⚠️色んな人が死にます
暴力表現あり
「クソガキ…」
脇腹を握りしめながら銃を構えて来た
「諦めた方が良い、俺は死なない」
「はっ、それが持つのはどれぐらいだろうな」
「知らないけど、これだけはわかる。今じゃない」
平和を望むのなら一生聞かないであろう銃声がこの無駄に広い廊下から響いた
「潔大丈夫かな…」
「大丈夫だって、あいつ死なないし」
「そうだけどさぁ…俺心配」
「人のことを気にかけるより目の前のことに集中して欲しいんだけど?蜂楽」
「ごっめーん千切ん」
バンッババン
口笛を吹きそうになりながら華麗に避け冷や汗を垂れ流した
人数も多くそれなりに腕がある
侵入者が多かったのだろう
その時のために腕を上げたのだと瞬時に理解出来る
なぜなら何人もの殺した手捌きの打ち方だからだ
「厄介だな…」
「だねぇ、…!ねぇちぎりん」
「ん?」
「彼処に扉あるよ」
「…!なるほどね」
「さよなら、ゲス野郎」
最後のトドメのため数回打ち施設長がいるであろう室内に向かう
いて欲しくは無いが俺が来たということはわかっているはずだ
そうなれば必然的に俺がそちらに向かうこともわかるだろう
「確かここのはず…」
念の為壁に耳を当て人がいるか探った
いる、けれどおかしい
いつもなら焦っパリな彼奴なら俺が来ることがわかっていても焦りながらパソコンに向かって指示を出しているはずだ
パソコンの音もしない
何故だ?物音のひとつもない
いるのは確実
けれどいないに等しいぐらい静かで怖くなった
いつまでもここで留まっている訳にも行かない
持ち物を全て持ち外にいる凪と玲央に合流しなければ
勢いよくドアを開け銃を構えた時頭から血の気が引いた
奴はいた
それと同時に壁に吊り上げられた子供
痛々しい傷に沢山泣いたであろう跡
一気に呼吸が乱れ変な汗を書き始めた
ピントが合わない
混乱した頭じゃ何も働かない
「よぉ、遅かったなNo.4141」
ニチャニチャと音を立てながら喋るのは変わらず不気味な笑みを浮かべる奴はそこにいた
言葉なんてでない
けれど怒りでどうにかなりそうで自分を殺してしまう
「この子供が気になるか?此奴は少女だったんだがお前のことを忘れられなくてな…男にしたんだ。可愛いだろう?」
震える体は恐怖からか奴への怒りからか
それとも自分への怒りか
「お前はいつになっても可愛いままだ、逞しくなったが変わらない。その怯える目も泣かせたくなる」
「そ、の子供は…」
「No.2013だ。成功作なんだ、体をいくら分解されても引っ付いて壊れない。お前みたいな物だ、けれど此奴は死ぬ。お前とは違う」
違う、生きてるのかと聞いているんだ
明らかに瀕死状態じゃないか
どれだけ血を流したんだ
「…このクソ野郎!」
バンッババンっバンッバンッ
何回も打って打って打ちまくってでも冷静になれない頭じゃかすりもしなくて弾を無駄にするだけだった
奴はどんどん近づいてきて気づけば頬を触れるぐらいの距離まで来ていた
「お前は逃げられない、こうやって帰ってきて懐に戻っていくんだよ、お前はそういう生き物だ」
「ちが、…俺はっ…」
「何も違くない、薬のせいで能力も使えなくなっただろう?そうなれば唯のゴミ。燃やす価値もないゴミだ」
「俺、は…」
「もう諦めろ、お前に生きる資格など持っていない。権利とかほざいていたがここに来てからお前にはないんだよ、世一」
違う
そんなことない
やめろ、そんな目で見るな
そんな…人間として見ないような目
俺は生きたいんだ
皆と同じようにいたいんだ
「お前は他の奴らとは違う、特別なんだ。能力がなけりゃゴミ同然、だが唯一の成功者…お前は他の灰のヤツらとはちがうんだよ」
唯俺は
彼らと一緒に笑い合いたいんだ
なぜ邪魔をする
なぜお前らは俺の道を塞ごうとするんだ
「…はっ…くそっ」
「かわいそーだな、やっと逃げて逃げて希望が見えていたのに鳥籠の中で太陽に照らされることに喜んでいただけ、所詮お前は奴隷…地球にいる埃と同じなんだ」
