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#掃除
月城 蓮桜音
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saza
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水羽
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謎めいた笹人たち。 マークの質問を無視し、汚いゴザの上で毛布を頭から被り、セーレは就寝。数分後、戦時下の悪夢へと引きずり込まれた。
えっぐ、えっぐ――白髪少女の泣き声が暗い部屋の中に響く。
「うるさい、セーレ! 寝られないだろうが、私たちは明日も早いんだよ、早く寝ろ」
怒った筋肉隆々なお婆さん、ヘーゼルが苦言を呈した。
「あなたには人の心はないの? 今日、倒した敵の顔が浮かび上がってくるのよ。寝られるわけないじゃない。頭まで筋肉に侵されてしまったのね」
戦争の惨さを知ってしまった。セーレも困り、不満を漏らしていた。
「アーネスの奴、新しい仲間だって連れて来て、年長者って理由だけで、私に面倒ごとを押し付けやがって」
「ちょっと、話聞いてるの!!」
激しくヘーゼルに詰め寄り抗議した。
「うるさいわ、小娘! あんたも同意してアーネスについて来たんだろう? なら覚悟も決まっているんだろう? 覚悟ができていないなら、今すぐ帰んな! それとあんまり、ピーピー鳴いていると『泣き虫』セーレって呼ぶぞ」
言い返すため、強い目つきでヘーゼルを見つめた。
「覚悟ならできているわ!」
「なら早く寝な!」
夜の騒ぎが続いたが、数時間後には皆が寝静まった。そうして朝を迎えた。
いよいよ、歩兵団体との戦闘が始まった。
「昨日も見たが恐ろしい力だね」
「素晴らしいよ、セーレ。まるで神の裁きだ。名付けるなら、『見えざる断罪者』だ! 良い響きだ。君と巡り会えて良かった。さぁ、言論の自由のため、我等と共に進軍しよう」
ヘーゼルとアーネスが見つめる先には、敵の返り血を全身に浴びた狂気の少女。血塗れのセーレが一人立ち、涙を流していた。
「はぁ、戦時下の夢か。嫌なこと思い出しちゃった」
セーレはむくりと起き上がった。
下に敷いていたゴザと枕代わりのものを掴んだ。とぼとぼ歩き、マークの鞄の中へ押し込んだ。代わりに、タオルと歯ブラシを取り出した。
歯を磨き、川の水でうがいをした。歯ブラシを石の上に置き、やや雑に衣服を脱ぎ捨てた。全裸となったセーレは、自身の体を清めた。
(うん、やっぱり良い体してんだよな)
マークは茂みの影に隠れ、覗き見していた。
囚人だった頃の痩せた姿が嘘のように、健康的な体つきになっていた。
五分後、水から出て、セーレはタオルで頭と全身を軽く拭いていた。再び、脱ぎ捨てた衣服に着替え終わる。左手の蛇の刺青に触れ、本を召喚。
(祈りの時間か)
ゆっくりとバレないように、マークは踵を返した。
十分後、祈りの時間を終えたセーレが戻ってきた。バレないように、マークは寝たふりをしていた。
「あんた、覗きの趣味もあったのね」
見下す視線を感じる。
「それは、男だからな。つい出来心で……」
「ふふふ、私の裸綺麗だったでしょう?」
ウブな心で、つい、マークは口走ってしまった。
「素晴らしかったです! もう感謝しかありません!」
「もー、この覗き魔が!」
セーレは、マークを叩く。その表情はどこか寂しそうに見えた。
やっと、元通り平穏となり二人は再び旅立った。
「さて、横槍は受けたけど、気を取り直して、クライの研究所へ向かうよ。ほら、覗き魔! 先導しなさいよ」
「本当に申し訳御座いませんでした。許してください。セーレさん!」
セーレは少し口が緩む。罰ゲームを悩みながら、妥協をマークへ提示した。
「どうしようかな、あそこの売店から、アイス買って来てくれるなら、許してあげるかもよ」
「アイスですね、すぐに買ってきます」
街道沿いの茶屋まで、マークは走り出した。ミルク味のアイスキャンディーを購入した。戻ってくるなり、セーレに献上。アイスの棒を掴み、セーレはムシャムシャと勢いよく、完食した。
「あぁ、もっと味わって食べないのかよ」
「食べ方は、私の勝手でしょう。それに、早く食べなきゃ、溶けちゃうじゃない。ほら、食べ終わったから、さっさと先導!」
マークを前に押しやり、歩き出した。道案内役は迷いなく、的確に指示をする。道へのセーレのクレームを無視し、喧嘩になる。反論し文句を言い合った。
