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朝になった。私は短剣を腰に身に着け,一人でホテルを出た。スカイは騎士脱退の手続きをしに行ったらしい。
「さてと,私はレベルを上げないと。」
ステータスはレベルによって変わってくる。剣術,魔力は個々の特性,練習によって変わってくるが,体力はレベルによって多さが変わってくる。体力が少ないのはレベルが低いせい。
「はぁっ!」
「ぴぎゃあああ!!!」
スライム,飛コウモリは私でも倒せる雑魚敵。そんな魔物が沢山いるから今日中にはlevel5ぐらいまでには上がっているでしょう。けれどもこの数,かなり多いわね。今は戦争中だから魔界からこっちに魔物や魔族が送られてきているのだろう。魔族は人間と大して変わらない見た目が特徴。しかし,魔族には角が生えている。
「ほんと,厄介ね。」
〈エアリス・クリスティーのレベルが3になりました。〉
「3って…やっぱりもっと強いの倒さないとダメみたいね。」
そのあとも何匹もの魔物を倒していった。
「あ、スカイ。もう手続きは終わったの?」
「うん、でも勿体無いって言われちゃって。…勇者になることを勧められた。」
「まぁ、妥当だわ。」
スカイは目の前の中型魔物を見つめて剣を構えた。
「スカイやるじゃない。これならダンジョンにも挑戦できるんじゃない?」
「え?」
この世界には沢山、各地あらゆるところにダンジョンというものが存在する。そこは経験値が沢山ゲットでき、新しい強い武器などが手に入る。まぁ、levelによって入れる場所は限られてくるが私たちがなら町の近くのダンジョンはある程度撃破できるだろう。
「挑戦してみましょう!」
「え、う、うん。」
「てことでこのダンジョンに挑戦するわ!」
「お嬢ちゃん、本気で言ってるのか?」
ダンジョンの受付人の男の人に嘲笑された。これは馬鹿にしているのでしょうね。
「ええ。」
「ここは推奨level3だぞ?お嬢ちゃんはさっき3になったばかりだって?はははっ!!なら無理だな!」
「挑戦することに意味はあるでしょ?」
「ならやってみろ。嬢ちゃん達なら一瞬でパァァだ。」
顔がかなり腹立つ。スカイはこれをみてなにも思わないの?うっとうしいでしょ!
「ほらスカイ、行くわよ!」
そうして私とスカイはダンジョンへ入っていった。
「…暗くない?」
「待って。…灯(ライト)!」
最下級魔法,灯。属性は無。幼い子供でも少ない魔力で光を生み出すことができる。しかもその使用時間は無限。
「これぐらいなら俺でも出せるんだけどな…。」
「まぁいいじゃない。さて,進むわよ。」
今思ったのだけれど,スカイって身長小さいわね。目線がだいぶ下で猫背になりそう…うぅ,疲れるわ。
「ねぇ,スカイ。あなた身長どれぐらいなの?」
「…165ぐらい。」
私の身長が185だったはず。あ,大きいと思った?エルフの平均身長は男女ともに190㎝。だから私は家族の中でもまだ小さいのよ。人間の平均身長は…わからないけど,小さいことは確かね。寿命だって人間はエルフの3分の1程度なんだから。
「そ,そう…じゃ,魔物やっていきましょうか。」
「うん。」
蜘蛛タイプの魔物が沢山洞窟の中からぞろぞろとやってくる。私にはあまり怖いものは無いと思っていたがこの魔物を見ると何故だか背筋が凍った。これがいわゆる気持ち悪い…なのだろうか。
「疾風斬!」
「やぁ!!」
「エアリスさん…大丈夫ですか?」
「え,えぇ。平気よ。これくらいなんてことないわ。もっとかかってきなさい!」
「…。」
「…。やめてくださいよ。」
「…ごめん。」
さっきよりも多い蜘蛛。流石にこれは嫌。さっさとやらないといけないのに,背筋が凍ってしまう。
「きゃあああ!!!」
蜘蛛が糸で攻撃を仕掛けてきた。しかもあの口,気持ち悪すぎる。目の数も異常だし…。蜘蛛たちの真の攻撃は糸じゃなくて精神攻撃だったのね…恐るべし。
「疾風斬!」
「助かったわ。」
「じゃあ,奥に進みますか。」
奥に進めば進むほど魔物達は強くなった。しかし,二人もいれば楽勝。…ってあれ,私って職場探してたんじゃなかったっけ。これってちゃんと冒険者してるじゃない。
「エアリスさん!」
「おっと。」
今度の敵は大型魔物。少し手ごわそうだが…大丈夫,私たちなら何とかなるわ。
「うっ,耳が…」
魔物の雄たけびで私の耳が先に倒れそう。エルフの大きい耳は聴覚が優れている。この魔物と私の相性はおそらく最悪だろう。
「っぐ…」
「スカイ!…我らが崇め___きゃあっ!」
回復の詠唱が追い付かない。詠唱よりも先に魔物の攻撃が来てしまう。しかもこの魔物,大きいくせして攻撃が早いっ!
「スカイ!あいつの足を!足を狙って!」
大きいくせして攻撃速度が速いんなら足を狙う!私って天才じゃない⁉
「うん!…疾風斬!」
まだちょっと威力が足りない…!もう一度,頼みたいのだけれど,スカイの体力がもつかどうか…
「分かってる!もう一回やればいいんだろ!後で回復頼む!…疾風斬!」
「やった!」
魔物は顔から地面に落ち,動かなくなった。スカイも同じく,力を使い切ったのかばたりと倒れ,寝てしまった。
「我らが崇めるアスクレピオス様,このわたくしに力を貸してくださいませ。…回復(ヒール)。」
スカイの顔色がたちまち良くなった。さて,このダンジョンから出ましょう。
to be continued→