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もうすぐ私は死ぬらしい。
「 ■■さん! ■…さん… ■………ん……」
眼の前には泣いている少年たち3人。
そして、隣には煉獄さん。煉獄さんも泣きそうになってる。あぁでも、炎柱が無くなったのは片腕だけか。
よかった。破損しているのが片方だけで。
「煉獄さん、そんな顔しないでくださいよ。
そんな顔したら、他の隊士の士気に関わるでしょう?」
そう言ったら、泣きそうな顔から笑顔に引き戻してくれた。けれどその顔はなんだか歪で。 その歪な笑顔に少し笑ってしまったけれど、でも。
━━でも、煉獄さんには笑顔が一番です。
(…煉獄さんの右腕、運良く残っていて良かった。)
利き手を斬られていたら引退を余儀なくさせていただろうから。使えなくなったのが左腕だけで良かった…とも思う■■。
下弦の鬼を倒して。やっと帰れると思った時に ソレは、来た。
━━━━ 上弦の参 猗窩座。
私と煉獄さんが応戦して、竈門炭治郎を含む少年3人には待機命令を出して。
私は煉獄さんを庇って、腹を貫かれた。
(クソ、私がもっと強ければ)
不甲斐ない、とは思うが後悔はしていない。
柱である九人中の一柱、炎柱である煉獄さんを庇えたのだ。
__後悔なんて、するわけがないだろう?
夜明けが近いのか猗窩座は腕を抜こうと必死になっている。
腕を抜かせないように力を込めたけれど相手は腕自体を千切って暗闇の…森の方へ去っていった。
……もう未練も、ないや。 鬼舞辻無惨を後輩たちが倒してくれると信じて託すから。
あぁ、徐々に音が、聞こえなくなる。
四人の声が、聴こえなくなっていく。 泣いている気がした。
あ、でも、これだけはいわなきゃ。
もて、わたしのからだ。
「私は竈門炭治郎と竈門禰豆子を認める。これだけ多くの人を守って護って守り抜いたんだ。認めない方がおかしいと思わないか?
だから、あとは頼んだ。煉獄さん ──少年たちを宜しくお願いします」
あ、いえた。よかった。
もういいのこしたこともないかな。
おかあさん、おとうさん、いまいくからね。
◁ ◁ ◁ ◁ ◁
この場にいる人間は五条以外全員ボロボロと泣いた。
哀里と呼ばれる少女が鬼に立ち向かって、死ぬまでの生き様を僕たちは観て体験したのだ。五条も泣いていないとはいえ涙腺が刺激されたようで涙をポツリと目隠しに少しのシミを作ったぐらいである。
最後まで少女は、自分の信念を全うして亡くなったのだ。
渚 美緒本人の過去ではなくこれが過去に出てきたということは、僕たちが知っているぶりっ子の美緒も哀里の人生を強く記憶に残していて、だから過去として投影されたのだろう。と僕はそう考えていた。
「ねぇ、美緒って本当にぶりっ子なのかしら」
野薔薇がそう僕に問うた。
「この記憶が正しいのなら美緒も根底はそんな性格の筈よ。なのに、ぶりっ子というのはおかしくない?」
ふと、そんな小さな疑問。
野薔薇の言葉にこの場にいる悠仁と恵、真希たち2年生も賛同した。硝子もこちらをじっと見ている。
「確かに、な」
「名前は変わっていても本質的には変わってない筈だよな」
「そうだな…」
「しゃけ」
各々が頷いている。
「じゃあ普段から僕が見ておくようにするよ、美緒を」
──それで野薔薇の言葉が本当なのかどうかがわかるでしょ。
あれから1週間。
僕は美緒を遠目からも近くからも見ていた。
ある時は任務に同行。
僕に媚びへつらうことはあっても任務ではスイッチが切り替わったかのように真面目に熟していたし、手を絶対に抜かなかった。
ある時は報告書を見たり、ある時は普段になにをしているかの観察。
報告書は全て記載漏れはなかったし、事細かに詳細が書かれていた。そして、字も綺麗。
普段朝っぱらからトレーニングしていることも初めて知ったし、呪力操作も怠らず。
ある時は、ある時は、ある時は、ある時は。
それを観察し続けて、そして。
「すみません、電話が掛かってきたので少し失礼します」
盗み聞きを、した。
「…もしもし」
今まで聞いたことのない、機械的な声だった。 それは媚をへつらうような声でもなく、普段の声でもなく。
──ただただ冷たい、氷のような声。
“あぁ、私だ。どうだ?五条悟の観察は”
「とても良いです」
業務的な会話。
そう言わなければなにかされると分かっているような、諦めた声だった。
“もうすぐその生活は数ヶ月で終わる。精々その生活を楽しめ”
楽しそうな愉しそうな、とてもたのしそうな、声。
背中に嫌な悪寒が迸った。
「はい」
そんな淡々とした会話。
まるでお前は意志のない操り人形のドールだとでも言われているような。
美緒が手からすり抜けて行ってしまうような。
そんな、感覚。
“ところで五条悟とその生徒たちに嫌われてはいるか?”
