コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
18
次の日、休日だった為阿須は少し街を回ることにした。
(暇だなー。まじで。)
ぼーっとしながら歩いていると、前から第2部隊がいた。
「お、阿須やないか。久々やなーー。」
「疾風。お前、あの後平気だったのか?」
「佑由が助けてくれたんや。ありがとな。佑由。 」
疾風がちらっと佑由のことを見、感謝を伝えた。佑由は照れながら
「もちろんです!仲間が困ってるんですから助けてあげなきゃですよ!疾風さんも那々斗さんも無事で良かったです! 」
元気よく阿須にも伝えた。阿須はほっとし、何も言わず過ぎ去ろうとした。
「阿須?なんか様子がおかしいな?なんかあったんか。」
「別に。なんもねぇーよー。お前にカンケーねぇーわ。じゃあな。佑由、こいつらをよろしくな。」
そういい、阿須は3人を通り過ぎて行った。
佑由は「も、も、もちろんです!!」と元気よく返事をした。
(そういえば、麗乃。何してんだろ。)
麗乃を思い出しながら歩いていると、目の前に蒼が現れた。なんだか怒っている様子。
「ねぇ、阿須。なんで昨日、麗乃と一緒に阿須の家にいたの。何話してたの。私たちの中で内緒事???彗には伝えたの??」
「うっせぇな。なんでもいいだろ。そのうち出雲が話してくれんだろ。」
「なんっっにも聞いてない。なんで、私達に教えてくれないの?重要なことでしょ?仲間なんだよ?」
「分かってっから。4人集まったらまた話す。」
邪魔だというように、阿須がまた去ろうとすると、門の方から大きな声が聞こえた。
「朝霧というのはどこだ!!!!!!!!」
男の人と女の人の声だ。
「阿須、呼ばれてるけど。」
「はぁ……。行ってくる。」
「私も行く。」
阿須と蒼は声が聞こえた方へ向かった。
「陽炎様!!」
「へいへい。もう来たから大丈夫だぜ。」
阿須は気だるそうに大声を出して方へ向かった。
「おい、誰だよ。大きな声出すんじゃねぇ。迷惑だ。」
「俺らは麗乃の親だ。お前か?麗乃から何を聞いた。」
「は?なんでそんなこと知ってんだよ。」
「弟たちから聞いたんだ。麗乃がお前の家に入っていったのを。」
麗乃の父親は、ナイフを阿須に向けて脅しながら言った。
「あー。家庭環境を少し聞いただけだ。ちょうどいい。お前ら、もう麗乃になんかすんのやめろ。あいつ、全く生活できてねぇ。お前らが全額貰ってるせいで、困ってんだよ。」
阿須は麗乃の親2人を睨んだ。父親は怒り狂い自分が持っていたナイフを阿須に向かって刺そうとした。その瞬間、後ろから長いツタが伸びてきてナイフを止めた。
「ねぇ、お父さん。お母さん。なんでここにいるの。なんで和国に来たの。 」
麗乃だ。その後ろには彗もいた。
「麗乃!帰ろうか!こんなヤツらと一緒にいちゃダメだろ??どんな奴らなんだ。」
「…。帰らないよ。お父さん。私、まだお仕事残ってるの。」
「仕事なんかいいじゃないか、早く帰ろう。」
父親はそう言いながら麗乃の手首を掴み、連れて帰ろうとした。けど、麗乃は動かない。
「働かないと、お父さんたちにお金が渡せないの。だから、働かなくちゃ。家族が幸せになるために。」
「ああ、そうだ。けど、言うことは聞け。」
父親の目付きが鋭くなった。けれど麗乃は気にしない。
「麗乃、こいつらはダメだ。一緒に居ちゃ。殺されてしまう。お前を殺すのはお父さんたちなんだからなっっ!!!!!!」
麗乃の父親が勢いよく自分が持っていたナイフで麗乃の腹を刺した。麗乃は、刺された腹を押さえながら、地面に座り込んだ。ゴフッと小さく口から血を吐く。蒼が見ていられず、麗乃のところに走ってきた。
「麗乃!!!何してるのよ?!ほんとに父親なの?!」
「ああ。父親だよ。麗乃はいらない。弟たちがいればいいんだ。お前はお姉ちゃんだろ?こいつらもどうせ裏切るクソガキどもだ。やめとけ。本当に。 」
そう言いながらまた麗乃のことを刺そうとした。その瞬間、麗乃は大きな声を出して振りおりてくるナイフを止めた。
「お父さん!!やめてよ!!!!」
「は…?? 」
「確かに、阿須くんは乱暴で口も悪い。彗くんだって全然喋ってくれないし冷たい。蒼ちゃんも私より強いのに無理して付き合ってくれてる。」
麗乃が下を向きながら、3人のことを話し始めた。阿須はそれを聞いて少し前に出るが、彗に止められ、首を振られた。
「でもね、みーんな。優しいんだ。阿須くんは、ちゃんと話聞いてこうすれば?って提案してくれる。本当に優しい人なの。彗くんも、私が悩んでる時に話はしないけどずっとそばにいてくれた。落ち着いたら大丈夫?って優しく聞いてくれた時もあった。蒼ちゃんは、こんな弱い私なのにずっとずっと一緒にいてくれる。初めて友達でしょって言ってくれたの。今まででいっっちばん、嬉しかったのっっ、」
麗乃は3人のいい所を全て親に伝えた。泣きながら。耐えて耐えてずっっと耐えていたからこそ、今気持ちが溢れてしまっている。家族、周りの人達、3人が幸せで笑っていていれば楽しい。その気持ちはあったが、やっぱり寂しいという孤独感があった。自分とは違って皆強くてなんでも出来てしまうのに、自分だけが何も出来ない無力感に襲われ苦しんだ過去がある。
けれど、周りを沢山見ていたからこそ、3人のいい所を沢山話すことが出来るのだろう。
麗乃は、話した後、何かを決意したかのようにまっすぐ親の方を向いた。
続