聞いていたもののいざ目の前にすると足が震える
その子供はどれだけ痛かったのだろうか
助けなんて来なくていいように扱われた屈辱は落胆はどれほど深いのか
「戻ってこい、お前は俺の所有物。なぁ、世一」
「…誰が戻るかよこの豚野郎」
「…あ?」
「聞こえなかったのか?ブヒブヒ鳴くことしかできないもんな…俺は豚野郎と言ったんだ」
「…自分の立場を弁えろよっ、害虫の分際で!」
「その害虫に言われ放題している気持ちはどうだよ?あ?」
首を絞める勢いで覆いかぶさられ首にナイフを当ててきた
冷たい鉄がギリギリと皮膚にくい込み赤い液体を流す
「舐めるのは地位を理解してからにしろ、能無し」
気に食わなくいつもの焦っぷりがではじめフガフガと息を荒らしはじめた
「能無しなのはてめぇだろ、豚」
「お前っ…!」
カチャリと音を立て奴の心臓部分に突き刺した
「…なんの真似だ」
「昔俺の事を好き勝手した野郎共の真似さ」
「こんなことしていいとおもってんのか?」
「なに?何が起こるわけ?」
「俺が死ねばお前の親権は○○代理になっている、その先もまた代理がなる。ただお前が嫌いな犠牲者が増えるだけだ、逃げられないんだよ」
「へぇ〜…それは、大したもんだ、な!」
「ぐふっ…!」
「爪が甘いんだよ、パァパ?」
「この、発情物がっ…」
やつに構ってる暇なんてない
資料さえ持ち帰ればここに用などないんだからな
ヒラヒラと資料を出した動作で1枚の紙が落っこちてしまった
見なくてもいいもののやけに気になりページをめくると俺と同じ苗字に嫌な予感がした
「潔…伊世…?おい、誰だこいつは」
「…あ?…はっ、お前の母親さ。いい面してんだろ?ぃっ…抵抗してきやがったから銃で打ったが若いし可愛かったからな、それに溜まってたしよ…死んでいたが柔らかかったのを今でも覚えているぜ」
視界が赤で染まるのを自覚した
先程の一撃が食らったのか顔を顰めて唸っている姿さえも苛立ちを感じ己を恥じいた
実の母親を知ろうともせず何があったのかさえも知らないまま資料をとりそしたらもう終わりだと心刻んでいたがもしこの紙が落ちなかったら知らずに出て終わらしていたのだろうか
身震いをした
頭の中で必死に謝りそんなことしても意味ないとわかっていても止まることはできない
それと同時に頭が冷えていくのも覚えた
人は怒りが達すると冷静になるのは本当らしい
無我夢中に奴の体目掛けて数発しか残っていないであろう銃で我武者羅に乱発した
やめろとすまないと何度も言っていたが遅いのだ
遅すぎるんだ
この部屋にいたくなく子供を脇に挟み資料も持ち奴の死を確認する暇もなく飛び出した
そのせいで奴がまだ動いていることに気づけなかった
「はぁ…はぁ…っは…」
必死に出ようと階段を降りているものの体力はさほどなくすぐに膝を着いてしまった
「…こ、子供は…」
口に手をちかづけ呼吸を確認したが息をしているような空気は出てこないことに焦り始めた
「ど、どうしよ…っ!そうだ…あっちの実験室に治癒薬があったはず」
幼少期の記憶を頼りに治癒薬を探し始めたのと同時にここの研究者たちが会話している声が聞こえた
「っ…こんな時に…」
早く行かなければこの子が助かる確率が減る
弾も残っていない
ナイフすらも先程使い使えなくなっている
奴らは銃を持ち俺は子供と資料だけ
早く玲央達のところに行かなければならないのにこれでは帰れない
能力なんて今ない
普通の人間だ
無理に決まってる
反対方向に進もうとした時明日来るはずの政府らの援護がいることに気づいた
なんて最悪なんだ
考えればわかる事だった
侵入されたていることは政府の耳に入っているはずだだったら援助を頼むに決まっている
じゃあなぜシャッターを閉めないんだ
何を企んでる
これは時間の問題だ
あの時早く冷静になってればと過去の過ちを悔やんでも仕方ない
左右がダメなら上下だ
上には白い壁が広がり下には別の部屋につながっている小さい入口
大の大人が入るか分からないが身を縮こませれば行けるはずだ
