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私は会っていなかった期間に起きた事、
全てを話した
まぁ、半分愚痴ではあるんだけど
『兄弟なのにお兄ちゃんと私の考え方は根本的に違う…!なんなの、毎日怒鳴って。兵士やめろって…』
「でも…最低でもあと2年も、ずっとそんな喧嘩を続けるの?」
『…分かってるよ…私だって…』
アルミンは私の引けない気持ちを分かっていた
この状況を脱するには、やはりどちらかが折れるしかないのだ
…こんな答えを出したのは何回目だろう
分かっている、分かっているのに
『私いっつも苦しくなったら逃げるの。こんなんじゃ駄目なのに…』
「無理に話そうとしなくてもいいんだよ。逃げるのだって、勇気が必要。決して思考の放棄や弱さなんかじゃない」
『…アルミンは優しいね』
「優しさで言ってるんじゃ…」
『ほら、優しい』
アルミンの助言に、思わず気が緩んだ
冷たい風が体を突き抜ける
ゾワゾワと爪先まで鳥肌が走った
「少し冷えるね…もう陽が落ちてきたんだ。そろそろ帰ろうか。君と話してたら時間が早く感じる」
『話すも何も、ほとんど私が一方的だったよ。でもありがとう。久しぶりに会えて嬉しかったよ。色々参考になったし』
「他人事かもしれないけど、お兄さんと分かり和えたらいいね。頑張って」
『うん。ジュニー!もう帰るよ!』
「あっ、はーい!」
花の蜜を吸う蝶を眺めていたジュニーは、
その蝶に”またね”と声をかけてから
こちらへ寄ってきた
今更ではあるのだが
本当に蝶が好きなんだ、と考えた
いつかここへ来られる日も無くなってしまうのかもしれない
ジュニーはもう9歳
私は11歳
もう決して兵士への道は遠いとは言えない
『……』
「やっぱり少しは名残り惜しい?」
『え?あ、うん。…そうだよ。だけど、後悔はしない。きっとジュニーもね』
私が何も言わずとも、表情だけでアルミンは私の気持ちが分かった
壁内に思い出を作り過ぎると
離れる時に辛くなってしまう
いつかの父の言葉を思い出した
それでもやるしかないと言うのが
ヘリス家の宿命なのだろう
『(…逃げてやるものか)』