセルは訳の判らぬ主張をし続けていたのである。
曰く、
ふっくらと肥えて健康そのものに見えたペトラは、
『死ぬ死ぬ、もう血が殆(ほとん)ど流れ尽くしちゃってアタシ死ぬ~、さようなら…… ありがとう……』
的な妄言を繰り返して居たし、紅竜のギレスラも、
『ガァ、グガラァ! ウロコガァッ! タ、タスケテェ! グラアァーアァー! グログラアァァー! グウゥララアァァー!』
うろたえ捲っていたらしい。
レイブだとて例外ではなく、
「左腕がぁ! ああぁぁ! ペトラがっ! ギレスラがっ! ああああっ! ちきしょうっ! あいつめ、許さないぞっ! あの野郎っ! ひ、左腕がぁっ! ううぅん……」
そんな風に訳の判らない発言を繰り返し続けていたのである。
こりゃあかん、表情に恐怖を滲ませながら三者を見つめるキャスパ・リーグとカゲトであったが、ズィナミ・ヴァーズは訳知り顔で頷きつつ言ったのだ。
「この子達をゆっくり休ませて上げて頂戴! 体だけじゃなく心もね…… 若(も)しかしたら、この子達が現状を突破する切欠(きっかけ)なのかも知れないわよ? 何世代も、いいえ、何十世代も待ち続けた切欠になるかもしれない…… 頼んだわよ、パリーグっ!」
と。
キャス・パリーグとズィナミ・ヴァーズの相方、スリーマンセルである緑の竜、エンペラも叫び疲れて眠ったギレスラの姿を眺めながら言ったものだ。
『うむ、確かにこの子にも我等と違う何かを感じるな…… 体の中に酷く強大な何かが共存しているかの様な…… 我には詳しくは分からぬ事だが、ひょっとするとズィナミの言う通りかも知れんな』
『っ! わ、判ったわ』
そう答えたキャス・パリーグの真意と言えば、心に深い傷を負いながら生き長らえた、自らの弟弟子、妹弟子の回復が主であったが、その心配は結果から言えば杞憂であった。
数日間、寝ている最中にうなされたり、起きている間も幽鬼のように呆然として過ごしていた三者は、一週間もすると元気を取り戻して精力的に動き始めたのである。
誰が指示したと言う訳でも無いのに、学院で不足してしまいそうな燃料や食料、水や繊維、岩塩や綱、石材や粘土を備蓄し始めたのだった。
『無理をするな』そう言った教師、講師に対してレイブ達が答えた言葉は綺麗にシンクロしていた。
『無理ではないです』
ニッコリとした笑顔で言う幼いスリーマンセルの表情は、嘘ではなく心から発せられている、大人達にはそう映りそれ以降の言葉を飲み込ませてしまったのである。