「必ず助けるから…」
「フゥ〜…っとちぎりんそっちは大丈夫そ〜?」
「あったりめーだろ?それにしても重いったらあやしない」
扉に駆け込みそれと同時に奴らも同じ方向にかけ走った時爆弾を投げ一気に滅没させたのだ
「まさかちゃーんと防犯があるとは思わなかったわ」
「ほんと助かったよね〜」
そう、爆弾に巻き込まれることも承知の上で賭けにかけたのだ
そしたら見事こちらの勝ち
これは運でしかなかった
「こいつら今まで悪運は強かったんだろーな」
「だよね、悪いことしてんのに罰さえないんだからさ」
「俺らも言えねぇけど」
ガシャンっ
「っ?!」
「…ん?…えなんで銃向けてんの…」
「凪っち!」
「あれ、お前…外で待機じゃなかったっけ?」
「あ〜…さっき潔からコールが来て援助欲しいって」
「それ早く行かなきゃダメじゃねぇか!」
「ん〜、でも見当たらないんだよね…GPSつけたはずなのに起動しないし」
「ま、歩いてれば見つかるって!愛の力で」
キランっと言う効果音がつきそうなウィンクを披露した蜂楽は軽やかにステップを踏んだ
「あいつ潔好きなのに心配とかないのかよ…」
「んー?だって潔、強いじゃん!」
「どこの根拠を言ってんだよ…まだまだ素人じゃねぇか」
「潔は強いよ…体が鈍いだけ」
「凪っちわかってるー!」
「確かに強いけどよ…」
「しゅっぱーつ!」
「なぁ、これが終わったら飯行こうぜ」
「賛成」
「いいな、それ」
ペラペラと俺を探しながら歩いていく政府の援護係
先程下にあった人が1人分入れそうな入口があったので子供と入り進んでいくと治癒薬がある室内の目の前で待機していた
そこの目の前に援護がいるので出られず身を隠すことに専念した
モゾモゾと俺の腕の中が動いた
「…っ…や、ヤダ…はな、してっ…いやぁっ!」
「っ!静かに!」
目が覚めトラウマのせいか暴れ混乱状態に至った
「嫌だ!やめろ!俺に触るな!」
「誰だ!そこにいるのは!」
バレてしまった
ひとまず彼奴らをどうにかしなければ行けない
ここに来る途中で2発ある銃を手に入れたのだ
唯3人いるのに2発はきつい
勢いよく飛び出し髭を長く伸ばした男に飛びかかった
バンッ
「がっ…!」
まずは1人目
「このくそがきっ!」
「待て!此奴No.4141だ!」
今俺には怪物のような治癒能力はない
ただの人
だから銃に打たれれば血は流れ死ぬ可能性もある
「…あ!待って!」
銃戦をしている間に子供は走って言ってしまう
余所見をしていたせいで短髪の男から銃を放たれ右足太腿を貫通した
銃の角を使ってよろめきさせ首を強く〆た
死ぬのを確認してからもう一人の男目掛けて銃を放った
「…あ、子供!」
走っていってしまった子供を追いかけるべく走った後を追っていった
もちろん治癒薬も忘れずに
「おい、下まつげ」
「あ?」
「おかしくないか」
「…嗚呼」
北訪問口には関係者がいないのだ
いたがアラートがなった途端東方面へ走っていったのだ
全員がだ
逃げるのかと思ったがあまりにも不自然すぎた
目が合ったのにも関わらず怯える様子もない、銃を向けず走り去ってしまったのだ
明らかにおかしい
異常だった
「おい、青薔薇…わかってんだろうな」
「指図するな、下民」
こどもが見当たらない
そんなに遠くには言ってないはずだ
それにあの怪我は出血多量で死ぬ
いくら切り引きされても治りはしない
くっつくだけ
早く見つけなければあの子の命はない
そんな時蜂楽と千切、凪を見つけた
安堵と歓喜が舞い上がり足が軽くなった気がした
だからだろうか
3人を狙っている奴に気づけなかったのは
「はっ…?」
「…ち、ぎり…っ!」
千切の腕の中には俺が探していた子供もいた
「千切っ!!」
蜂楽は千切の打たれた肺を力強く抑え温度が消えていく体に恐怖を覚えた
今ここの手の中にある治癒薬を使えば助かる可能性はある
けど、子供も重症だ
すぐに死んでしまう
それと同じに千切も死んでしまう
どちらを助ける…?