そうして、半日経つと大きな構造物が見えて来た。
「随分大きな街ね」
「おぉ、こんな街、初めて見た」
セーレとマークが崖の上から見た景色は、機械と重機が動く要塞都市だった。その都市は、大きな壁がドーム状の形で守りを固めていた。
「この街のどこかに、変人クライがいるのね。はぁー、もう帰りたいわ」
「ここまで来て、何言ってんだよ。早く、行こう」
嫌がるセーレの背中を押しながら、ドーム状の入口まで到着した。あまりの迫力にマークは圧倒させられた。
「何これ、デカ過ぎるんだけど。はぁー、帰りましょう」セーレは不満を漏らした。
「もう諦めろよ」観念しろ、とマークは念押しした。
パタパタ何か動物らしきものが、セーレとマークに近づく。観察すると、動物ではない。コウモリ型の機械だった。先端にはカメラがあり、内蔵されたスピーカーから声が流れた。
「ザー、ザー、聞こえるかね?」
「はい、聞こえています」マークが返事した。
「あなた方が何者か調べる。その場で待機してくれ」
機械の目から黄色い光が、セーレとマークの全身をスキャンした。
機械の監視モニター担当二人が、訪問者の分析を進めていた。奥には、退屈そうにモニターを見て、一人椅子に座る女性。
「何者でしょうか?」モニター監視の若い男性が指令の見解を聞いた。
「男の方は無害そうだが、女の方は……何だこのオーラ力は!? とても人間とは思えん」
「セーレ? ふふふ、いいよ。彼等を通してあげてよ。僕が許可する」彼らの問いを無視、奥の女性が即決した。
「大総統様。本気なのですか? こんな得体の知れない連中を中に入れるなんて」
「あぁ、それと彼女達を僕の研究室へ案内して。以上。忙しくなるぞ」
大総統と呼ばれた女性は鼻歌交じりに部屋を出て行った。
「どうしましょうか?」
「大総統様のことだ、何か考えがあるのだろう。よし、通行を許可しよう」
モニター担当の若い男性が解錠ボタンを押した。
閉ざされた門は、ゆっくりと開き始めた。その光景に、二人は驚きの表情を浮かべた。またコウモリ型のスピーカーから声が流れる。
「ザー、ザー、通行は許可された。旅人よ、このままコウモリナビの後に続いてください」
二人は共に新たな街へ踏み出した。
門の中へ通された。ゴミ一つ落ちていない、砂漠に築かれた美しい都市だった。市民の顔もイキイキしている。
「驚いたな。さすが、巨大な要塞都市だ」物珍しそうなマークの興味は尽きなかった。
「ザー、ザー、ようこそ最牡へ」
「へぇ、凄いじゃない。この街のどこかに、クライがいるのね。帰りましょう」
セーレは帰ろうとするが、マークが睨む。
「ザー、ザー、それでは、このコウモリへ付いてきてください。以上で通信を終わります」
羽を使い飛ぶアルミの塊は、二人を先導した。一定間隔の距離を保ちながら、道案内を進めていく。工場、住居、展望台、商業施設。一つの自治区として完成した街だった。
「すごいわね」どこか、冷めた目のセーレは欠伸を噛み殺した。
二人はコウモリ型機械の後を追っていく。
終着点は、白い施設のようだ。コウモリ型の機械は木に止まり、じっと動かなくなった。どうやらここが案内したい場所らしい。
「それにしても、この施設、白いわね」と無関心なセーレ。
「目が痛い」とマークは手で顔を少し覆った。
すると、施設の扉が開いた。
「ようこそ」
開けた先で出迎えたのは、ロビーにいた受付の女性であった。彼女は、椅子に座って待つように伝える。二人は椅子に座り呼ばれるまで待機していた。ふかふかの椅子で、座り心地も快適だ。
三分後、女性から呼び出しを受けて、エレベーターに通された。ボタンを押し、受付女性とマークは軽く談笑していた。
四階に着くと、八メートルほど続く通路に扉が、一つしかなかった。
「そちらの扉に入ってください」と言われ、セーレとマークだけエレベーターを降りた。
(この先に、変人がいる)今にも帰りたい気持ちを抑えたセーレは、眠い目を擦った。
エレベーターが閉まるまで、受付の女性は深々とお辞儀をしていた。
(開けるしかないわね)
セーレは通路奥の扉を開けると、子供のような容姿の女性が椅子に腰掛けていた。
「やぁ、セーレ。久しぶりだね。僕だよクライだ」
「久しぶりね、クライ」
「うん、その男は何だい? セーレの性奴隷かい?」
「違うわよ」
青年が挨拶のため、前に出た。
「初めまして、クライさん。私はマークと言います」
「マーク、矢印か? 何か君とは運命的な出会いを感じるね」