思わず口に手を当ててしまった。
ドッドッドッ、と自身の心臓が早くなっていくのが感じられる。
「はい。無事に嫌われが成功しています」
“そうかそうか。アイツは役に立っているか?”
(“アイツ”?誰だ?)
アイツだなんて言われる人物、僕には心当たりがない。
「はい、とても。 愛香さんには感謝しかありません。なんせ、私の嫌われを補助してくださった方ですから」
その名前を理解してしまった瞬間身体が固まった。
(あいか。あいか、あいか… 愛香? 西薙 愛香?)
該当する名前を見つけてしまった。
西薙 愛香。
実際に会ったことはなくとも名前だけは記憶している。 現在準一級術師で生徒・教師共に信頼が厚い。
それが京都校であっても、東京校であってもだ。
そんな人物が、美緒のぶりっ子の嫌われを補助していた人物…?マジかよ。
五条の名を使っても資料に信頼できる人物とあったことを思い出す。
(それだけ人に適応するのが早いってことか)
僕の名でも欺ける程の適応力と潜在能力、そして情報操作力。
五条家は脳が腐っていても当主が人間という人間じゃなくても、一応は御三家だ。呪術師の社会、呪術界において長い歴史と権力を持つ家の一つ。
家は腐っているが情報は信頼ができる。 ま、その情報だけが信頼出来て他の腐った蜜柑が増殖したみたいな人と言えないのは信頼出来ないんだけど。(言わずもがな上層部と御三家含めたモノらである)
それに五条家ですら騙していたのだからきっと他の二家…加茂と禪院も騙しているだろう。これは恐ろしいと言わざる終えないねぇ。
少しこの西薙 愛香に会って、明日から探りを入れてみる事にした。どうやら裏にはヤバイ奴が居座ってそうだし。
いやーわざわざ僕が探りを入れることにしたんだよ?
わ ざ わ ざ 、 こ の 僕 が 。
…いやぁホント、面倒事は増やさないで欲しいよねぇー。僕も僕で腐った蜜柑からの地方の任務や特級、一級の任務で忙しいってのにさ。
人気者は困っちゃうよねー。(人気者??は?どこが?と言いたい所だが辞めておこう)
マ、カマかけて調べっけどさ。仮面から出てくるのは鬼か蛇か…楽しみだねぇ。
五条悟は生徒に向けるいつも通りの軽薄の笑みで笑った。
○ ● ○ ● ○
さて、ここで美緒視点である舞台裏を見せようと思う。
もしこのままシリアスで終わりたいのならここで前のページに戻ったり此処から先見るのを止めることを推奨するよ。
美緒の過去が酷い過去だと思っている方も、愛香が酷いヤツだと思っている方も、だ。
そのままの印象でいたいのなら、帰った方がいいと思うけどね。
…帰った人は帰ったかな?
ここにいると言う事は真実を知ると言う事だ。
本当に、いいのかい?ここから先はシリアスでもなんでもないただのシリアルだよ。
…あぁ、本当にいいのかい。寧ろ楽しみだって?
