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20
あまね🍡💠
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翌日のお昼休み。
朝霧湊は弁当を持って校舎の階段を上っていた。
目指す場所は屋上。
昨日、小春と輝羅から聞いた場所だった。
「……本当にいるのかな。」
少し緊張しながら扉を開ける。
春の風が吹き抜けた。
そして――。
「あっ。」
聞き慣れた声がした。
フェンスの近くで小春が空を見上げている。
その周りには数羽の小鳥が集まっていた。
「朝霧くん。」
「本当に来たんだ。」
小春は嬉しそうに笑った。
「うん。」
「ちょっと気になって。」
湊は小春の隣へ向かう。
小鳥たちは警戒することもなく、小春の肩や手すりに止まっていた。
「すごいな。」
「毎日来てるの?」
小春は頷く。
「うん。」
「この子たちとお話するの楽しいから。」
その時、一羽の小鳥が湊の近くへ飛んできた。
『優しそうな人。』
もちろん湊には聞こえない。
だが小春には聞こえていた。
思わず笑ってしまう。
「どうしたの?」
「ううん。」
「この子が朝霧くんのこと褒めてた。」
「本当?」
湊は少し照れくさそうに笑った。
その時だった。
屋上の扉が開く。
「……なんだ。」
「今日は二人いるのか。」
神童輝羅だった。
「あ、神童。」
湊が手を上げる。
小春も笑顔で挨拶する。
「こんにちは。」
輝羅は軽く頷いた。
そしていつもの場所へ向かう。
「そういえば。」
湊は前から気になっていたことを聞いた。
「なんでいつも屋上にいるんだ?」
輝羅は振り返る。
「蓄電だ。」
「蓄電?」
「俺の能力は無限じゃねぇ。」
そう言うと輝羅は空を見上げた。
「空気中の電気を集めてる。」
湊は驚く。
「そんなことできるのか。」
「できるからやってる。」
相変わらずぶっきらぼうだった。
すると小春が言う。
「だから空が好きなんだね。」
「別に好きなわけじゃねぇ。」
即答だった。
小春はクスクス笑う。
湊は思わず笑ってしまう。
「じゃあ雨の日は大変そうだな。
輝羅は首を横に振った。
「雨だけならな。」
「だけなら?」
湊が首を傾げる。
「雷が鳴れば話は別だ。」
輝羅は空を見上げる。
「雷雨の日は電気が溢れてる。」
「むしろ一番調子がいい。」
湊は目を丸くした。
「そうなのか。」
「当たり前だろ。」
輝羅は呆れたように言う。
その時、小春の肩に止まっていた小鳥が羽を広げた。
『カミナリの人、今日は機嫌がいい。』
小春はまた笑った。
「どうした?」
湊が聞く。
「この子がね。」
「神童くん、今日は機嫌がいいって。」
「……。」
輝羅は無言になる。
湊は吹き出した。
「図星なんじゃないか?」
「違う。」
即答だった。
しかし少しだけ耳が赤かった。
穏やかな時間が流れる。
気付けば昼休みも残りわずかだった。
湊はふと思い出したように聞く。
「そういえば、能力者育成プログラムって何やってるんだ?」
輝羅は少し考えた後で答えた。
「効率化だ。」
「効率化?」
「少ない電力で、より強い雷を出す。」
「そのための訓練。」
湊は感心した。
「大変なんだな。」
「強くなるためだ。」
それだけ言うと輝羅は立ち上がった。
予鈴が鳴り始める。
「戻るぞ。」
「うん。」
「またね。」
三人は屋上を後にする。
階段を下りながら、湊は少しだけ笑った。
昨日まで知らなかった場所。
だけど今は違う。
ここには小春がいる。
輝羅がいる。
そして小鳥たちもいる。
不思議だった。
けれど悪くない。
そんなことを考えながら歩く。
屋上へ続く扉が静かに閉まった。
――そこは、三人だけの居場所になり始めていた。
――第5話 三人の居場所 完
コメント
1件
おお、第5話読み終えたよ〜🌙 屋上って、学校で一番“誰にも見つからない場所”って感じがして、なんか好きなんだよね。小春ちゃんが小鳥と話してるシーン、すごく優しい空気で「ここは聖域なんだな」って思った。 輝羅くんの「蓄電」の話も納得。あのキャラなら雷雨の日の方が絶好調、ってわかる気がする。しかも小鳥に「今日は機嫌いい」って言われて耳が赤くなってたの、ちょっと可愛すぎた(笑) 3人が少しずつ、自分の居場所を作り始めてる感じがじんわり伝わってきて、胸が温かくなったよ🤍 続き、気になるなあ。