「運命ですか?」
「うん、ぜひ今すぐ君を解剖させてほしいな」
驚きすぎて、マークはその場に凍りついてしまった。固まった男を無視し、二人は話を続けた。
「さぁ、解剖話は置いておいてくれるかしら」
「――ということは、やっと解剖される気になったんだね?」
「違うわよ。今の流れで、どうしたら、そんな話になるのよ!」
会話が噛み合わず、セーレは苛立った様子で頭を掻いた。
「クライ、お願いがあるの」
「お願いとは、何だい?」
セーレは髪を軽く触り、切り出した。
「私の神器を探したいの。何か探し出せる探査機みたいなの、作ってほしいの」
「そんなのは一日もあれば、簡単だ」
「そう、それなら……」
「但し、僕のお願いも聞いてくれるかい?」
クライは椅子から立ち上がり、モニターとキーボードのある部屋へ移動した。我に返ったマークもその後に続いた。
「お願いって、何よ」
「まずは、これを見てほしい」
モニターに映し出されたのは、巨大な砂クジラだった。
「これ、砂クジラかしら? このクジラをどうするの?」
セーレからの質問にクライはキーボードを叩きながら、クジラの頭部付近を拡大していく。画面をよく見ると、頭部に鋏が突き刺さっていた。
「これって、あなたの神器じゃない?」
「そうだよ、僕の神器だ」
「どうしてクジラの頭に刺さっているの?」
「それはね、一ヶ月前。休暇時に崖の上で、日光浴を楽しんでいたんだ。カゴに入った果物を食べたくなり、切ろうとしたんだが、近くにナイフがなくてね。そしたら、目の前に神器の鋏があったから、それを使ったら、崖の下へ落としてしまってね。奇跡的な偶然で、砂クジラに突き刺さってしまったということだよ」
セーレは状況が飲み込めなかった。
「そんなくだらない理由で神器を落としたの?」
「くだらないとは何だ。神器であろうと鋏の形をしているんだ。本来の使い方をした結果、落としてしまったのだよ」
セーレは、クライのお粗末な行動に頭を抱えたが、「これも私の神器のため」と話を聞いた。
「つまり、これを回収してほしいんだ。見ての通り、僕は大総統になってしまい、多忙でね」
「わかったわ。その代わり約束は、きっちり守ってもらうからね」
「僕の腕を疑うのかい? 開発に関してはいまだ僕の右に出る者はいないんだよ」
疑う余地はないが、セーレはどこか信用しきれない表情を浮かべた。
「そうね、宜しく頼むわ。変人開発者クライ」
「よろしくね、セーレ」
帰り際、自動扉の上に「セーレ解剖したい」と垂れ幕があったが、セーレは反応するのも面倒で無視した。
セーレとマークは、またエレベーターに乗り込み、一階を目指した。エレベーターの中で会話をする。
「さぁ、砂クジラを止めるわよ」
「止めるって、砂クジラのいる場所はわかるのか?」
「これよ」
彼女が持っていたのは、小型の画面が付いた装置。液晶に映し出される方位が表示されていた。
「これは?」マークがいった。
「クライから渡された追跡装置よ」
「そんなのいつの間に……」
「あんたが凍っている間によ」
「あ、そうか」
二人は、正面入り口まで着くと、作業服を着たおじさんに呼び止められた。
「あんさんが、セーレさん?」
「はい、私がセーレよ」
「そうか。大総統に頼まれた品だ。使ってくれ」
持って来たのは、サイドカー付きバイクだった。
「すげぇ」マークの子供心に火がついたのか、ベタベタ触った。
「こいつは太陽光で走る代物だ。集光機構と走行原理は大総統が作ったが、外観はワシが作った。砂クジラ探しにぜひ使ってみてくれ」
マークが夢中になっているので、セーレとおじさんで話を進める。
「ありがとう」
「おぅよ」
「あれ、運転、どうするの?」
「ワシがレクチャーしてやる」おじさんはマークの腕を掴んだ。
レクチャーを受ける姿を見て、セーレはぼんやりとバイクを眺めていた。
コメント
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お疲れ様、sazaさん!第5話読んだよー! 今回は結構テンポ良くてサクサク進んだね。何より一番グッときたのは、あの覗きの後のセーレの「私の裸綺麗だったでしょう?」の流れ。ちょっとふざけてるようで、でも表情は寂しげっていうギャップがいい!あと相変わらずクライはキャラ立ってるわ。解剖したい垂れ幕とか、まじで草。 砂クジラに刺さった神器の回収ってミッション、次どうなるかめっちゃ気になる。二人の掛け合いもだんだん息合ってきたし、バイクで疾走する展開に期待🔥