千切を助けたい
でも子供も生かしたい
でも…でも…
「千切っ…」
「ど、どうしようっ潔!血、止まんない!」
「あそこの室に入ろうっ!」
珍しくあたふたする凪にハッとした
そうだ、こういう時は仲間を優先…して…しなきゃ…したいんだ
けど、…子供はどうなる
目の輝きが覚めていき目も閉じかけている
さすがに死んだ人を生き返らせれるほど治癒薬は成長していない
こういう時はどっちが正解なんだ
いやまず正解を求めるのは間違っているのでは…?
いやいや、そんなことどうでもいい
どうして予備を持ってこなかったんだ
今すぐにでも間に合うか?
2人とも瀕死状態なのに?
待ってる間に死ぬ
嫌だ
それだけは嫌だ
「…い…ぎ!」
死んで欲しくない
「いさ…い!」
どうしよう
俺…
俺は
「い…さぎ!」
どうすれば…?
「潔!」
「ぁ…」
真剣な顔をして俺の顔を覗き込む蜂楽
肩を掴み顔を歪ませた凪
「ごめ…なさっ」
全部俺のせいだ
復讐とか寝言を言うなら1人でするべきだ
人を巻き込むというのは人を無くすに等しい
この俺が助けたいとか
これ以上犠牲者を増やしたくないとか
勝手なことを言うから
こうなるんだ
友達失いたくないとかこれ以上大切な人を失いたくないとか
何を偉そうに…
そんな資格無かった
人を見殺しにできる癖に助けたいとか何言ってんだよって思う
「ごめっ…ん」
早く助けなきゃ
でも俺には判断できない
友達救いたい
子供救いたい
「俺っ、…決められない」
「え…?」
なんのことを言っているのか分からないって顔をする蜂楽に罪悪感が包み込んだ
「おい、潔…」
「千切…?」
「判断、間違えなんよ…おま、えならわかるだろ…命の重さが、この子と…違う」
「何言ってんの…ちぎりん」
「…ごめん、なさいっ…」
すぐに蓋を開け俺の口に流し込み子供の口を塞いだ
飲んでくれと思いながら顎を上に傾きながら
「ち、ぎりん…千切っ…千切!!」
一生懸命肩をゆさって涙を浮かべる蜂楽に心臓が潰れそうだった
まだ若い子を優先するのは当たり前ででもこっちも若くまだ10代の子供で俺の大切な人だ
どうすればいいのか目をキョロキョロと動かす動揺を隠せない凪
仲間が死んだ
昨日まで巫山戯あっていた仲間が死んだ
子供を助けながら
震える手で通信機を持ち北方面にいるであろうものたちに向かって答える
「ち、切り…豹馬は……死んだ」
息を飲むような音が聞こえた
未だに震えが止まらない手で通信機の通信を切り懐に戻した途端胸ぐらを捕まれ床に倒れた
「どうしてっ…!どうして!!…仲間を捨てるような真似をっ」
蜂楽だった
「ちが、う!仲間を捨てるなんてことしてない!」
「現に捨ててるじゃん!」
何も言えなかった
事実だけど事実では無いことを言われ
何も言えなかった
言う資格なんてなかった
「蜂楽、落ち着いて…千切も言ってたけどこの子と千切の命の重さは違う、だから」
「重さなんてあるはずない!俺は千切の方が重いと感じるけどね!」
仲間が死んでしまったのだから怒鳴るのは当たり前だった
蜂楽は既に約2回目の前で大切な人の死を見ている
それなりに衝動は大きいはずだ
「命は平等だ!重さとかあるか!」
「それと同じように死も平等だよ」
宥めるように背中を摩り続ける凪
「こんなっ…こんなことがっ」
「ゴメン…なさい」
謝ることしか出来ない
他にどうしようもない
「謝んないでよ…っ…千切、」
緩まった腕に逃げようとも思わなかった
「潔…それ」
凪が右足に打たれた血を見て唖然としている
そりゃそうだ
今まで傷は治っていたのに傷が治っていないんだから
