テラーノベル
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「和香那おめでとう」「ウエルカムプレートの写真見たわ!美男美女で、二人はまるでモデルみたい」
「こんな幸せそうな結婚式、誰か一人ぐらいは妬みそうなのに……和香那があまりにも性格いいから皆納得しちゃってるのよ」
仲のいい友人たちが控え室に顔を出して、自分のことのように喜んでくれている。
中には泣き出す友人まで。
「……和香那、おめでとう」
おずおずと控え室に入り小さな声で呼び掛けたのは、大の親友|翔音《かのん》。
「翔音、ありがとう。もっとこっちに来て!」
翔音が私の近くまで来ると
その目は潤んでいた。
「……ねぇ、やだ泣かないでよぉ」
「……だって、和香那があまりにも幸せそうで」
「翔音、今日は雅弥さんの友人や同僚が多く参列してるの。大手の会社だし、友人も素敵な人ばかりよ、きっといいご縁があるわ!」
「……うん。そうね」
涙を一粒ポロっとこぼしてから、彼女は満面の笑みを浮かべた。
翔音の手をきゅっと握り
「じゃ、式とお料理楽しんでね!余興もきっと楽しいわ」
「うん。思い出に残る一日になるわね」
名残惜しそうに翔音は部屋を後にした。
―――
もうすぐ時間だ
スタッフが迎えに来てくれるはず。
――コンコン
控えめなノックを聞いて、私は重たいドレスを纏ったまま、そっと立ち上がった。
顔を出した女性スタッフと、母
二人の顔は、青ざめていた。
「……あの、新郎様のお姿が……」
「和香那!雅弥くんに連絡しなさい!」
預かってもらっていた私のスマートフォンを母から手渡される
「……お姿がどうしたの?雅弥さん、居ないの?トイレとかじゃないの?」
今朝、彼と一緒にここへ来たし
今夜泊まる予定でチェックインを済ませていた。
「部屋は?」
「それが、荷物が……あなたのキャリーケースしかないのよ」
―――
式の始まる時間を過ぎても
彼は姿を現さなかった。
彼の会社の上司、彼の親友
多くの人が連絡をとろうと必死になってくれていた。
そして、その日
招待された私の知人を含む全員に一斉に通知が届けられた
それは、雅弥さんから送られたものだった
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