…居なくなった他の人物とは違うヒトだし物好きだねぇ君達は。君達はシリアルが好きなのかな?いや、人が勘違いされるのを見るのが好きなのか。
では、此処から先は舞台裏だ。
それぞれの視点から君達は物語を見なよ。きっと誰でもクスッと笑えるさ。
…あの世界でいなくなった私も笑えたし、ね。
▲ ▽ ▲ ▽ ▲
「すみません、電話が掛かってきたので少し失礼します」
なぜか一週間前から異様についてくる五条先生にそう断りを入れて、席を立つ。
(なんだろ?定期報告は終わった筈なんだけど…)
「…もしもし」
“あぁ、私だ。どうだ?五条悟の観察は”
めんどくさ…
「とても良いです」
なぜ私が内心でめんどくさ、と言ったか。その理由を話すためにまず渚家のことを話さなくてはならない。
渚家は実を言うと代々当主が転生者の一族で、天与呪縛のことがあり傲慢な口調になってしまうのだ。懐かしいなぁ、前当主が内心コミュ障なのに外面がめっちゃ傲慢でびっくりした記憶がある……もう慣れ(ちゃっ)たけど。
ぶっちゃけ私はこの当主の電話を取りたくないのだが、取らないと当主…ではなく、当主の周りが煩い。
そう、転生者は渚家の中でも極々少数なのだ。当主と私合わせても片手で収まるくらい。今の当主は無駄に周りが優秀で転生者ではない人間が多いしなんなら周りの人間は当主の傲慢は演技で口調がキツイだけの頭が賢い人と勘違いされていたりもする。実際はただの女性だし家の者が思ってるよりかは普通の一般人。
……勘違いを解かないのかって疑問ね。解かない。というか厳密に言うと解けない。実は解こうとしたこともある。でもなんとか当主の勘違いを解こうとしてまた勘違いが連鎖しさらに勘違いされるってのをもう私は経験済みだから。
だから解けないって訳。
本当に何回も勘違い解こうとしたんだよ、でもマジで解けなくて寧ろ勘違いが深まったからもう私は諦めた。 ちなみに傲慢の口調の中身がわかるようになったのは赤と白のブレスレットを身に着けてから。これで結構…いや、大分変わった。
さっきなんで内心でめんどくさと言った理由もわかるよ、これでね。
“あぁ、私だ。どうだ?五条悟の観察は(さぞかし楽しいんでしょうね)”
はい内訳はこういうことです。
このご当主サマ(笑)人は五条悟推しらしい。
五条悟なんてクズだけどねー普通に。顔と六眼と無下限術式を持ってるだけ。そんで唯一持ってないのは仲間と親友と中身。
というか当主サマ時間空いたら私に電話掛けてくるの本当辞めて欲しい。いや、割とガチめに。
休暇をくれ。頼むから。
「とても良いです(んなわけねぇだろはっ倒すぞ)」
用がない時以外は連絡してこないで欲しい。いや本当に。
“もうすぐその生活は終わる。精々その生活を楽しめ”
「はい」
“ところで五条悟とその生徒たちに嫌われてはいるか?(任務順調?)”
無視しやがったクソ。まいっか。
当主が話した通り、そう。私は五条悟とその生徒に嫌われる為にここに来たといっても過言ではないのである。
東京校の高専全体に嫌われる、というのが私の最重要任務。
「無事に嫌われが成功しています(順調)」
嫌われは上層部からの命令らしい。
…まぁまた当主以外の周囲が当主に処理しろと命令されたと思って渚家の当主を命令した上層部を処理するんだろうけどさ。
ほんと思い込みの力ってすごいわーと再認識する(思考放棄)
“そうかそうか。役に立っているか?アイツは”
「はい、とても。 愛香さんには感謝しかありません。なんせ、私の嫌われを補助してくださった方ですから」
──西薙 愛香さん。
今次々と東京校からも京都校からも信頼を集めてる人。準一級呪術師。
実はこの人も転生者で生きていくためにと渚家が術師として守ってきた人物でもあり渚家の従者たちが一貫して尊敬してんのがこの人でもある。
まあ、案の定勘違いされてるんですけど。優秀な人だってね。
ちなみに実際はポンコツ寄りなんだよ。頭いいフリしてるだけ。
まぁ演技力には目を見張るしその演技力が凄すぎて相手さんは混乱するんだけどね。愛香さん内心で焦ってても外面にはまっったく微塵も焦った表情出さないし。しかもまったく表情動かさないから相手方の圧にもなる。
なんか私が知ってる転生者の人物って大体が勘違いされてるんだよなぁ…遺伝なのかね、ホント。遺伝って、怖いなぁ。いやこれは遺伝ってより悪運の強さ?w
そう思っているとふと人影を見つけた。
…そう、盗み聞きをしている五条悟を。見つけてしまったのである。
…マジかぁ…………マジかぁ。(何度見をしても目を擦っても五条悟が盗み聞きをしているという現実から目を背けたい主人公の図)
あの、見つけたのわざとだと思うでしょ?違うのよ、見つけたのは本当にたまたまなのよ。ホントだからね!?信じてよ?!
