え、もしかして幻覚見てるのかな??
(注意事項は0、1話をご覧下さい。)
霧の森を抜ける二人の足音。
視界を遮る霧が、孤島への道を静かに隠している。
二度目の人生を歩む四季は、この世界の恐ろしさを完全には理解している。
四季
「なぁ、どんだけ奥まで行くんだよ?」
無人
「死人を持って街中を歩く訳には行かないだろ。」
四季
「まあ、たしかに…」
無人の冷静な判断に、四季は納得した。
無人
「見えたぞ。」
四季
「お、おぉ…」
(想像してた以上に広かったんだな…)
霧が晴れると、孤島の全貌が姿を現す。
海に囲まれたその島の中心に、羅刹学園。
鬼のための学校が鎮座していた。
威圧感が、二人の胸を静かに押し潰す。
無人
「あそこは本土から離れた島、鬼門島。
通称〝鬼ヶ島〟だ。」
四季
「……」
無人
「そして島の中心にあるのが鬼のための学校。
〝羅刹学園〟。まあお前は知っていたようだがな。」
四季
「あ、あぁ…」
(やべ、あの時反射で言っちまったんだ…)
空気が張り詰める。
この学校に集う者たちは、人間ではない。
鬼としての力を磨き、桃太郎と戦うための才能を試されるのだ。
無人
「この学校は普通の学校とは全く違う。
桃太郎に対抗するための訓練をする、いわば対桃太郎機関専用の軍隊学校だ。」
四季
「…対桃太郎…」
(そうだよな、桃太郎と戦わなきゃ話は聞いてくれない…
その為に強くならなきゃ…)
運命は過酷だ。
力だけでは不十分。知識と判断力も必要になる。
羅刹学園はそれらすべてを鍛える場。
無人
「羅刹学園は鬼の血の操り方、戦闘術はもちろん。
一般教養から鬼と桃太郎の歴史を学ぶところだ。」
四季
「…もし合格したら担任って…」
無人
「俺になるな。」
四季
(やっぱりか…てことはやっぱり皇后崎達もいるのか、?)
無人
「合格した場合だが、お前は寮に入って訓練を積み、桃太郎機関と戦ってもらう。
ではこれから使える使えるヤツか否かを審査する。」
四季
「…!」
無人
「そういやお前、会った事がないのに俺のことを知っていたな。」
四季
「…それは…信じられねぇ話なんだけどよ…」
無人
「なんだ?」
四季
「今おれ、人生2回目なんだ。
1回目の時に、親父殺したやつの仇討って死んだんだけど、なんか目が覚めたら地獄にいてよ…」
無人
「…地獄?」
四季
「あぁ。そんでなんか地獄の神と話してやり直させてくれたんだ。
鬼と桃と人を平等にする。そんで、天国も地獄も無くすって約束してな。」
二度目の人生。
前の記憶が、今の自分を強くする。
四季は心の奥で誓う、〝誰も死なせない〟、と。
無人
「そうか。だから俺を知っていたのか。」
四季
「そういうことだ。」
無人
「なるほどな。分かった。合格にしよう。」
四季
「え、いいのか?!」
無人
「恐らく1回目も俺は同じ判断をしただろう。」
四季
「あぁ…まあ、そうっすね…」
無人
「前のお前がどうだったのかは知らないが、使えるやつだったんだろうな。」
四季
「あ、そうだ…
俺前では鬼神の血を継ぐ鬼神の子だったんだ。」
無人
「そうなのか。」
四季
「今使えるのか…?」
ピッ…(血操)
ボワッ…(炎)
四季
「おぉ、使えるっぽいな!」
血と炎を目の前に具体化する。
二度目の人生でも、あらかた何も変わっていないようだ。
無人
「どうやら本当に2回目らしいな。」
四季
「おう、え、信じてなかったのか?」
無人
「まだ会ったばかりなのにすぐ信用するやつがいるか?」
四季
「ぅッ…確かに…」
無人
「お前ひょっとして馬鹿か?」