こんなことバレたくないけど
「なんで…」
「…俺を殺したいんだって」
カメムシを踏んだような顔をする凪にどうしようもなく逃げたくなった
「死んだ…?」
「…くそっ!」
これは集合しなければ行けなくなってしまった
早く行かなければと足を進めた途端
ガシャンっという鉄の塊が廊下の端にいた
まるで通せないというように
タイミングが良すぎたことに違和感は感じたものの目の前の敵に集中した
「彼奴は俺のだ…虫けら共が」
落ち着き始めたのか息が荒かった蜂楽は深呼吸を繰り返して俺に真剣な目で訴えかけた
「ごめん、仲間が死ぬのは初めてで取り乱しちゃった…ほんとごめん潔」
「いや、いいんだ…謝るのはこっちなんだ、俺が止めたいっていう我儘な欲望のせいでこうなった。巻き込んでごめん」
「…やめてよ、空気悪すぎて肺腐る」
空気も読めずに嫌味を言う凪にこれは凪なりの空気を緩和のさせ方だと思った
「空気読んでよね〜もう」
いつも通りの蜂楽に戻ったものの傷は深いまま
「ほら、早く行くよ」
「おっけー、あとはここのヤツらを殺せばいいだけだもんね」
「…ほんとにいいのかよ」
「ん?」
「ここからまた死人がでる、北方面にいる2人も死ぬかもしれない。今ならまだ間に合う…西方面は人は少ないはずだから…みんなだけでも」
「何言ってんの?今更逃げるとか選択外だけど?」
「同感、逃げるなんてそんな笑いものの真似する趣味ないよ」
明るい笑顔を向けながら大丈夫だと言う彼ら
ほんとにいいのだろうか
ほんとに…
「てか、それを決めるのは俺らだし?助けたいからここにいるんだし」
「興味のないやつ助けるほど心優しくないんだよ」
「…うん、そうだな…ごめん、考えすぎた!早く行こう!そして終わったらパーティーだ!」
「やったー!パイナップル食べたーい!」
「え〜?寝ないの?」
「お泊まりパーティーもいいな」
「いや、案を言ったつもりじゃなくて…」
「クラッカーも買ってかろう!」
「だな!」
「…まぁいいや」
一方その頃北方面の彼らは苦戦していた
ばばんっ
「クソ硬ぇ…!」
いくら打っても鉄のせいで跳ね返り凹みはできるものの体内に入らない
いやまず体内に入っても動きそうだ
弱点を見つけなければ無駄だ
一気に爆発でもするか?いや被害が多すぎて気づかれる
空中に向かって鉄の塊が弾を投げ出したと思ったら散らばり大きく音を立てて煙を出した
「手榴弾か!」
ならばこちらもと小さい爆弾を投げたのと同時に銃を放たれ間一髪で避けたものの左肩に的中した
「足引っ張るな青薔薇!」
「クソ黙れ!腹部打たれたくせに喋んじゃねぇよ!」
先程の乱戦で腹部を2発打たれ上手く動けなくなっている下まつげ
「早く屋上に行くぞ!」
「はぁ?頭狂ってんのか?」
「あ?!」
「屋上に行ったら見つかる可能性高くなるのわかるだろ?」
「クソわかってる!それが狙いだ!」
急いで階段を上りそれに続いて鉄の塊も登り始めた
銃で打ちながらよろめきさせ落とせればなという微かな希望を持って屋上へ向かう
「屋上行って何すんだよ!」
「助け舟だ!」
「は?」
「少々癪に障るが…流石にこいつの相手は手が痺れるからな」
意味がわからないという顔をしながらちっさい爆弾を投げ壁に黒い煙がつく
ばんっと音を立てながらドアを開け暗い空の下には都会の光が眩しく感じる
風も強く月が太陽によって光り輝くのはとても神秘的で一瞬銃戦を忘れるくらいだった
「助け舟ってなんだよ!」
「今は戦いにクソ集中しろ!」
背後に周り項を狙おうとしたがぐるりと首を回し長い腕によって吹き飛ばされた
「あがっ…!」