とりあえず───
(………………愛香さんのとこ行く可能性あるから言っとこ)
私は愛香さんの番号へ(なるべく早く繋がって…)と思いながら電話を掛けたのだった。
● 渚美緒
今作主人公。勘違いされてる人その①
鬼滅の刃で夢主を作って地獄を作っていたら黒歴史になった。そして五条悟さんたちに勘違いをされた可哀想な人。
残念、前までは勘違いされてなかったし寧ろみんなが嫌いな人間だったのに一夜で変わっちゃったね。やっぱり転生者の血は抗えないってことだ、諦めて?
多分このあと勘違いされてることにすぐ気がついて弁明しようとするけどまた勘違いされる悲しき運命。
作者のこそこそ裏話
実は名字が決まらなさすぎて大変だったり。
(ファイト。私は応援してるよ)
● 西薙 愛香
準一級呪術師。勘違いされてる人その②
多分これから数日間五条悟からの探りが来て胃が痛くなる。胃、ヨワヨワだからね愛香さん。渚家に尊敬されてる人。まあこれも勘違いなんですけど。
たまたまタイミングが良くてたまたま持ってくるタイミングが良くてたまたま術式が暴発するタイミングが良かっただけの人。本当タイミングが良いだけ。
悪運も強すぎるけどそれ以上に豪運が味方しすぎて勘違いされてるパターン。
探り合い頑張れ。(九割型部下のお陰だったりもする)
作者のこそこそ裏話
実は主人公の名前が愛香のつもりだったんだけど途中で変えた。
だからその名前をこっちに移してたりする。
(物凄い豪運だよね、愛香は)
● ご当主サマ
名前は決まってない。続くかどうかも未定なので出てくるかどうかも知らない。
なにがどうなったらそうなった?ってくらい崇拝されてる(転生者以外)
転生者で神聖なこと(あみだくじ)をして当主になるかどうかを決め選ばれてしまった人。傲慢だが演技でほんとは賢い(せんぜんちがう)と思われてる。
とっても呑気な一般人社畜の女性。
危機感ぐらい持ちなさい?!と作者も言いたくなるくらいでもあったり。
作者のこそこそ裏話
中盤くらいの長文一回全部消えて絶望した。
虚しい(´・ω・`)
下書きの更新はしっかりとやろうと誓った日でした。(多分またやらかすときのセリフ)
(呑気過ぎて逆に笑えるよ、ックク)
● 五条悟
前世の記憶(ちがう)をみんなと見て色々と主人公を観察した人。
きちんと見たらちゃんとしてた。
愛香さんの情報を集めてる最中。
もし愛香さんと探り合いをするならばめっちゃ苦戦する予定。表情が読めない分からない呪力の乱れもない…なんなんだと思いながら下がらないかも。でも一回戦目は絶対負ける(相手はそんなつもりない)
ウラに巨大なナニカがいると思ってる。うん、まあ、正解っちゃ正解だけど戦わなくちゃいけないのは周りだけだからネ。
(この温度差が見てて面白いんだよね、私は)
● ── ─
(呼んだかい?)
見てくださった方、ありがとうございます。次は一応ありますがその次はありません。続きは気分が乗ったらです。