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「なに着ていこう……」
咲はクローゼットの前に座り込み、並んだ服を前にため息をついた。
制服じゃなくて、部活帰りでもない。
悠真と出かけるのは、はじめての特別な日。
それだけで、どんな服を選んだらいいのか頭が真っ白になる。
(子どもっぽく見えるのはいやだし、大人っぽすぎるのも変だし……)
鏡の前でマフラーをあててみたり、コートを羽織ってみたり。
そのたびに頬が熱くなり、心臓がどきどきとうるさかった。
「……私、変かな」
独り言のように呟くと、携帯にメッセージが届いた。美優からだ。
《当日は自分らしくが一番! 絶対大丈夫だから!》
短い文字なのに、不思議と背中を押された気がして。
咲はマフラーをぎゅっと握りしめ、もう一度鏡をのぞき込んだ。