四季
「うるせぇー!!シンプルに悪口言うな!」
互いに反発し合いながらも、信頼の芽が静かに育つ。
無人
「まあいい。こっちへ来い。」
四季
「あ、おいちょっと待てよ!」
四季
「やっぱりこの制服かっけぇな!」
無人
「無駄話はいい。早く着替えろ。」
四季
「うーす!」
無人
「知ってるとは思うが、お前の他にも合格者がいる。
その中でレベル的には最上位だな。」
四季
「はっ、まぁな!」
無人
「まあ様子をみて使えないと判断したら即退学だから気をつけろよ。」
四季
「あぁ、分かってる。
あ、そういやこの事って皇后崎達に言わない方がいいのか?」
無人
「…どちらでも構わない。
だが信じるかは不明だ。」
四季
「だよなぁ…まあいっか。」
教室へ向かう足音。
今日、何かが動き始める予感が胸を打つ。
二度目の人生を歩む四季の心は、緊張と期待で張り詰めていた。
無人
「これから教室に向かう。
恐らく近々何か起こるだろう。ざっと説明してくれ。」
四季
「んだよ、やっぱ勘鋭いな…
そうだ、近々京都で鬼機関が襲われる。
そこには唾切の部隊が来る。」
無人
「……」
四季
「倒された鬼の死体には唾切の細菌が入ってる。
そこで鬼機関のアジトがバレて侵入されるっつーのが大体だな。」
無人
「なるほどな。大体は分かった。
京都が襲われるのは大体いつくらいだ。」
四季
「今日やる予定の訓練が終わる前くらいだな。」
無人
「意外と早いな。」
四季
「そうなんだよな…」
無人
「まあいい。どうするかは後で言う。
教室に入れ。」
四季
「…あぁ。」
ガチャッ…
教室の扉が開く。まだぎこちない空気。
二度目の人生を歩む四季の胸は、緊張と期待で高鳴っていた。
四季
(…懐かしいな、このバラバラ感…
やべ、多分この時の皇后崎達全然仲良くねぇよな…
どこ座ろう…)
無人
「どこでもいいからさっさと座れ。」
四季
「う、わかってるよッ…!」
無人
「まあいい。本来今日は学校説明と案内だが、別のことをする。」
四季
「ん…別のことって、?」
無人
「今から京都へ向かう。」
四季
「今からっ?!
早くねぇか?」
無人
「どうせ後から行くことになるんだろう?
なら早い方がいい。」
四季
「確かにな…」
無人
「では服を用意する。」
迅
「ちょっと待てよ。なんで急に京都になんか行くんだ?
つーか、何であいつに聞いてんだ?」
無人
「こちらの事情だ。
とにかく着替えろ。話はそれからだ。」
京都で待ち受けるのは死の多さ。
この戦いはいかに無陀野を上手く使い、四季がどう動くのかがカギになる。
二度目の人生を歩む四季は冷静に、しかし胸の奥で戦いの鼓動を感じていた。
四季
(京都では戦うことになるはず…
前と同じようなことにならないようにしなきゃな…
…唾切のやつ、話聞いてくれるかな…)
四季は心を固める。
二度目の人生、そして二度目の争い。
今度こそ、唾切を殺さず済むように。
無人
「準備はいいな?出発するぞ。」
四季
「…あぁ!」
霧のかかった孤島、鬼ヶ島を後に京都へ向かう。
そこに昔の〝懐かしさ〟を覚えながら。
緊張と期待、不安が混じった感情が渦巻く。
そして新たな幕が今、開き始める_
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎⇝ 500
コメント
15件
炎鬼四季くん最高_:( _ ́ཫ`):b
四季が炎出すとこが一番好き!!なんかすげー!ってなる!✨️🔥あと、四季が馬鹿って言われたとこ見るの2回目だけどなんかじわるw👍️