壁に打ち込まれボロボロと鉄でできた壁は凹み頭から血が流れた
骨も数本やっているだろう痛みが襲われるが気を失ってる暇は無い
ちいさい刃刀で鉄の塊の足に投げ倒れさせ後頭部に向かって銃を放ったのと同時に凛もこうに向かって放った
けれど効いた様子はなくのそのそと起き上がる様子にいらだちが増した
「くそっ…」
手から爆発を放つ姿勢にこれでは街を襲うだろうという思考は出たもののそれは一瞬で消えた
助け舟が来たのだ
「カイザー!助けに来ましたー!ってなんですかその怪我!」
「ネス…!」
ヘリコプターに乗りスナイパーを向けながら喋りかけるネスに安堵した
「離れてください!カイザー!」
瞬時に後ろに飛び凛も距離を取った途端大きめの弾が放たれ鉄の塊の隙間に入り体内爆発が起こった
部品が散らばり花火のような光景に笑みを浮かべた
その途端部品が俺の前に落ち目を向けた時絶句した
そこにはNo.963と書かれたものがあった
血も飛び散り頬についた
人間だったのだ
ロボットだと思っていたものが人間でそれも数字から見て子供であることも
5000以下はほぼ子供の時に成功事例で付けられる
世一みたいに成長するやつもいればロボットだと思ったものみたいに成長せずに生きることもある
ほぼ成長せずに生きるものが多いが
子供を俺は殺したのだ
いや、詳しくはネスなのだが
先程まで子供相手に銃を向けていた
ロボットだろうと意識はある
操られていたのだろうとも心はあるのだ
怖かっただろう
止めたかっただろう
子供が背負っていいものでは決してない
血の量を見る限り小さい子供なのだとわかる
小さい子供を殺したのだ
多分男の子だろう
己らの手で殺したのだ
「カイザー?」
「…ああ、ネス…ありがとな」
「いえ!お易い御用ですよ!」
「おい、誰だこいつは」
「カイザーの右腕、アレクシス・ネスです」
「…ふん」
ピキっと顬に血管を浮かばせたネスを俺は横目で見た
「…あ?」
「俺は、ここから行くからお前らはそっちを見てくれ」
「りょーかい!」
「ひとりで大丈夫?」
「嗚呼」
多分凪は俺の治癒能力のことを心配しているのだろう
使えない今満タンに弾を入れた銃と予備の弾しかない
でもそれで十分だ
「気をつけてね」
「もちろん」
「…」
見送ったあと俺も歩き始め千切と子供を抱きながら玲央に通信機で伝えた
「玲央」
『ん?おお、潔…千切を送るんだろ?』
「ああ」
『なら、時間が無いからな…やりたくは無いが外に投げれてくれ』
「え?」
『大丈夫だ、俺が支える』
「でも…」
『お前から見て6時方向を見ろ、そこにいる』
確かに玲央がいた
けど、いくら死体だからって投げるのは頂けない
「いや、持っていくよ」
『時間ロスだ、ちゃんと受け止める』
玲央の言い分も正しい
時間が無い
「…傷つけないでよ」
『当たり前だろ?』
できるだけ、衝撃を与えずに向きを変え上に向かって投げた
(ごめん、千切)
下を見ながら無事だとわかると玲央はグッジョブと親指をあげ笑顔を見せる
苦しいだろうに無理に作る笑顔は申し訳なく自分を憎んだ
暗い顔がわかってしまったのか通信機で呟かされた
『やめろよな、そんな顔じゃ千切もいい気分で上に行けねぇだろ?』
「そう、だな…ごめん切り替えるよ」
囚われて初めて仲良くなったのは千切だったから今でも信じたくないがこれが現実だと心に受止めた
そんな時だった
『糸師凛が瀕死状態だ!腹部に2発、首に1発!』
頭が真っ白になった
玲央の方を見れば上を見ていた
屋上にいるのだろうか
急いで子供と治癒薬を持って走り出した
(間に合え…間に合えっ!)
