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三枝視点
「みつけた」
そんな声が俺の携帯と、すぐそばで聞こえた
反射的に俺は振り返る
『あ…不破、せんぱ…い』
走ってきてくれたのか、息をきらしていた
「なに、してるん?こんなところで」
ここは河川敷、もう夕暮れで、人もあまりいない
「どうしてこんなことしてる?」
『…ッ』
そんな真剣に見つめないでよ
いつもヘラヘラしててさ、不思議でおかしくて、腹立ってしょうがなかった
昔から、ヒーロー気取りで助けたりさ、助けてって、いってるわけでもないのに
…昔も、今も、ずっと……
どす黒い何かが、俺の喉まできている
…もういいか、別に
『…不破先輩!よく分かりましたね!なんでここだって、分かったんですか?』
違う、違う!
ガツンと言いたかった俺の口からでた言葉は怒りでも、なんでもない
また、作られた言葉、表情
「…ここかなって」
『へぇー!驚きました!不破先輩は絶対わかんないだろーなーって思ってたのに…なんか残念!』
だれもが、人の笑顔をみると自分も安心できる
だから昔から俺は笑顔を絶やさなかった
嫌なことがあっても、無理して、家族の前でも笑って……
だって泣いたら怒られちゃうから
痛いことされるから
『…戻らないんですか?文化祭、終わっちゃいますよ?』
「あきなは戻らんの?」
『戻るも何も、俺は今日欠席って連絡してるので! 』
「…欠席っていってこんなとこにきてるんやな」
不破先輩が近づいてくるたんび、少しだけ後退りをしてしまう
来ないで、一人にさせて…
『あー、いけないこと、したくなっちゃったっていうか…』
「じゃあなんで、俺と目を合わせてくれへんの?」
「なんで、さっきから俺が近づくたび、後退りしてる?」
気づかれてたか、目を合わせてないっていうのは俺も今気づいたけど
『それは、えっと、あ、朝から具合がよくなくて、それで、うつしちゃ悪いかな、って…』
「あきな」
優しい声色が、脳に直接響いてくる
不破先輩が少しずつ、こっちに近づいてくる
後ろに下がりたくても、俺の後ろには転落防止のフェンスがあった
これが背水の陣ってやつなのかな
『…やだ、こないで、、』
声が、震える
そんな俺の言葉なんて無視して、不破先輩は近づいてくる
そしてゆっくり、俺の方に手を伸ばしてきた
『ッ!!!!!!!こないでッッ!!!!!!!!!!!』パシッ
俺はその手を振り払った
顔がみれない、なんか言ってよ、なんでもいいから、失望した言葉でも、俺を壊しちゃう言葉でもいい…だからッ、だから…
「あきな」
また、その優しい声が聞こえた
その瞬間、甘い香りが、俺の鼻を刺激した
『…ふわ、せんぱい、なんで…』
自分が不破先輩に抱き締められていると気づいた
『ッ離して!!』
「やだ」
俺が抵抗しようとすると、不破先輩は力を強めた
でも、苦しくはない
『…なんで、なんでこんなことするの…?俺は、あんたに酷いことして…言って…』
「そうやな、確かに、少し傷ついた」
『じゃあ…ッ』
「でもな、嬉しくもあった」
『……え?』