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柔太朗side
肌を撫でられる感触と酒とタバコの混ざった息に吐き気を感じていたら頭の上からジャケットが落ちてきた。一瞬で勇ちゃんの匂いに包まれる。
「…え?」
慌てて勇ちゃんを見ると、口パクで場所を変わる様に言われた。
そっと席を立ち背を向けて服を整える。
少し大きいジャケットに袖を通すと、勇ちゃんに抱きしめられているような気がした。
🩷「この前の回しで…まじ痺れました…」
B「あぁ…あれはなぁ……(省略)…」
🩷「……また勉強させてください…」
B「君、佐野君?若いのにセンスあるなぁ…」
Bは勇ちゃんの巧みな話術で機嫌を害すことなく熱弁をふるい酒を飲み続けた。
それに付き合って飲み続けた勇ちゃんの顔もまた赤かった。
B「佐野君、もっと飲もうか」
🩷「ありがとうございます、いただきます!」
辛いだろうにおくびにも出さず笑顔で飲む。
普段そんな飲むって聞いてないからすごく無理してくれてるんだってわかるから…
胸の奥がキュッてなった。
上機嫌で飲み続けたBはいつもより早く酔っ払いマネージャーに引きずられて帰って行った。
ホテルの前で車が見えなくなるまで勇ちゃんとふたり並んで見送る。
下げた頭をあげると声が重なった。
🤍🩷「「…ごめんっ」」
びっくりしてお互い顔を見合わせる。
「え?」
🩷「…いつも、こんな感じだった?」
「…いつもじゃないよ。Bさんは、まぁ…」
🩷「俺、そういうつもりじゃなくて…」
「わかってるよ」
🩷「でも、マジでごめん!」
「…」
🩷「…柔太朗?」
「…………ごめん、酔った。かも…」
緊張が解けたら頭から血の気が一気に引いた。
足元はぐらぐらするし、胃の中は逆流して酸っぱいものが込み上げてくる。
口に手を当て目を閉じて呼吸を整えていたらと、そっと頭を抱き寄せられた。
勇ちゃんの胸にすっぽりおさまると、そのままぽんぽんと頭を撫でられる。
…温かい。
まだ具合の悪い俺を心配した勇ちゃんは近くのホテルをとってくれた。
こんな都会のど真ん中のホテル。
絶対高いに決まってるのに、馬鹿だよね。
🩷「大丈夫?」
「うん、少しいい。勇ちゃんは?」
🩷「俺は大丈夫。息すげー臭くなってっけど」
笑いながらペットボトルの水を渡してきた。
キャップ外してくれてる優しさつきで。
🩷「あ、風呂入れそう?服、クリーニング頼むから」
「…ありがとう」
熱いシャワーを浴びながらBの感触が残る肌をタオルでゴシゴシこする。
肌が赤くなってヒリヒリするけどやらずにはいられなかった。
温かい湯に浸かって一息つくとポロッと涙が流れた。
…勇ちゃんに見られたくなかったな。
両手で顔を覆う。
今日ホテルで勇ちゃんを見た時、心臓が止まるかと思った。
仁ちゃんに聞いたのかな。
でも正直、限界だった。
そろそろ寝ないといけない雰囲気だったし。
こんなこといつまで続けるんだろうって思ってたから。
呼び出される度に怖かった。
勇ちゃんの目にはどう映ったんだろう。
Bに与えられた服を着て媚を売る自分。
嫌われたら…いやだ。
のろのろとバスローブに身を包むと、ポケットに手を突っ込んで窓辺から景色を見ている勇ちゃんの隣にそっと立つ。
勇ちゃんは視線を景色に向けたまま声をかけてきた。
🩷「ここ、すげーキレイだな」
「うん…高かったでしょ」
🩷「まぁ、俺ら頑張ってるし。たまには贅沢してもいーんじゃね?」
「稼いでる奴は言うことが違うね」
いつものようにおどけて見せるからクスッと笑ってしまう。
勇ちゃんのこういう無意識の時の冗談が好き。
いや、違う。
勇ちゃんが好きなんだ。