バンッ
「凛!」
地面に血吹雪をあげる血筋を辿れば凛がいた
「り、ん…」
その隣にカイザーもいて紫色の髪をしたした知らない人
「世一…?」
「カイザー!治癒薬持ってきた!だからっ」
カイザーは静かに首を揺らす動作をした時金具に殴られたような気がした
「そ、んな…」
周りには器具が散らばり血の円もできていた
凛を担ぎその後ろに紫色頭の人も歩き出し俺の手を引いて下に降りていく
「…?おい、世一…お前足」
それよりも凛だと言うのに俺の足にすぐさま気づいた
「…ああ、どうってことない」
「違う、なぜ治らないと聞いているんだ」
「…施設長様は俺の事を殺して置物にしたいらしい」
一時的だと言っていたが機嫌が分からない今警戒は解けない
「…あの、カイザー…この人は」
「ああ…世一だ」
「嗚呼、この人が…僕はアレクシス・ネスです」
「…よろしく」
凛を担ぎ窓に向かい玲央とアイコンタクトをした途端凛を投げ出した
驚きはしたが先程俺もやったからただ躊躇がなかったことに驚いてしまった
「急ぐぞ…それより世一、そのゲス野郎はどこだ」
「一応俺が殺したと思うんだけど、子供もいたから確認してない」
「…そうか」
子供、俺の腕の中に眠っている小さい子供
やはり、1人で行けば良かった
みんなに黙っていけば置き手紙で暴言を吐いとけば良かっただろうか
でもこいつらは優しいから放っておかないだろう
「済まない、世一」
「え?」
「お前の大切な仲間を俺が周りを見ていないばかりに…」
「…ううん、カイザーは悪くない。…なぁ、やっぱりカイザー、みんなを返そう…これは俺の問題だ、これ以上…死んで欲しくない」
「…」
「…あなたね、カイザーのこと舐めすぎです!あなたってことに癪に障りますが…人のために何かをするのは珍しいんですよ!特にカイザーがですよ!」
「おい、ネス」
「それに…ここの世界じゃ仲間が死ぬのなんて慣れてないと気が狂ってしまう、素直な人ほど自身を殺します」
ご最もだ
ここの世界じゃ人が死ぬなんていつもの事
情を湧いたものが負け
「…うん、ごめん…國神」
『そっちは大丈夫か?』
東方面で裏を操ってもらっていた國神
「うん、大丈夫…子供を預けて欲しい」
『それはいいが…』
「俺、もう後悔なんてしたくない…どの道行こうが後悔するけど…死んで欲しくない」
『…大丈夫だ、潔。後悔を成功に変えろ』
「…うん」
「…決まったか?世一」
いつものニヤニヤとウザったらしい顔に戻ったカイザーを見て心が軽くなったような気がした
「勿論、俺をなめんなよ」
「ちょっと、イエローカードです!」
久しぶりにサッカーボールを触りたくなったような気がした
2024/9/27完成
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師匠!!最高です!